住宅関連新聞記事ダイジェスト No.326  2010/3/18~2010/3/24

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.326  2010/3/18~2010/3/24 Vol.1
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【日本経済新聞】
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【朝日新聞】
1  住宅リフォームにも保険制度 国交省が初の認可

【読売新聞】
2  愛知・豊田市が「空き家バンク」中山間地に定住促進
3  木造住宅の耐震診断、“受診率”2・9%…大分
4  100年後に残したい街の風景…「世間遺産」前橋でも
5  大イチョウを元気に、コケ落としと根元保護で
6  町外から伴侶得れば…祝い金10万円、福島・矢祭町
7  「製麺所」転じて「建築工房」、文化財に答申
8  「散村の景観どう守る?」富山・砺波市で提言書
9  昭和モダンの古民家、秋田で一般公開へ

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1  住宅リフォームにも保険制度 国交省が初の認可  2010/3/19 朝日新聞
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 国土交通省は住宅リフォームの欠陥工事に備えた瑕疵(かし)担保保険制度を始めると19日発表した。耐震偽装を受けて制定された住宅瑕疵担保履行法で、新築住宅では昨年から、売り主に保険への加入が義務づけられたが、リフォームは保険の対象外だった。保険への加入は任意で、依頼主は施工業者に保険への加入を求めることができるようになる。
 同省が18日、住宅の保険法人・日本住宅保証検査機構に、リフォームの保険商品を初めて認可した。保険料は施工業者が支払うが、実質的には依頼主の負担となる。上限300万円の場合、保険料は約4万円になる。

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2  愛知・豊田市が「空き家バンク」中山間地に定住促進  2010/3/24 読売新聞
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 豊田市のHPに掲載された空き家情報 愛知県豊田市は23日、市内の中山間地域への定住対策として、空き家を希望者に紹介する「空き家情報バンク」の運用を始めた。
 現在、足助、旭、稲武、小原など7地域にある15軒の空き家が紹介されている。県内の市では初めての試みという。
 バンクでは、過疎、高齢化が進む7地域で、所有者が賃貸か売却を希望する空き家の間取り、交通の便、周囲の環境などの物件情報のほか、区費や定住者が参加しなければならない地域の役や行事といった情報を収集して、住んでみたい人に伝える。
 売買や賃貸の交渉は当事者同士で行い、契約は県宅地建物取引業協会豊田支部が仲介する。改修が必要な物件は、費用の10分の8、上限100万円で市が補助する。
 情報は市のホームページや市自治振興課で見ることができる。豊田市民以外でも利用できる。同課によると、市内外から「山間部や農山村に住んでみたい」という問い合わせが年間約200件あるという。同課では「バンクの活用で物件探しが効率的に進めば、定住促進につながる」と期待している。

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3  木造住宅の耐震診断、“受診率”2・9%…大分  2010/3/24 読売新聞
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 大分県民の約8割が東南海・南海地震に関心を持っていながら、非常食の備蓄や家具の固定をしないなど「もしもの備え」が進んでいない実態が、同県の減災意識調査で明らかになった。
 県は「意識が行動に結びついていない。今後も情報提供に努めたい」としている。
 調査は昨年12月~今年1月、20歳以上の5000人を対象に初めて実施。62・4%に当たる3120人から回答が寄せられた。
 県南に甚大な津波被害をもたらすとされる同地震に対する関心は、「非常に」「多少は」が合わせて78・7%だった。大地震発生への不安も「非常に感じる」「多少感じる」が計87・2%で、地震そのものへの関心は高かった。
 津波警報が出された場合の避難についての意識は「必ず避難」が25・6%、「たぶん避難」が40%、「避難するかどうか分からない」が20・3%、「避難しない」が12・3%。2月のチリ大地震で、沿岸部に避難勧告が出た佐伯市では「必ず避難」「たぶん避難」が計76・4%で、県平均(65・6%)よりも高かった。
 一方、タンスや食器棚などの倒壊防止策をしていない人は64・5%に上り、このうち46%が理由を「面倒」と答えた。県が最低3日間分の備蓄を呼びかけている食料は4割、飲料水も6割が用意していなかった。
 また、木造住宅の耐震診断を受けたことがある人は2・9%にとどまった。受けたことがなく、受ける予定がないと答えた人(67・2%)のうち、5割弱が理由に「費用がかかる」を挙げた。診断で補強工事が必要とされたうち、約6割が未着手で、全員が理由に「費用がかかる」を挙げた。
 県は診断費の3分の2(上限2万円)、補強工事の半額(同60万円)を補助しているが、申請は伸び悩んでいる。
 県防災危機管理課は「時間をかけて、行動に結びつけたいが、県民も減災に対し、知る努力をしてほしい」と呼びかけている。

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4  100年後に残したい街の風景…「世間遺産」前橋でも  2010/3/23 読売新聞
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 世界遺産ならぬ「世間遺産」で魅力的な街をつくろう――そんな活動が、前橋市でスタートした。
 子供たちが日常で見つけた、100年後に残したい風景などを記録する取り組みで、奈良から全国に広がり始めた。4月初旬、世間遺産のホームページに群馬のページが加わる。
 世間遺産を選ぶのは、一人ひとりの子供たち。「本家」の世界遺産と違い、絞り込まなくても良い。2008年4月に、芸術振興活動を展開している奈良市の財団法人「たんぽぽの家」が取り組みを始め、子ども向けのワークショップ(体験教室)を開いて世間遺産の写真をホームページで紹介してきた。
 目的は、子供たちが街中で自分の大事なものを発見し、その思いを大人が知ることで、街をもっと好きになること。前橋市では14日、たんぽぽの家とNPO法人「前橋芸術週間」(小見純一代表)が、同市千代田町の前橋こども図書館で、都道府県では10番目となるワークショップを開き、小学1~4年の児童10人が参加した。
 子供たちは世間遺産の狙いや写真の撮り方を学び、スタッフや講師の写真家と一緒に前橋の街中へ世間遺産探しに。「コイがいる!」「あの看板、おもしろい」と、きょろきょろしながら思い思いに写真を撮った。
 その後、映画館「シネマまえばし」のスクリーンに選んだ1枚を大写しにし、「通っていた幼稚園のバス。思い出が詰まっているから」「広瀬川。きれいな川を残していきたいから」と残したい理由を発表した。ほかにも、歩道橋の階段に映った自分の影、商店街など次々と世間遺産が生まれた。
 前橋市表町の小学3年、生方那奈さん(9)は「普段は車で移動してばっかりだから、今日ゆっくり歩けて楽しかった。神社とか梅の花とか、細かいところまで見られた」と目を輝かせていた。
 
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5  大イチョウを元気に、コケ落としと根元保護で  2010/3/23 読売新聞
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 大イチョウの根元にロープを張る地元住民ら(奥出雲町大馬木で) 島根県奥出雲町大馬木の金言寺で21日、境内に立つ大イチョウの樹勢を回復させる作業が行われ、県や町の担当者、地元住民、広島市の市民グループ「巨木を訪ねる会」(加納千里子代表)のメンバーら約60人が参加した。
 大イチョウは高さ約33メートル、幹回り約5・7メートル。樹齢約400年で、町指定の天然記念物。紅葉シーズンには木いっぱいに黄色の葉を付け、観光客が訪れる。
 同会が昨年11月、エコツアーで大イチョウを訪問。メンバーの樹医伊藤之敏さん(68)(広島県庄原市)が、表面に養分を吸い取るコケが張り付き、木が弱っていることに気付いた。
 加納代表が「樹勢回復に取り組んでは」と町や住民に提案し、木を守ろうという機運が高まった。県も2月、大イチョウを「みんなで守る郷土の自然」に選定、活動を支援している。
 この日は、参加者が根元の土に深さ約40センチの穴を掘り、肥料を投入。人が根元の土を踏み固めないよう、周辺をロープで張り巡らせた。伊藤さんは、木に付いたコケを次々と手で取り除いた。
 伊藤さんは「コケを取るのは、人間が風呂に入ることと同じ。成果が表れるのは3年後で、見守ってほしい」と話した。

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6  町外から伴侶得れば…祝い金10万円、福島・矢祭町  2010/3/23 読売新聞
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 定住人口を増やすため、福島県矢祭町は4月から、1組につき10万円の結婚祝い金を支給する。
 町によると、夫婦ともに町に定住することが前提。町民と町外在住者との結婚で、いずれかが初婚でなければならない。人口増が目的のため、町民同士の結婚には支給されない。
 祝い金は1人1回限り。定住を促進するため、結婚3年目にも10万円が支給される。町は1年間に約15組のカップルが該当すると見込んでおり、新年度予算に150万円を計上した。
 矢祭町は年々、過疎化が進み、昨年4月1日現在の人口は6695人。25~45歳の男女計1238人の3人に1人が独身だ。町は、出会いの場所を提供しようと、2007年から、町外の独身者にも声をかけ、料理教室やバーベキューなどのイベントを年に6回開催してきたが、ゴールインしたのは1組だけだという。町自立総務課は「イベントに祝い金をあわせて人口増加につなげたい」としている。

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7  「製麺所」転じて「建築工房」、文化財に答申  2010/3/21 読売新聞
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 町家の風情を残す「ひろ建築工房」(秋田市教育委員会提供) 国の文化審議会は19日、秋田市新屋元町の建築事務所「ひろ建築工房」=写真、秋田市教育委員会提供=の事務所兼主屋と土蔵を、登録有形文化財(建造物)とするよう文部科学大臣に答申した。
 県内の登録有形文化財は計157件となる。
 県教育庁によると、同工房は1940年頃の建築とみられる。もともとは製麺(めん)所で、正面の壁面から掛けられた「下屋庇(げやびさし)」と呼ばれる屋根や、玄関に施された切り妻屋根など、伝統的な秋田の町家の風情を残している。
 事務所兼主屋から奥の土蔵にかけて3枚の屋根で連続的に覆われている点が特徴で、真ん中の1枚は「両下げ造り」と呼ばれる軒のない造りとなっている。周辺は古くから醸造業や食品製造業が盛んな地域。すでに登録有形文化財となっている「国萬歳酒造」を始め酒造店や商店、旧家など明治~昭和期の建物が点在しており、同工房も、歴史的景観に寄与している点が評価された。

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8  「散村の景観どう守る?」富山・砺波市で提言書  2010/3/20 読売新聞
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 散居村の代表的景観として県の重要文化財に指定されている「入道家住宅」(18日、砺波市太田で) 散居村景観を守る方策を考える富山県砺波市の市民懇話会が18日、景観保全のために規制も必要とする提言書を上田信雅市長に提出した。
 散居村を巡っては、老朽化による取り壊しや、住民の世代交代に伴う空き家化などが増えているが、規制には、住民側から生活上の支障が出るなどと反対する声もあった。上田市長は、条例の制定も視野に検討を進める意向を示し、散居村を後世に引き継ぐ動きがようやく本格化する。
 提言書は、砺波市役所で市民懇話会の山崎泉会長から上田市長に手渡された。上田市長は「市民の声を率直にまとめていただき、大変ありがたい。今後は条例の制定も考えている」と話した。提言を受け、景観計画の策定と並行して規制のための条例案作りが進められる見通しだ。
 市民懇話会は、自治振興会長や商工業、農業関係者ら21人で構成。景観保全のための規制は、住民生活も制限するため、2008年8月から7回の会合を持ち、慎重に意見を交わしてきた。
 提言書には、「散村があるから、ほかの市と差別化できるのだという自覚が必要」、「空き家対策も必要」などの意見が記載された。そのうえで、「景観保全のためには何らかの規制が必要」として「規制誘導(案)」を打ち出している。
 散居村の景観は近年、伝統的家屋の減少や、住宅団地などの造成で崩れつつある。散居村が多く残る小島地区での市調査(09年3月発表)によると、散居村の景観を構成する屋敷林がない住宅は34・5%に上った。また、同地区内や隣接地には電波塔、住宅団地が数か所あり、「広がりのある散村景観と調和していない」としている。
 同じ調査の中で世帯主2000人を無作為抽出して行った住民アンケートでは、散居村景観を守り、「後世へ引き継ぐべき」と回答した人が69・4%に上り、「消滅しても仕方がない」とした23%に比べ、多くが保存、継承すべきと考えていることがわかった。

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9  昭和モダンの古民家、秋田で一般公開へ  2010/3/20 読売新聞
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 一般公開される「石黒恵家」 昭和初期に建てられた秋田県仙北市角館町の古民家「石黒恵家(けいけ)」が、4月16日から一般公開される。
 当時としてはモダンな和洋折衷の造りが特徴で、歴史を学ぶ場やイベント会場などに利用してもらおうと市が修復した。武家屋敷で有名な同地区に、ひと味違う歴史的建造物が加わることになる。
 石黒恵家は、仙北市長などを務めた石黒直次さんの「石黒家」の分家に当たり、近くには本家の武家屋敷「石黒家」もある。
 市文化財課によると、石黒恵家の建物は1935年の建築。玄関を入って左側に板間の洋間、右側には子供部屋をしつらえるなど洋風の造りを取り入れており、当時の伝統的な民家とは趣が異なる。99年5月、家族と千葉県に移り住んでいた持ち主の石黒恵さん(故人)が、旧角館町に建物を寄贈した。
 市は2008、09年度、約5900万円をかけて家を修復。屋根を全部取り換えたり、腐食した土台を直したりした。外壁も、なるべく元の板をきれいにして使うようにしたという。武家屋敷が建つ「伝統的建造物群保存地区」内にあるため、家の周りに一部使われていたブロック塀を取り除き、生け垣を植えて景観にも配慮した。
 市文化財課は、「子供から大人まで、歴史を学んだり、くつろいだりしてもらう場所になれば」としている。仙北市民の利用は無料。市外の人が利用する場合は500円で、事前予約が必要。問い合わせは同課(0187・43・3384)。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.326  2010/3/18~2010/3/24 Vol.2
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【読売新聞】
10  「一等地」総崩れ…新築物件で2割値下げも
11  公示地価、2年連続下落
12  地価下落「資産デフレ」懸念
13  「既存住宅にも火災警報器」設置期限迫る…鳥取

【日経産業新聞】
14  一建設、注文住宅事業を“増築” 980万円プラン設定

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10  「一等地」総崩れ…新築物件で2割値下げも  2010/3/19 読売新聞
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 18日に発表された2010年1月1日時点の公示地価では、08年までの地価上昇局面で大きく値を上げた東京・銀座や表参道などの一等地で、落ち込みが目立った。
 商業地ではブランド店の撤退やオフィスの縮小などが相次ぎ、住宅地ではマンション販売が低迷。08年秋の金融危機を境に再び始まった地価下落に拍車がかかった。

空き店舗
 東京・銀座の並木通り沿いには空き店舗が目立つ。近くの不動産業者は「海外の高級ブランド店の入居を見込んでいたが、景気悪化と賃料の高さを理由に急にキャンセルが入った店が多い」と説明する。
 テナントが入らないと賃料を下げざるを得ず、これが周辺の地価下落につながっている。銀座では、外資系ファンドの投資などで「ミニバブル」が起きた08年には地価が30%以上も上がった地点があったが、金融危機で状況が一変した。
 09年夏には銀座4丁目交差点の近くで、米国の高級衣料品ブランド店「ブルックスブラザーズ」が撤退した。跡地には隣接する「ユニクロ銀座店」が進出し、売り場面積を広げた。賃料下落も影響してか、銀座の目抜き通りである中央通りには最近、ヘネス&マウリッツ(H&M)など、手頃な価格の欧米系のカジュアルブランドの店舗が目立つようになった。
 企業が賃料の高い都心を離れたり、オフィスを縮小したりする動きも加速している。中堅・中小企業を主な取引相手としているりそなホールディングスは、大企業が集まる都心に本社を置く必要はないと判断し、東京・大手町の本社ビルを売って今年5月に東京都江東区へ移る。
 住宅地もほとんどの地点で下落し、特に千葉県市川市や同県浦安市では、下落率が10%を超えた。JR東京駅から20キロ圏内という便の良さで人気を集め、08年は地価が平均で5%以上、上昇していた地域だ。
「ミニバブルの時期に供給量が増えた地域で、高額な物件ほど売れ残っている」(みずほ証券の石沢卓志氏)といい、過去の上昇の反動も出ている。東京都江東区では、当初の価格を2割引き下げて販売する新築物件もあったという。

上昇地点
 数少ないながら、地価が上昇した地点もある。
 名古屋市緑区では、来年3月の地下鉄桜通線の新駅開業を前に5地点で上昇した。JR名古屋駅と結ばれて利便性が高まるためだ。
 静岡県長泉町でも2地点で上がった。東海道新幹線・三島駅に近く、県立静岡がんセンターを核にした先端産業の企業誘致で人口が増えたことが影響した。
 JR池袋駅東口(東京都豊島区)近くの地点も、下落率が大きく縮小した。昨年10月、三越が撤退した店舗を改装して、家電量販店最大手のヤマダ電機が出店。近くのビックカメラとの間で「家電戦争」が始まり、買い物客が増えたことが影響したとみられている。

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11  公示地価、2年連続下落  2010/3/19 読売新聞
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「上昇」最小の7地点
 国土交通省は18日、2010年1月1日時点の公示地価を公表した。住宅地、商業地ともに全国平均の価格は2年連続で下落した。
 前年比の下落率は、いずれも09年より拡大した。前年と比較できる2万7410地点のうち、上昇したのはわずか7地点で、1970年の調査開始以来、最も少なかった。08年秋の「リーマン・ショック」以降の景気悪化で企業のオフィス需要が低迷し、所得が伸び悩む中で個人の住宅購入意欲も冷え込んでいることを反映した。
 全国平均の下落率は、住宅地が前年比で4・2%、商業地が6・1%、工業地なども合わせた全用途では4・6%だった。住宅地で上昇したのは、名古屋市緑区と静岡県長泉町の6地点のみ。商業地の上昇地点も名古屋市緑区の1地点だけだった。地価が前年から横ばいの地点数も101と、09年の846から大きく減った。
 下落率は特に都心の一等地で大きく、全国の下落率上位10地点のうち9地点が東京都心の商業地だった。景気低迷で店舗を撤退したり、オフィスの規模を縮小したりする企業が相次ぎ、ビルの賃料などが下がって地価を押し下げた。商業地の下落率は、3大都市圏で前年より拡大した。住宅地では、3大都市圏のうち名古屋圏のみ下落率が縮小した。
 3大都市圏以外の地方圏では住宅地、商業地ともに18年連続で下落し、下落率は前年より大きくなった。
 都道府県別では、住宅地、商業地とも全都道府県で下落した。下落率が最も大きかったのは、住宅地が石川県(6・4%)、商業地が東京都(9・0%)。
 最も地価が高かったのは4年連続で東京都中央区銀座4丁目の山野楽器銀座本店。価格は1平方メートル当たり2840万円だったが、前年比では25・7%下落した。
 一方、地価の下落傾向は09年後半に、やや歯止めがかかりつつある。10年1月の公示地価と09年7月1日時点の基準地価を比べると、住宅地で9都県、商業地で14都県の下落率が縮小している。

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12  地価下落「資産デフレ」懸念  2010/3/19 読売新聞
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投資・消費控える傾向、資金繰りに悪影響も
 18日に公表された公示地価で、地価の下落傾向が鮮明となったことで、今後の景気への悪影響も懸念される。
 資産価格の下落が個人消費や企業の投資意欲を冷え込ませ、経済の活力を奪う「資産デフレ」に陥る可能性もある。地価の持ち直しは景気回復より遅れる傾向があるものの、先行きは不透明だ。
 野村証券の木内登英氏は地価下落の影響について、「個人や企業が保有している資産の価値が下がったと考えれば、消費や投資の抑制につながりやすい」と指摘する。「逆資産効果」と呼ばれるものだ。
 第一生命経済研究所は、全国の地価が年間10%下がれば、個人消費や設備投資が落ちこむことで、国内総生産(GDP)の名目成長率を1年目に0・1%分、2年目に0・6%分、それぞれ押し下げると試算する。
 金融機関にとっては担保の価値が下がることになり、融資に慎重になる可能性もある。1990年代のバブル崩壊後の景気悪化局面では、地価の下落が金融機関の不良債権を増やし、「貸し渋り」などを招いた。今後も地価下落が続けば、中小企業の資金繰りなどに悪影響を与える恐れもある。
 一般企業も保有不動産の価値が下がれば、会計上の損失処理が必要になることもあり、業績に響く。
 オフィスビルやマンションなどを保有し、賃料収入などを投資家に配当するJリート(上場不動産投資信託)市場も低迷が続く。市場全体の値動きを示す「東証リート指数」は3月18日の終値で931と、2年前と比べ約30%低い。昨年秋以降はやや持ち直しているが、回復の動きは鈍い。
 一方、地価は景気の動きから1年程度遅れて変動する遅行指標ともいわれている。今回の地価下落は「08年秋のリーマン・ショックで経済が大きく落ち込んだ影響を引きずったもの」(ニッセイ基礎研究所の櫨浩一氏)との指摘もあり、12年ごろには地価が上昇に転じるとの見方も出ている。(山本正実)

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13  「既存住宅にも火災警報器」設置期限迫る…鳥取  2010/3/18 読売新聞
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 天井に設置される火災警報器。電池式で配線は不要だ(県東部消防局提供) 改正消防法などで県内の全住宅に義務づけられた火災警報器の設置期限が2011年5月末に迫る中、昨年末現在の設置率(推計値)が27・7%にとどまっていることが、鳥取県のまとめでわかった。
 全国平均の52%を大きく下回り、47都道府県で下から4番目。周知不足が背景にあり、各自治体は高齢者世帯向けの補助制度を設けるなど普及を急いでいる。
 県消防チームが東、中、西部の各消防局の抽出調査などを基に集計。トップの中部でも43・8%で、西部は28%、東部は20・4%だった。
 中部では5市町中、三朝町を除く4市町が設置に対する助成を実施。三朝町も、消防団が各集落に設置を呼びかけ、警報器を安く共同購入する取り組みを進めていることが奏功しているという。
 一方、県都を抱える県東部消防局の担当者は「都市部は消防団の活動が比較的低調で、周知が難しい面がある。条例に罰則はなく、知っていても『期限まで時間がある』と考えている人が多いようだ」と話す。
 警報器の設置は、06年6月施行の改正消防法で新築住宅に義務づけられた。施行前に建てられた既存住宅についても、各市町村が条例で義務化の時期を決めることとされ、県内では全自治体が、11年5月末までに寝室と寝室のある階への階段に設置するよう求めている。
 背景には、住宅火災による死者の多くが、高齢者を中心に逃げ遅れたためとみられる現状がある。
 総務省消防庁によると、08年に住宅火災で亡くなったのは1123人(放火自殺者を除く)。うち59・4%が逃げ遅れによるもので、65歳以上が63・2%に上った。県内でも同年の死者14人中、11人(78・5%)が逃げ遅れだった。
 一方、警報器が設置されていれば、死者数を3分の1に減らせるとの調査結果も。鳥取市では今年1月5日、一人暮らしの60歳代の女性宅で、調理中の天ぷら鍋から出火。女性は別室にいたが、警報器の作動で気付き、ぬれタオルを鍋にかぶせて消し止めて事なきを得た。
 警報器はホームセンターなどで1個1万~4000円程度で販売されており、配線工事の不要な電池式が主流という。普及を急ぐため、中部の4市町以外にも鳥取市や伯耆町など9市町村が助成を実施。残る6町のうち、岩美町は4月から既存住宅約4000戸を対象に警報器1個を無償配布する方針だ。
 東部消防局の稲田宗万・予防課長は「地域によって行政の助成や消防団などの取り組みに濃淡はあるが、あらゆる窓口を通じて設置をねばり強く呼びかけたい」。企業を回って従業員に共同購入を呼びかけることも行うという。

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14  一建設、注文住宅事業を“増築” 980万円プラン設定  2010/3/17 日経産業新聞
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 ジャスダック上場で戸建て分譲最大手の一建設は注文住宅事業を拡大する。基本プランが決まっている規格型の注文住宅を1000万円前後の低価格で販売するほか、モデルハウスを開設し、分譲では取り込めない、既存住宅からの建て替え層を開拓する。注文住宅の販売を2011年1月期は前期比約7倍の550棟に引き上げる。
 規格型注文住宅「リーブルセレクト」は基本プラン数を約600設けた。関東地区では980万円からで販売する。戸建て分譲住宅と仕様や材料を共有し、ムダな建築費を削ることで低価格を実現した。2階建てで延べ床面積は約89~106平方メートル。

2010-04-25 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed