住宅性能に関する問題
「欠陥住宅を掴まされたあげく、結局は泣き寝入りするしかない」
このような特集を組んだTV番組をご覧になった憶えがある方も、多いのではないでしょうか?

住宅の建築・売買・請け負いなどの仕組みについては、住宅取得者と住宅供給者の双方にとって様々な問題があると言われており、 久しくクレーム産業などとも言われてきました。

住宅取得者にとっての問題は、

  • 住宅性能の表示に関する共通のルールが無く、客観的な判断が出来ない
  • 住宅性能に関する紛争が起こった際、専門の紛争処理体制が無く、解決には大きな労力とお金がかかる
  • 契約書上で瑕疵担保期間が1~2年となっているため、その後に発見された瑕疵について、無償修繕等の要求が出来ない

などの問題がありました。

一方で住宅供給者にとっての問題は、

  • 住宅性能の表示に関する共通のルールが無い為、購入者からの客観的な理解を受ける事が難しい
  • 住宅紛争のための専門的な処理機関がなく、性能に関するクレーム対応に多くの労力がかかる

などの問題がありました。

 

住宅品質確保促進法について

こうした双方が抱える問題を解決する為に、住宅性能の評価に関する客観的な ルールと、保証のための新しい枠組みが必要となりました。
こうした結果、平成12年4月に施行されたのが、「住宅品質確保促進法」です。

この法律は「消費者保護」を目的としています。
この法律が出来たことにより、消費者は住宅の性能に対しての客観的な 検討をしたうえでの購入が出来るようになり、引渡しを受けた後でも構造的な瑕疵や雨水の浸入などについては、10年間に渡って保証を受けられるようになりました。
新築住宅の基本構造部分(基礎を含む構造躯体・屋根外壁など)に10年以内に欠陥が発見された場合、住宅取得者は住宅供給者に対して 無料修理や賠償金の支払いを請求できるというものです。
もちろん供給者は保証を義務づけられます。

<構造耐力上主要な部分> <雨水の侵入を防止する部分>
A=基礎 B=壁 C=柱 
D=小屋組み E=土台
F=斜材 G=床版 
H=屋根版 I=横架材
J=屋根の仕上げ・下地など
K=外壁の仕上げ・下地など

瑕疵とは・・・

「瑕疵」とは、一般的にキズや欠陥のことをいいますが、法律上では「請負契約で定められた内容に反することや、 建物として通常期待される性質ないし性状を備えていないこと」 をいいます。
発見された不具合事象が請負契約上の「瑕疵」にあたるかどうかは、設計・施工・材料などに照らし合わせ総合的に判断される必要が あるため、専門化による詳しい調査が必要となります。
しかし・・・・・・・・・

◇法律が出来たとしても決して安心ではありません!!

もしも住宅供給者が不誠実であったり、また倒産してしまったりしたら、 法律で決められた保証を充分に受けられないかもしれません。 そこでこの法律をより確実なものにするために作られたのが、
「住宅性能保証制度」です。 
財団法人住宅保証機構が運営する制度で、保険制度を活用して保証する という仕組みをとっています。

 

◇住宅性能保証制度

登録業者が最長で10年間、住宅の性能を保証します。
そのために、工事中現場審査に合格した住宅に保証書が発行され、万が一の補修費用を保険でサポートする制度です。

◇制度による保証の流れ◇

保証の種類
住宅性能保証制度において、保証者が住宅取得者に対して行う保証は、 法律で定められた部分をカバーする長期保証と、仕上げの剥離や 建物の変形などを対象とする短期保証に分けられています。
  
〇長期保証
対象となるのは基本構造部分(柱・梁などの構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分)に発見された瑕疵及びその瑕疵が原因の不具合等に対してです。
保証期間は保証書記載の保証開始日(一戸建て住宅では引渡し日)から10年間です。

〇短期保証
対象となるのは仕上げや設備などに発生した不具合事象に対してです。保証期間は部位によって異なりますが、保証書記載の保証開始日から 最長で2年間です。

長期保証の例(戸建・共同住宅)
10年●基礎の著しい沈下
10年●基礎・柱・はり・壁のひび割れ
10年●床の傾斜、たわみ、破損
10年●壁の傾斜、たわみ、破損、雨漏れ
10年●屋根からの雨漏れ
10年●土台・柱の傾斜、たわみ、破損・・・等
短期保証の例(戸建住宅)
1-2年●仕上げの剥離
1-2年●建具の変形
1-2年●浴室の水漏れ
1-2年●設備の不良・・・等

短期保証の例(共同住宅)
2年●タイル・石張りの剥離
2年●建具・設備の不具合等

現場審査について
住宅性能保証制度では、20年以上の実績に基づき、効果的に欠陥を抑制するための「設計施工基準」を定めると共に、行政の建築確認審査などの経験を積んだ専門の検査員が建築中に「現場審査」を行います。
         

住宅性能保証制度を利用する事により、登録業者による保証は保険等で 裏付けられているため、万が一、基礎の瑕疵が原因の不同沈下などの多額な補修費用がかかる保証事故が発生した場合でも、確実に保証が 受けられるしくみです。

万が一の際の保険
業者が倒産しても、保険でカバーされます。
万が一、保証期間中に業者が倒産しても、10年間の長期保証 (構造耐力上主要な部分)について、補修費用から免責金額を 除いた額の95%が保険金等として支払われるので安心です。

ただしこの住宅保証機構への登録はあくまで任意ですので、確実な保証を 受ける為には “登録している業者を選ぶ” 必要があります。
登録業者は定期的に講習会を受講したり、住宅保証機構からの技術サポート などを受けています。

◇地域別の登録業者数◇