住宅関連新聞記事ダイジェスト No.378  2011/3/31~2011/4/6

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.378  2011/3/31~2011/4/6 Vol.1
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【日本経済新聞】

1  マンション管理組合は「地震リスク」とどう向き合えばいいのか?

2  今借りているマンションの所有者が被災された

3  資材不足で緊急調査、国交省「仮設住宅用は確保」

4  吉村靖孝氏がコンテナ規格の被災者用住宅を提案

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1  マンション管理組合は「地震リスク」とどう向き合えばいいのか?  2011/4/4 日本経済新聞

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3月11日午後2時46分、読者の皆さんはどこで何をしていただろうか?――東日本を襲ったマグニチュード(M)9.0の巨大地震の発生から3週間余り、応急仮設住宅の建設や公営住宅への入居受け付けが開始されるなど、被災者の生活再建への第一歩がようやく踏み出された。復興へ向けた支援活動も本格的な動きを見せ始めた。

政府の試算によると、今回の地震による直接的な被害額は16兆~25兆円にのぼるそうで、9.9兆円(兵庫県の推計)だった阪神淡路大震災の最大2.5倍に相当することになる。地震エネルギーが2004年のインドネシア・スマトラ沖地震(M9.1)に匹敵する規模だったことに加え、堤防がまったく役に立たないほどの巨大津波が襲ったことが、被害額を上積みさせてしまった。阪神淡路では復興資金として16兆円が投入され、復興までにおよそ5年の年月が費やされた。今回の東日本大震災では何年かかるか、今後の支援体制によってくるが、険しくも必ずゴールがあることに疑いはない。被災者の皆さんは“その日”を信じて、試練を乗り越えてほしいと思う。

わが身を振り返った場合、地震列島日本で暮らす限りにおいて、地震から逃れることは不可能だ。東京では首都直下地震、また、東海・南海・東南海方面ではM8クラスの大規模地震が切迫性を高めている。そうした中、今後はどうやって地震と向き合っていけばいいのか、すべての人に危機対応能力が問われることになる。もちろん管理組合も例外ではない。マンションを管理する団体として、管理組合には安心・安全な生活を居住者に提供する重要な役割がある。「自分たちだけは大丈夫」といった考えは捨てて、真剣に自宅マンションの自衛策を練る必要があるだろう。

今回、その一助となるよう、本コラムでは管理組合向けに防災のためのノウハウをまとめてみた。パニックは不知から始まる。自分の財産は自分で守るしかないことを肝に銘じ、できることから1つずつ実践に移してもらいたいと思う。

■マンションは「生活の拠点」 些細な被害でもダイレクトに日常生活に悪影響を及ぼす

日本に分譲マンションが誕生して半世紀、今では主要な居住形態としてすっかり定着したマンションだが、そのルーツ(原型)をさかのぼると1923年の関東大震災にたどり着く。同震災では全体の9割近く(約9万2000名)の尊い命が火災によって奪われたことから、火災に強い建物を建設しようと鉄筋コンクリート製の住宅(同潤会アパート)が考案された。その後、1950年に建築基準法が施行され、大震災発生のたびに耐震性についての基準が強化されていった。そして、現行(新耐震基準:1981年改正)では、震度6強から震度7程度の地震に対し、建物が倒壊・崩壊しない程度の耐震安全性が設計上、確保されるまでになっている。一般にマンションが火災と地震に強いとされるのは、こうした経緯のお陰といえる。

この新耐震基準は今回の東日本大震災でも一定の成果を上げており、(社)高層住宅管理業協会が東北地方の会員会社(=各マンション管理業者)にヒアリングした調査結果によると、78.8%の分譲マンションで巨大地震による目立った被害はなかったことが判明した。大規模な補強や補修が必要となる「中破」が2.4%、ひび割れなどの補修が必要となる「小破」が18.8%あったものの、致命的な打撃を受ける「大破」は幸いにしてゼロだった(下表参照)。

東日本大震災による東北地方の分譲マンション被害状況   大 破 中 破 小 破 軽微・損傷なし 合 計

組合数 0 26 208 872 1,106

比 率 0% 2.4% 18.8% 78.8% 100%

(出所)高層住宅管理業協会  (3月16日午後2時時点)

※青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の6県を対象に、3月16日までに目視調査できた分譲マンション(1106組合)の集計結果。

とはいえ、楽観視していいというわけではない。筆者が耳にしたある管理会社の話では、窓ガラスに亀裂が入ったり、水道管が破損して漏水事故が起こるなどのトラブルが発生していた。どちらも震度5強の強震を観測した東京都内の分譲マンションでの話だ。同じ建物でもオフィスビルや工場とは異なり、分譲マンションはその人の「生活の場」そのものとなる。生活の拠点であるだけに、些細な被害でもダイレクトに日常生活に悪影響を及ぼす。こうした事例が稀(まれ)なケースであればいいのだが、ほかでもしばしば見られるようだと事態は深刻だ。もしも自宅マンションが遭遇した場合、どう事態を収拾すればいいのか、管理組合には危機管理能力が問われることになる。

■安心・安全な生活を居住者に提供するのが、管理組合の使命であり存在理由でもある

そこで、緊急時の対応策を練っておくことが重要となる。何の準備もできていない管理組合は、これを契機にさっそく取り掛かってもらいたい。

<管理組合に求められる10の防災対策>

1. 防災対策委員会を立ち上げ、専属の業務機関を新設する。

2. 世帯数や築年数、居住者の属性(例:子育て世代が中心)などに応じて独自の防災計画や防災マニュアルを作成する。

3. 安否確認がスムーズにできるよう、居住者名簿と緊急連絡簿を作成しておく。

4. 上記の名簿のほか、設計図書や竣工図・会計報告書類・保険証書などの重要資料が地震で紛失しないよう、管理場所や管理方法をあらかじめ決めておく。

5. 共用施設が充実したマンションでは被害状況が把握しやすいよう、管理組合財産の目録(備品台帳)を作成しておく。

6. 水や食料、救護用具などの備蓄品をそろえておく。

7. すべての居住者(区分所有者、賃借人)へ地震リスクに対する啓蒙活動を行い、防災訓練にも積極的に参加してもらう。

8. エレベーターに地震時管制運転装置がない場合は新たに装備する(後付け可能)

9. 耐震診断を行い、その結果に応じて耐震改修を実施する。

10. 埋立地に建設された沿岸部のマンションでは、液状化による被害を念頭に敷地の地盤調査をしておく。

まず、やっていただきたいのが防災対策委員会の立ち上げだ。理事会とは切り離された専属の業務機関を新設することで、日常の組合運営に忙しい各役員に余分な負担を掛けないようにする。たとえ警備会社が常勤していたとしても、管理組合主体の自治組織として設置してほしい。次に委員会では参加委員を募ってメンバーを確定した後、委員長や副委員長、広報担当、救護担当といった役割分担を決めていく。そして、世帯数や居住者属性などを加味しながら、各マンションの特性に合わせた震災時の活動マニュアルを作成する(以下のリンク参考)。これによりイザというときに、慌てず冷静な行動が可能となる。

層住宅防災対策「震災時活動マニュアル策定の手引き」(東京都中央区のホームページ)

と同時に、緊急連絡簿や財産目録も準備しておくと安心だ。巨大地震でマンションが大打撃を受けた場合、担当委員が手分けして全世帯の安否確認を行うことになるが、その際、名簿があると役に立つ。また、たとえばシアタールームやフィットネスルーム等の高額機材が被害を受けた場合など、財産目録があると被害の状況把握が早くなる。保険に加入していれば保険金の請求時にも一役買うことになる。そして次に、エレベーターに地震時管制運転装置がない高経年マンションでは、この装置を後付けすることをお勧めする。一定の揺れを感知すると最寄り階に自動停止し、閉じ込め事故を防いでくれる装置だ。旧式のエレベーターでも制御盤に手を加えることで新機能を追加できる。費用はかさむが人の命にかかわるだけに、導入することをお勧めしたい。

そして最後に、液状化についての危機意識も持っておくようにするといいだろう。今回の巨大地震では江東区の新木場や千葉県の浦安、幕張などで、液状化により水道管がダメージを受けて断水したマンションがあった。埋立地で被害が多発していると聞く。沿岸部のマンションでは地盤調査をしておくと、もしものときの被害低減に役立つはずだ。

繰り返しになるが、管理組合にはマンションを管理する団体として、すべての居住者に安心・安全な生活を提供する重要な役割がある。被災地では全員が被災者だ。自助努力の原則にのっとり、できる限りの自衛策を講じておくことが安全・安心なマンションライフへの近道となる。

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2  今借りているマンションの所有者が被災された  2011/3/31 日本経済新聞

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(東京都 40歳代 会社員 女性)

私たち家族は現在、東京都江戸川区で、分譲マンションの所有者から仲介業者を通してお部屋を借りて住んでいます。住み始めたのは3年前で、契約期間は5年間の定期借家契約です。

間接的に聞いた話ですが、宮城県の気仙沼市にお住まいの所有者さんが、このたびの津波で家をなくされたそうです。所有者さんは、以前このマンションに住んでおられたのですが、4年ほど前にご出身地に戻られたそうです。

仮に、所有者さんがこのマンションに住むから出て行ってくれと言われたら、私たちは、出て行かなければいけないのでしょうか。もしそうだとすれば、立ち退き料などいただけるのでしょうか。

原発による被曝(ひばく)問題もあり、私たちも出身地の関西に戻った方がよいのかなど、不安だらけの毎日です。よろしくお願いします。

明け渡しの必要性次第です

(住宅ねっと相談室カウンセラー 司法書士 石田 光廣)

ご不安なお気持ち、お察しします。今回の災害は地震だけにとどまらず、津波や原発事故などの二次災害の影響が大きく、ご苦労されている方も広範囲に渡っていることから、私も心配しております。私の住む京都にも、災害地から多くの方が避難され始めております。

さて、ご心配の点ですが、仮に契約が一般の借家契約の場合、大家さんに正当事由があれば明け渡しを迫られることがあります。具体的には、大家さんの所有する家が今借りている家しかない場合、あるいは、どうしてもその家に戻らなければいけない理由がある場合などは正当事由になり得るでしょう。この場合、適当な引っ越し準備期間終了後、出て行かなければならない可能性もあります。立ち退き料も、事情および大家さんのそのときの資力次第です。

もっとも、相談者の場合は5年間の定期借家契約ですから、少し考え方は少し異なります。定期借家契約は、期間限定の明確な契約です。もともと大家さんにとっても計画が立てやすい有利な契約ですから、正当事由の判断も一般の借家契約と当然同じではありません。もし仮に大家さんが今お住まいのマンションを必要だとしても、後2年で確実に取り戻せます。そこで、その期間、大家さん側がほかの方法でつなぐことができないかという判断も生まれます。たとえば、2年間は仮住居施設に住むことができないか、あるいは、2年間ほかのマンションを借りることができないかなどです。もし裁判になっても、裁判所はそれらを総合して明け渡しの必要性を判断してくれるはずです。

今回の震災は、日本人に助け合いと感謝の気持ちを呼び覚ましてくれました。相談者のケースも、もし仮にご心配のような事態になったとしても、お互いの事情を明確にして、法律上の権利とは違った角度からの譲歩も導き出せるよう、じっくりと当事者間で話し合ってみてください。

また、相談者ご自身も原発事故問題に関し、単なる風評に惑わされることがないよう、冷静な判断をお願いいたします。

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3  資材不足で緊急調査、国交省「仮設住宅用は確保」  2011/4/6 日本経済新聞系

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国土交通省は4月5日、林野庁、経済産業省、環境省と共同で実施した住宅用建材に関する需給状況の緊急調査の結果を公表した。東日本大震災の影響で合板やパーティクルボード、グラスウールなどの供給量が減少する一方で、注文が増加。一部の資材で需給バランスが崩れている実態が明らかになった。国交省は当面、動向を注視し、関係業界に適正取引を指導する方針だ。

4月5日、東京・霞が関の国土交通省で開かれた「被災者向けの住宅供給の促進等に関する検討会議」の第2回会合

調査結果は、国交省が「被災者向けの住宅供給の促進等に関する検討会議」(座長:池口修次・国土交通副大臣)の4月5日の会合で提出した。検討会議は、国交省のほか、総務省、厚生労働省、農林水産省、林野庁、経産省、環境省、防衛省、消費者庁の局長クラスで構成する。

調査は3月24日から31日まで、住宅生産者や建材メーカー、建材商社、木材関連業者など約1600社を対象に実施した。構造用合板など19品目の資材の流通量について、震災前後の状況を聞いた。

震災による生産施設の損傷、物流の停滞、計画停電の影響などによって、資材の生産量は軒並み落ち込んでいる。調査時点の生産量は例えば、構造用合板が約3割減、パーティクルボードが約2割減、グラスウールが約3割減となっている。増産や被災工場の操業再開、輸入拡大などで4月以降の供給量回復を見込んでいる。

被災地では、資材不足で応急仮設住宅の供給が遅れる懸念が強まっている。国交省は、震災後2カ月で建設予定の仮設住宅3万戸分について、必要な数量はおおむね確保できるとの見通しを示した。

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4  吉村靖孝氏がコンテナ規格の被災者用住宅を提案  2011/4/5 日本経済新聞系

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吉村靖孝建築設計事務所(東京都渋谷区)は東日本大震災の被災者に対し、コンテナ規格の住宅を設計し被災地に届けるプロジェクト「エクスコンテナ・プロジェクト(EX-CONTAINER PROJECT)」を立ち上げた。吉村氏が以前、設計したコンテナ規格のホテル客室ユニットで得た設計ノウハウを活かし、応急仮設住宅だけでなく、再建住宅やコミュニティ施設として利用できるようにする。

4月4日時点で想定するのは3タイプ。20フィート・コンテナを横に2つ並べる「仮設住宅スタンダードタイプ」(広さ約28m2)、縦に2つ積む「仮設住宅2階建てタイプ」(広さ約26m2)、2つのコンテナの間に空間を設け広さを約50から60m2にする「常設住宅タイプ」だ。いずれのタイプの住宅にも、洗面、バス、トイレ、キッチン、居室が付く。工場で内装まで仕上げることを想定しており、現場への資材搬入や建設作業を削減できる。

吉村氏によると、一般的な応急仮設住宅の建設コストは1戸当たり約300万円かかり、これを2年で撤去すると月額12万円以上のコストになる。エクスコンテナ・プロジェクトの仮設住宅スタンダードタイプの建設コストは300万円を目標にする。仮設住宅2階建てタイプは400万円、常設住宅タイプは500万円がそれぞれ目標とする建設コストだ。仮設住宅と常設住宅を別々にデザインするのではなく、共通化して、仮設と常設を横断する選択肢を提供する。

現在、ホームページ(http://exc.ysmr.com/)で、寄付を募集している。賛同者が集まり始めており、設計の支援を申し出る人や、建材を提供したいというメーカーも出てきているという。

まずは仮設住宅のプロトタイプを1棟建てる予定だ。4月4日現在、半年で20棟、1年で50棟程度を当面の目標として活動している。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.378  2011/3/31~2011/4/6 Vol.2
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【日本経済新聞】

5  仙台の賃貸住宅需給が逼迫、個人・企業・自治体が確保に動く

6  環境配慮の青山ビルが完成、坪2.3万円で募集

7  天災でも適用する「地震補償保険付き地盤保証」を開始

8  東芝グループ、仮設や復興住宅に向けて太陽電池や蓄電池、省エネ家電の組み合わせシステムを100世帯分無償提供

【朝日新聞】

9  義援金、日住協関係で3億3000万円に

10  東京・渋谷で6月12日コンサート 震災復興支援募金も 住友不販

11  ワイズ 太陽光発電システム搭載型カーポート・ガレージに新タイプ

12  応急仮設住宅「3万戸を追加」国交相が住団連に要請

13  東京・六本木で建て替え工事に着手 森ビル

14  東日本大震災影響で景気指標が低下 TDB調べ

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5  仙台の賃貸住宅需給が逼迫、個人・企業・自治体が確保に動く  2011/4/5 日本経済新聞系

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東日本大震災の影響で、仙台エリアにおける賃貸住宅の需給が逼迫(ひっぱく)し始めた。被災者の入居需要が高まる一方、地震や津波の被害で今すぐに貸し出せる物件が減ったためだ。地震発生から3週間が経過した現在も、物件の被害確認に追われるオーナーや管理会社は多く、事態が好転するめどは立っていない。

宮城県は2万戸以上の仮設住宅建設を予定するほか、民間住宅1万戸を被災者向けに確保する考え。原則として2年間、県の負担で民間住宅を借り上げる予定で、間取りに応じて月額賃料の上限を設けている。例えば1Kやワンルームなら5万2000円まで、2LDKならば8万8000円までといった具合だ。「物件のグレードにもよるが、悪くない家賃水準だ」(地元不動産会社)。

問題はそれだけの住戸を実際に用意できるかだ。仙台周辺エリアではここ1~2年、県外から移転・進出を決める企業が相次いだ。これらの企業が従業員向けの住宅を求めたことで、一時は9割を切っていた賃貸住宅の平均稼働率が上昇に転じていた。こうしたなかでの震災発生。被災者が自ら移転先を探したり、臨海部で津波に襲われた工場が、近隣に住んでいた従業員のために新たな住宅を探したりと、住宅需要は確実に増している。

退去勧告の築浅マンションも

逆に地震被害によって、空室の供給は細っている。3月は引っ越しシーズンだが、ガソリン不足や物流の乱れなどで、やむなく取りやめるケースが出ている。

全住民に退去勧告が出されたマンション 物理的な被害も無視できない。例えば、JR仙台駅に近い戸数200超の大型賃貸マンション。2年ほど前に完成した新しい物件だが、3月15日、オーナーである不動産会社から全住民に対して退去が勧告された。建物全体が重大な損傷を受け、使用不能であることが民間検査機関の調べで明らかになったという。具体的には、大梁や外壁へのクラック、タイルの剥離(はくり)、玄関ドア枠の変形といった被害が生じた。今後、詳細な診断を行うとしているが、再び賃貸できるかは不透明だ。

外からは問題ないように見える物件でも、内装や設備に被害を受けているケースも散見される。地元不動産会社によると、特に電気温水器の転倒が目立つ。阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、取り付けに際しては温水器を金具で固定することが一般化しているが、今回の揺れはその対策を上回るレベルだった。工場の被災で修理用金具の供給が滞っているとの話もあり、空き物件を市場に出せない一つの原因となっているもようだ。

県内の賃貸住宅着工は2006年をピークに大幅な減少を続けてきた。仙台市内のマンション計画地でも、地震を理由に着工を延期するケースが出ている。短期的に需給ギャップを解消するのは難しく、被災者の一時的な県外移住を含めた対策が必要な情勢だ。

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6  環境配慮の青山ビルが完成、坪2.3万円で募集  2011/4/4 日本経済新聞系

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戸田建設が中規模賃貸オフィスビルの環境配慮型モデルとして開発を進めていた「TODA BUILDING 青山」が3月31日、港区赤坂8丁目に完成した。窓面への日射を発電に利用する透過型太陽光発電パネルなど、50項目の環境配慮を施した。1坪あたり共益費込み2万3000円でテナントを募集している。

ビルは、地下鉄青山一丁目駅から徒歩約3分の外苑東通り沿いの自社所有地に建設した。地上8階建て、延べ床面積3755m2、基準階面積397m2。制震ブレースで地震時の揺れを抑える構造だ。

完成時点でテナントは決まっていない。環境性能向上による賃料の割り増しはせず、周辺相場に合わせた。建設費は設計費別で約9億円。延べ床面積1坪あたり約80万円だ。多数の環境技術を導入したことによる建設費の増加分は10%ほど。ビル運営に要する費用は、一般のビルと同等と見積もっている。

ファサードは、透過型太陽光発電パネルを組み込んだダブルスキンカーテンウオール構造とした。二重構造内部の暖気を冬期には室内に取り入れ、夏期には排出するなどして空調負荷を軽減する。ほかにも、地中熱を利用したふく射天井空調システムを2階の事務室に導入した。6階エレベーターホールには、光ダクトを使って自然光を取り入れている。

試算によると、運用段階の1m2あたり年間エネルギー消費量は約1361MJ(メガジュール)。同規模の平均的なオフィスビルの約6割だ。テナントも応分の電気代を節約できるとみている。屋上に設置した太陽光発電パネルとファサードの透過型太陽光発電パネルで、照明用電力の約7%を賄う計算だ。施工段階のCO2排出量は従来に比べて約25%削減できた。

環境格付けのCASBEE(キャスビー、建築環境総合性能評価システム)で最上位のSランクの認証を取得した。一方、東京都の建築物環境計画書制度に基づく建物断熱性能を示すPAL低減率は25.1%、設備の省エネ効率を示すERRは39.4%。いずれも最高位に位置づけられる。

テナント誘致からビル運営まで一貫して戸田建設グループが手がけ、環境ニーズを把握して省エネ効果を検証する。長期間保有する方針だ。戸田建設はこのビルをプロトタイプとして、環境配慮型中規模賃貸オフィスビルの受注拡大を目指す。

名称:TODA BUILDING 青山

所在地:港区赤坂8-5-34(住居表示)

最寄り駅:地下鉄青山一丁目駅徒歩3分

面積:土地623.71m2、延べ床3755.01m2、賃貸可能床2657.66m2

構造、階数(地上/地下):S造(制震)、8/0

駐車台数:9台(うち平面3台)

事業主:戸田建設

設計・施工者:戸田建設

運営会社:千代田土地建物(戸田建設グループ)

工期:2010年6月~2011年3月

建設費:約9億円(設計費別)

CASBEE:Sランク(環境効率を示すBEE値は4.2)

PAL低減率:25.1%、ERR:39.4%

太陽光の発電量見込み:屋上部14000kWh/年、ファサード部2000kWh/年

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7  天災でも適用する「地震補償保険付き地盤保証」を開始  2011/4/4 日本経済新聞系

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地盤調査や地盤保証サービスなどを手がける地盤ネット(東京都江東区)は4月1日から、地震や津波の被害を受けた場合に保険金を受け取れる「地震補償保険」をセットにした「地震補償保険付き地盤保証」サービスを開始。従来から地震補償保険を展開してきた日本震災パートナーズ(東京都新宿区)と業務提携して立ち上げたサービスだ。6月末までの期間限定で申し込みを受け付け始めた。

同社の地盤保証の保証期間は、対象となる建物の引き渡し日から10年。保証額は事故1件に対して上限5000万円。保証期間を20年間とする特約も設けている。保証内容は、不同沈下による建物の損害に対する現状回復のための補修工事や、補修期間中の仮住まい費用など。これに「地震補償保険」をセットし、地震などによる地盤沈下の場合でも最大300万円を受け取れるようにした。

地盤の不同沈下などの際に適用される地盤保証は一般に、地震などの自然災害に起因する場合は対象外。「東日本大震災でも、首都圏などを含めて液状化による住宅の沈下被害も多数生じたが、既存の地盤保証の枠組みでは保証を適用できない」(地盤ネットの山本強社長)。他方、一般的な地震保険は火災保険に付帯する契約であり、火災保険金の総額の範囲で金額が決まるので、実際に被害を受けた場合に十分な復旧費用にならないケースもあるという。

「今回の災害を踏まえ、少しでも生活再建の費用になる仕組みを用意する必要があると考えて、保険と保証をセットにして試験的に展開し始めた。この種のサービスとしては、恐らく初めてではないか」と山本社長は話す。

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8  東芝グループ、仮設や復興住宅に向けて太陽電池や蓄電池、省エネ家電の組み合わせシステムを100世帯分無償提供  2011/4/1 日本経済新聞系

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東芝は、東日本大震災の被災者への仮設および復興住宅に向けて、同社グループから太陽光発電システムや省エネ型家電機器を100世帯分無償で提供すると発表した。提供するシステムや機器は、

・住宅用太陽光発電システム

・蓄電池システム

・液晶テレビ

・エアコン

・冷蔵庫

・洗濯機

・炊飯器

・LED照明

である。発電システムと蓄電システム、そして省エネ家電機器を組み合わせることで、今後逼迫が想定される電力需要の中でも家庭での最適なエネルギー管理が可能とする。東芝は今後、被災地での仮設住宅や復興住宅に関する行政の具体的な計画に併せて今回のシステムを提供すると共に、行政からの要請に基づいて省エネ家電機器をさらに提供することを検討していくとする。

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9  義援金、日住協関係で3億3000万円に  2011/4/5 朝日新聞

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主に中堅クラスの不動産会社で構成する日本住宅建設産業協会(日住協)は、東日本大震災における同協会関係の義援金が3億3000万円になったと発表した。

内訳は、同協会が1000万円、会員会社が3億500万円、会員会社の役員社員が1500万円。4月1日までに日本赤十字社ほかに寄託された。

なお、3月末時点の同協会の正会員数は563社・賛助会員が127社。

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10  東京・渋谷で6月12日コンサート 震災復興支援募金も 住友不販  2011/4/5 朝日新聞

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住友不動産販売(本社・東京都新宿区)は6月12日、東京・渋谷のオーチャードホールで「第81回サマーステップコンサート」を開く。抽選で2150人を無料招待する。今回は“東日本大震災の復興支援コンサート”と位置付け、当日は会場に被災者支援のための募金箱を設置。集まった募金は日本赤十字社を通じて被災地復興のために活用する。コンサートはバリトン歌手の宮本益光氏をゲストに迎え、ヴァイオリニストの千住真理子氏、現田成夫氏指揮の新日本フィル交響楽団で、クラシックからポピュラーまで親しみのある楽曲を提供する。

参加希望者は、郵便はがきに代表者の(1)郵便番号・住所、(2)氏名(フリガナ)、(3)職業、(4)電話番号、(5)参加希望人数(本人含む)、(6)それぞれの年齢を記入の上、〒163-0819新宿区西新宿2の4の1、新宿NSビル19階、住友不動産販売(株)「第81回サマーステップコンサート」事務局まで。インターネットの場合は同社ホームページから。締め切りは5月17日必着。応募多数の場合は抽選。

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11  ワイズ 太陽光発電システム搭載型カーポート・ガレージに新タイプ  2011/4/5 朝日新聞

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ワイズ(大阪府)はこのほど、駐車場スペースを利用した太陽光発電システム搭載型カーポート・ガレージ「ソーラーピット」に、新たにアルミカーポートタイプ2機種を追加した。従来は鉄骨組みのガレージ3タイプ、カーポート3タイプだった。アルミ材を採用することで施工性・汎用性が高まり、幅広いニーズに対応できるという。

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12  応急仮設住宅「3万戸を追加」国交相が住団連に要請  2011/4/5 朝日新聞

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大畠国土交通大臣は4月5日、住宅生産団体連合会と会談し、東日本大震災の被災者のための応急仮設住宅を、これまで要請していた「2カ月で3万戸」に加え、その後3カ月で3万戸を追加供給するよう要請した。会談後、住団連の樋口武男会長は記者団に対し、「最初の3万戸はメドが立っている。追加の3万戸も段取りできない事はないと思っている」と説明。また、大畠大臣に対して、「建設場所の早急な決定を要請した」と話した。

応急仮設住宅を巡っては、岩手県、宮城県、福島県、栃木県、千葉県、長野県が計6万2290戸を要請している。一方、国交省によると、着工が決まったのは、4月5日午前10時現在、被災地70地区で6282戸となっている。

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13  東京・六本木で建て替え工事に着手 森ビル  2011/4/5 朝日新聞

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森ビルは4月5日、東京都港区六本木で計画していた「(仮称)21・25森ビル建替計画」の本体工事に着手した。同計画は、六本木21森ビルと六本木25森ビルを一体で建て替えるもの。アークヒルズと歩行者デッキで接続し、歩行者の回遊性を向上するなどしている。

竣工は2013年6月を予定。

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14  東日本大震災影響で景気指標が低下 TDB調べ  2011/4/5 朝日新聞

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帝国データバンク(TDB)の調査によると、3月の不動産業の景気DIは前月比5.4ポイント減の30.6となり、5カ月ぶりに悪化した。TDBは、3月11日に発生した東日本大震災による消費意欲の低下などを背景と見ている。また、事業者からは震災の影響について、「エンドユーザーの動きが悪くなると思われる」(戸建販売)や「物資の不足が続くと思われ、新規物件の供給に影響が出てくることを懸念している」(建物売買)といった声が上がっている。

景気DIの判断の分かれ目は50。それより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味している。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.378  2011/3/31~2011/4/6 Vol.3
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【朝日新聞】

15  マンション勧誘への規制強化、2011年度中に対応 規制・制度改革方針案

16  2010年末の大規模オフィスビル市場 東京23区の空室率微増 森ビル

17  大和ハウス工業 可搬式の電源装置販売 蓄電池と太陽光をパックに

18  2店舗新設、加盟店が累計123店舗体制にレオパレス

19  2月住宅着工は10.1%増 持ち直しも震災で今後は不透明

【読売新聞】

20  地震保険支払い1兆円も

21  照明・TVでも節電

22  エアコン・冷蔵庫 センサー駆使で省エネ運転

23  地震保険に関心高まる

【日経産業新聞】

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15  マンション勧誘への規制強化、2011年度中に対応 規制・制度改革方針案  2011/4/5 朝日新聞

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内閣府は4月5日、規制・制度改革に係る方針案を民主党の内閣部門・成長戦略・経済対策PT合同会議に報告した。方針案は、1月に規制・制度改革分科会が決定した改革方針中間案から各省庁との折衝や規制仕分けを踏まえ、まとめたもの。同8日に閣議決定する予定。

住宅・不動産関連では、規制仕分けで対象になったマンション投資への悪質な勧誘に対する規制強化について、省令や通達で対応可能なものは2011年度前半に措置を、法的措置は取引の安定性にも考慮して検討し、2011年度中に結論を得ることが盛り込まれた。また、賃貸借契約について、賃貸人による解約申し入れや更新拒絶による契約終了をめぐる紛争の適切な解決に資するため、借地借家法の正当事由制度が問題となった裁判例の整理・分析結果を2011年度に可能な限り速やかに公表するとしている。

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16  2010年末の大規模オフィスビル市場 東京23区の空室率微増 森ビル  2011/4/4 朝日新聞

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森ビルは2010年12月末時点の東京23区大規模オフィスビル市場動向調査をまとめた。1986年以降に竣工した延べ床面積1万平方メートル以上のオフィスビルを対象とした。2010年の新規需要は前年比2倍超の69万平方メートルだったが、供給量(85万平方メートル)を下回ったため、空室率は0.4ポイント増の6.3%となった。都心3区では新規需要(50万平方メートル)が供給量(36万平方メートル)を上回り、空室率は5.0(1.1ポイント減)。

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17  大和ハウス工業 可搬式の電源装置販売 蓄電池と太陽光をパックに  2011/4/1 朝日新聞

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大和ハウス工業は4月1日、リチウムイオン蓄電池と太陽光発電パネルを組み合わせた可搬式の電源装置「ソーラーストレージ」を発売した。

災害や停電の場合に、昼間太陽光発電パネル(520W)で創り出した電力を蓄電システムに蓄える。充電時間の目安は5~6時間。満充電状態で、照明(45W)3灯・携帯電話の充電10台分・ノートパソコン3台を約3時間使用できる。

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18  2店舗新設、加盟店が累計123店舗体制にレオパレス  2011/4/1 朝日新聞

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レオパレス21は4月、加盟店制度「レオパレスパートナーズ」賃貸2店舗をオープンする。昨年6月からの累計出店数を123店舗とした一方、国内直営店は昨年3月より30店舗閉鎖して156店舗となった。パートナーズによる3月の契約実績は121店舗合計で5286件の実績を上げた。

4月オープンは、蒲郡店(愛知県、松屋ハウジング)、米子中央店(鳥取県、ヨナゴ不動産センター)。なお、3月は日田店(大分県、セントラル都市開発)、調布店(東京都、ヒューテック)、藤枝店(静岡県、ライフコム)の3店舗を追加オープンしている。

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19  2月住宅着工は10.1%増 持ち直しも震災で今後は不透明  2011/3/31 朝日新聞

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国土交通省の調査によると、2月の住宅着工は前年同月比10.1%増の6万2252戸だった。季節要因を調整した年率値は87.2万戸。分譲マンションが9420戸で前年同月比103.9%増になるなど、持ち直しの動きが続いているものの、東日本大震災の発生により、今後の動向は不透明な状況だ。国交省は「震災がどの程度影響を及ぼしているのか現時点で定かではなく、まだ復興の絵姿が見えていない。今後を注視していく必要がある」と話している。

なお、持家は前年同月比6.0%増の2万2126戸、分譲戸建ては同12.7%増の9382戸、貸家は同3.8%減の2万840戸だった。

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20  地震保険支払い1兆円も  2011/4/6 読売新聞

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最大50万件「全損」で満額支給

東日本大震災で津波や火災の被害を受けた住居などに対する地震保険の支払総額が、6000億~1兆円近くに達する見通しとなった。

大手損害保険会社5社に4日までに入った加入者からの被災連絡は約27万件にのぼり、最終的な支払件数も最大の40万~50万件に達する見込みだ。

支払総額の見通しは、これまで最大だった阪神・淡路大震災の783億円を大幅に上回る。ただ、地震保険の支払いに備えた損保業界と政府の準備金は約2兆3000億円(2009年度末)あり、「1兆円近くになっても支払いは十分に可能だ」(損保業界)という。

見通しに大きな幅があるのは、加入者が保険金を満額受け取る「全損」の件数がどれぐらい増えるか読み切れないためだ。

全損は、建物の価値の50%以上が損なわれた場合に認定される。日本損害保険協会は、大きな被害を受けた街区全体を空撮写真により全損と認定する仕組みを始めた。今回の震災は、津波による沿岸部の被害が大きく、全損認定が増える可能性もある。

損害保険各社はそれぞれ約1000人を現地調査などの震災対応にあて、月内にも保険金の支払いを本格化させる。

空撮で全損と認定されなかった地域は、損保会社の調査員が、建物や家財などの破損具合を一つ一つ調べている。「半損」と認定されれば契約額の50%、「一部損」なら5%が支払われる。調査には1件あたり30分~1時間かかるため、認定作業は長期化しそうだ。

地震保険は単独で契約できず、火災保険とセットで加入する必要がある。東北6県で地震保険への加入率が最も高い宮城県でも32%だ。全国平均(23%)を上回る水準だが、損保業界は「地震保険への理解を求め、加入率を引き上げたい」としている。

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21  照明・TVでも節電  2011/4/5 読売新聞

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LED電球への買い替えも節電に効果的だ(東京・有楽町のビックカメラ有楽町店本館で)。家電製品で、エアコンと冷蔵庫に次いで消費電力量が多いのは照明(電球)、テレビなどだ。

これらも、節電性能に優れた製品に買い替えれば、消費電力量は減らせる。東日本大震災による電力不足の対応策の一つになるだろう。

照明 LED、電力量8割減

 ビックカメラ有楽町店本館では、LED(発光ダイオード)電球が売れているという。40ワットの白熱電球と、同程度の明るさのLED電球(485ルーメン)を比べると、LED電球のほうが約80%も消費電力量が少ない。LEDは光があまり広がらないため、廊下やトイレの照明に適している。約4万時間という長寿命を生かして、階段や玄関など取り換えづらい場所に使うと、手間も省ける。

一方、リビングなど全体に明るさが必要な場所には、光が全方向に届く電球型蛍光灯がよいだろう。消費電力量は白熱電球の4分の1とLEDに遜色ない。大手メーカーは、2012年中には白熱電球の製造をやめる見通しで、電球型蛍光灯への切り替えは自然に進むだろう。

TV センサーで明るさ調整

 ブラウン管から液晶に世代交代したことで、テレビの消費電力量は、大幅に減った。その液晶テレビでも、節電への取り組みは進んでいる。一つは、LEDの採用だ。メーカー各社の最新モデルでは、映像を表示するために液晶パネルの後ろから照らすバックライトにLEDを使い、消費電力量を減らしている。

 もう一つは、センサー。最新式のテレビでは、センサーが人の動きを検知し、テレビの前から人がいなくなると映像を消し、さらに一定時間がたつと自動的に電源が切れる。部屋の明るさをセンサーが検知して画面の明るさを調整する機種もある。画質や3D以外に節電機能をテレビ選びのポイントに加えてもいいだろう。

便座 洗浄水、使う時に温め

お尻を洗浄する温水では、常に温水をタンクにためておく「貯湯式」から、使う時に水を温める「瞬間式」に主流が移りつつある。瞬間式は貯湯式よりも約6割も電力消費を抑えられる場合もあるという。

便座を温める機能の節電も進む。パナソニックの最新機種では、便座内部のヒーターを改良し、温度を上げるスピードを速めたことで、待機時の便座の保温温度を3度下げた。洗浄水の「瞬間式」などと合わせて、従来の機種よりも年間消費電力量を約17%削減した。

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22  エアコン・冷蔵庫 センサー駆使で省エネ運転  2011/4/4 読売新聞

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消費電力量が大きいエアコンは、最新機種による節電効果が期待できる(東京・有楽町のビックカメラ有楽町店本館で)

 東日本大震災による電力不足は夏場に向けて本格化する見通しだ。

「家電エコポイント」対象商品の購入期間は3月末で終了したが、今後も家電を買い替えるなら節電効果の高い機種が望ましい。そこで、比較的消費電力量の多いエアコンと冷蔵庫の最新の節電機能について調べてみた。

人の位置や動き検知

◆エアコン

日本冷凍空調工業会の調べでは、2010年型のエアコンは、00年型のものに比べ、年間消費電力量が約14%減った。

各メーカーの最新型は、節電効果をさらに高めるため、様々なセンサーを備えている。例えば、人の動きを検知するセンサーは、部屋のどこに人がいるか、動いているのかいないのか、といった状況を見極める。日射センサーは日差しの強さを、照明センサーは部屋の明るさを、それぞれ検知する。壁や床の温度まで測る機種もある。こうした情報をもとに、エアコンが自動的に風の温度や量、角度などをきめ細かく制御し、不要なときは運転を止める。

また、効率よく風を送るファンの形状や、フィルターの目詰まりを防ぐ「自動掃除」も節電効果を高めている。省エネ機能は、中上位機種により多く装備されているので、購入の際はカタログで調べたり、店員に尋ねたりして確認しよう。

扉の開閉頻度を分析

◆冷蔵庫

日本電機工業会によると、容量が401~450リットルクラスの冷蔵庫の年間消費電力量は、1999年度から09年度にかけて、およそ半分になった。冷気を作り出すコンプレッサーの効率化などとともに、最新型は、エアコン同様、様々なセンサーによる制御で節電効果を高めている。

例えば、パナソニックの上位機種では、4種類のセンサーで、「扉の開閉頻度」「部屋の明るさ」「室温」「庫内温度」をそれぞれ測る。特に、扉の開閉頻度は、過去3週間分の曜日ごと、1時間ごとの状況を冷蔵庫が記憶・分析し、当日の使用状況をも予測する先進ぶりだ。これらの情報をもとに、家人が寝ているのか、外出しているのかといったことまで判断して、省エネ運転をするという。

また、三菱電機の一部機種は、庫内に回転式の水平棚を採用している。奥にしまった食品でも、棚をクルッと回せば手前に持ってくることができるので、取り出しやすい。冷蔵庫の扉を開けている時間を短縮できれば、結果的に節電にもつながるわけだ。

家電量販店ビックカメラ有楽町店本館(東京)の関口篤(あつし)主任は、「エアコンも冷蔵庫も消費電力量が大きいため、買い替えによる省エネ効果は高い」と話している。

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23  地震保険に関心高まる  2011/4/4 読売新聞

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単独加入できず、火災保険とセットで

東日本大震災の発生で、地震保険への関心が高まっている。

損害保険最大手の東京海上日動火災保険(東京)では、地震発生から3月31日までに、7万件を超える被害の報告が寄せられ、一部で保険金の支払いも始まった。発生前は1日に数件程度だった地震保険に関する問い合わせ電話も、100件近く寄せられている。

また、全国で代理店「保険市場」を展開し、同名の保険比較サイトも運営している「アドバンスクリエイト」(大阪)には地震後、地震保険に関する問い合わせの電話が3倍に増えた。店頭にも「地震保険の詳しい内容を知りたい」「加入している保険の内容を確認したい」と、来店者が相次いでいる。

地震保険は、地震や火山の噴火、津波による住宅や家財の損害が補償の対象。地震の影響で起きた火災は、火災保険ではなく、地震保険で補償される。単独では加入できず、火災保険とセットで契約する。

保険金額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で決められる。ただし建物は5000万円、家財は1000万円が上限だ。保険料は地域や住宅の構造によって異なる。

運営は政府と損保各社が共同で行い、補償内容も統一されている。現在、最大5・5兆円まで支払える態勢を整えている。

加入件数は2010年3月現在で1227万件で、阪神大震災前(1994年3月)の約4倍に増えた。全国で火災保険加入者が地震保険をセットしている割合は47%。今回の地震の被災地では、宮城県が67%と高かったのに対し、福島(39%)、岩手(42%)は全国平均を下回った。

日本損害保険協会(東京)の担当者は「火災保険の契約期間の途中からでも、地震保険をセットすることは可能なので、加入を検討してほしい」と話している。

2011-04-09 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed