住宅関連新聞記事ダイジェスト No.699  2017/08/24~2017/08/30

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.699  2017/08/24~2017/08/30
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【日本経済新聞】
1 仮設暮らし なお340人 岩手豪雨1年、生活再建は道半ば
2 プロが教える住まいのキホン
3 空き家活用も提言 震災時の住宅修理支援 内閣府検討会
4 住宅・塾が下押し 7月消費支出0.2%減
5 まだまだ「貧テック」(十字路)
6 建機出荷、18年度減少へ 売り切り脱却狙う
7 建機出荷、18年度は2年ぶり減 建機工予測、駆け込み一服
8 不動産賃貸契約を電子化、マイナンバーカードも活用へ
9 「家なき子」で相続税を節税 土地評価額を8割減らす
10 都市の「スポンジ化」どう防ぐ
11 介護相談付き信託商品 みずほ信託銀、14社と提携
12 フォーライフ、コストかさむ
13 宿泊税、民泊利用も「課税を」 都税調小委で意見
14 しゃべる壁に歌う家電 オンキヨーが何でもスピーカーに
15 不動産情報をブロックチェーンで共有 HOME’S運営会社
16 タイでコンドミニアム 野村不動産HD
17 エネルギー、理論上100%自給自足の平屋 積水化

【朝日新聞】
18 明和地所 マンションコミュニティで東大と共同研究
19 土地価格は全国で7期連続プラス 全宅連調査
20 17カ月ぶりに増加 首都圏7月の賃貸成約 中古マンションが回復
21 住宅用付加断熱材の新商品を10月発売 マグ・イグゾーベル
22 7月の九州北部豪雨による流木災害は過去最大級 国交省
23 全国空き家対策推進協議会を設立 国交省
24 受験者増加続く 再開発プランナー試験
25 「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置 国交省
26 23区のビル新規賃料は上昇、空室率は低下 東京ビル協調べ
27 首都圏7月中古マンション売り価格 前月から横ばい
28 不動産テック特化の新メディア「スマーブ」提供開始  リブセンス

【読売新聞】
29 女性の約4割「防災訓練に参加したことがない」、大和ハウス工業調べ
30 今夏「節電」を意識している5割強、「節水」を意識している4割強、マイボイスコム調

31 “魅せることで”早く高く家を売る!「ホームステージング」。本場アメリカの最新事
情とは?
32 愛知県蒲郡市に泊まれる住宅展示場「SHARES ラグーナ蒲郡」がオープン! どうして泊
まっていいの?
33 都市の緑、保存する建物づくりを 自然と暮らしをつなげる「里山一体マンション」を
巡る
34 「渋谷」まで10分圏内! 乗り換えなしで家賃相場が安い駅ランキング
35 【沿線調査】地上区間がないから遅延が少なく、災害に強い! 都営地下鉄大江戸線の住
み心地
36 隣人の生活音が聞こえない家に住みたい! そんな家を見つけるコツってあるの?
37 タカラスタンダード、システムバスに「キープクリーンフロア」登場
38 学生を対象に「住まいのデザインコンペティション」開催、長谷工コーポレーション
39 9月1日は防災の日。六本木ヒルズの帰宅困難者受け入れ体制がスゴイ!

【日経産業新聞】
40 施設の被害状況、一括把握 NTTレゾナントが企業向け災害対策サービス
41 巨大地震の揺れ再現装置、大成建設が開発、高層ビルの耐震対策検証
42 大成建設、巨大地震再現 住宅の耐震性評価に活用
43 太陽光サポートセンター、家庭向け保守サービス パネル定期点検

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1 仮設暮らし なお340人 岩手豪雨1年、生活再建は道半ば 2017/8/30 日本経済新聞
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 昨年8月、岩手県で高齢者グループホームの入所者9人を含む21人が死亡、2人が行方不明
となった台風10号の豪雨から30日で1年。東日本大震災からの復興途上で襲った水害は、県内
で約2700棟の住宅を全半壊させ、総額約1440億円の被害をもたらした。改正水防法が施行され
るなど対策は進んだが、24日時点で岩泉町の約340人が仮設住宅で暮らし、生活再建は道半ばだ

 1951年の統計開始以来、初めて東北地方の太平洋側に直接上陸した台風10号は、局地的な大
雨を降らせながら東北を縦断。岩泉町では昨年8月30日午後7時ごろまでの24時間雨量が8月
1カ月分の平均を超える203.5ミリを記録。町内だけで死者20人、不明者1人と被害が集中した

 震災で7人が犠牲になり、約180戸の住宅が全壊した岩泉町は、震災で建てた仮設住宅52戸を
台風被災者のため修理し、新たに171戸を建設。入居は昨年10月から始まった。台風で自宅が全
壊した主婦、竹花サチコさん(79)は「仮設は窮屈で落ち着かない。早く出たいが引っ越すめ
どは立っていない」と話す。
 仮設住宅の入居者ら259世帯を対象に、町が今年5月実施した住宅再建の意向調査では、74世
帯が災害公営住宅への入居を希望。町は本年度中にも着工し、早ければ来年夏に被災者が移り
始める見込みだ。
 洪水時の避難計画や訓練がなかったグループホーム「楽ん楽ん」で入所者9人全員が死亡し
たのを受け、今年6月に施行された改正水防法は、高齢者や障害者などが利用する浸水想定区
域内の施設に計画策定や訓練を義務付けた。岩手県の福祉団体も、避難場所の確認などを盛り
込んだ県内統一指針を策定した。今年2月に施設が解体された跡地には慰霊碑が建つ予定だ。
 この日、施設跡地では、運営していた医療法人の職員らが黙とうし、献花台の前で手を合わ
せた。佐藤弘明常務理事は「9人の尊い命を失った責任を一生背負っていく。二度と同じこと
を起こさないよう、取り組みを進めていかなければいけない」と話した

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2 プロが教える住まいのキホン 2017/8/30 日本経済新聞
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住まいの土地選び、思わぬ落とし穴があちこちに
建築家・一級建築士 米田耕司
 市街地で通勤に便利な土地を探したいと思っています。メディアでは、公共の用地に廃棄物
などが埋設されていて、契約や売買価格などにも不透明な経緯があったとされる問題が報じら
れています。また、更地を買ったら、以前の建物の基礎や浄化槽の残骸があったという話も聞
きます。あとで思わぬ出費が出ないようにするためには、どのようなことに注意して土地を探
したらよいのでしょうか。

■書面と現地の両面から確認
 「マイホームを建てるために、住みたいエリアを想定し、よい環境の便利な土地を探す」。
理想的な家づくりのスタートです。しかし、現実は既成の市街地での更地の売却物件は限られ
ます。また、必要な住まいのスペースを確保できる土地と建物の予算配分を考え、自身で適切
な計画をつくれる人はまれかもしれません。生活のために土地と建物を購入することは大きな
投資でありながら、様々な難しい問題も潜んでいます。
 住みたいエリアを決めたら、インターネットなどで不動産物件の概要や、地図などでそのエ
リアの概要をつかみます。ただ、気に入った土地に飛びつく前に、その場所の安全性について
も考えてみる必要があります。たとえば「中古物件は人が住んでいたのだから、土地も安心だ
ろう」と思っていると、以前の住居の基礎や付属物が残っていて除去費用がかかったり、海や
川の河口付近を埋め立てた土地であれば、軟弱な地盤のために地盤改良や杭(くい)を打たな
いとコンクリート構造や木造の3階建てが建てられなかったりします。のみならず、地震時に液
状化の恐れがある場合もあります。
 また、新しくつくられた造成地では、山を削って谷を埋めたために固い地盤と軟らかい地盤
が隠れていて、上記と同様に地盤の対策費用をかけないと建物が傾くこともあります。ほかに
も、坂の下で道路が冠水しないか、水害の履歴がないかなどに注意が必要です。役所のウェブ
サイトで周辺の地盤調査のデータやハザードマップなどを閲覧することもできます。このよう
に物理的な視点から土地を見ることは重要です。
 これから土地探しを始めようとする人は、書面と現地の両面から調べていく必要があります
。その具体的な方法は後述するとして、まずは身近なトラブルの例を紹介します。

■事例1 アパートへの建て替えが難しい
 自宅を取り壊して収入源としてアパートに建て替えようと思ったところ、路地状の敷地部分
の幅や長さに制限があり、2階までしか建てられないうえ、私道なので給水管やガス管の取り換
えに地主の同意がいることもわかりました。
 この事例は、土地購入の際、将来の土地利用について道路や土地の形状などから建築の用途
や階数などが制限されることや、私道であるために面倒な制約があることを考慮していなかっ
たことが原因です。法律による規制やデメリットなどは購入前に納得できるまで遠慮せずに説
明を受けましょう。

■事例2 地中埋設物が発見された
 中古住宅付きの土地を買って解体して更地にしたところ、以前の建物の基礎や浄化槽と思わ
れるコンクリートの地中障害物が出てきました。これが分かったときにはすでにハウスメーカ
ーと請負契約を結んでいました。見積書には地中障害物について「除去費用は別途」という特
記事項があるため、追加費用を請求されました。
 これは意外によくある事例です。既存の建物の解体工事を必要とする場合は、購入前に売り
主に前の建物の基礎の構造や付属物が何であったかを確認するとともに、契約前に数カ所の地
盤調査をするか、解体業者が確実に撤去を行っているかを現地で立ち合ってチェックすること
が必要です。

■事例3 ドアが自然に開いてしまう
 建売住宅を購入したところ、しばらくしたらドアが自動ドアでもないのに勝手に開いたり、
ひとりでに閉まったりする部屋があることに気づきました。おかしいと思って床にゴルフボー
ルを置いたところ、コロコロと転がります。
 この事例ではその後、専門家に調べてもらったところ、床や壁に許容限度を超える傾きがあ
りました。また、土地の地盤調査のデータによると、軟弱な土地のため地盤改良の対策をして
いたにもかかわらず傾いています。結局、売り主の瑕疵(かし)担保保険で地盤改良をやり直
し、傾きを直すことができましたが、解決までに大変な時間がかかり、精神的な不安も被りま
した。購入前に地盤調査のデータを見せてもらい、どのような対策が講じられているか、床や
壁の傾きがないか調べてみることも必要です。

■事例4 擁壁のある住宅が傾く
 傾斜地の途中の擁壁付きの土地を購入して家を建てました。ところが、完成してしばらくす
ると庭の一部が陥没し、擁壁の方向へ建物が傾いていることが分かりました。
 現地調査の結果、原因は斜面地を造成して平らにする場合に盛り土の部分が崩れるのを防ぐ
ために設ける「擁壁」(写真参照)をつくる際、土を掘った後の埋め戻しを考慮せずに家を建
てたためと分かりました。杭または地盤改良が必要であった例です。購入前に地盤調査を行い
確認することが大切です。

 以上の2~4の事例では、地形や見えない地面の中に原因が隠れていて、後で思わぬお金がか
かった場合や生活に支障が生じた事例です。契約の前に売り主や役所のウェブサイトなどで確
認するほか、地盤調査のデータを第三者の建築士に見てもらってアドバイスをもらうと良いで
しょう。

■事例5 大雨が降るとトイレがあふれる
 丘陵地の坂下の道路の交差点に隣接する場所に半地下で3階建ての住宅を購入しました。集中
豪雨の時に半地下の床上に雨水が浸入し、トイレからも水があふれ出ました。
 原因は公道の排水管の容量を超える雨水が谷の交差点に集中したために敷地からの排水がで
きなくなり、逆流してあふれ出したものでした。ポンプを設置するなどの対策は施したものの
、不安が完全になくなるわけではありません。雨水が集中した場合、傾斜は緩やかでも、谷下
の土地では冠水や排水の逆流が起こりうることを頭に入れておく必要があります。

■事例6 床下に水がたまる
 3階建て建売住宅を購入したところ、洗面所がかび臭く、壁のクロスが黒ずんできたので、売
り主に連絡を取ったところ、半地下の床下の基礎の上に水がたまっていることが分かりました
。原因の一つであった基礎の穴を塞ぎ、床を張り替えましたが、しばらくしてまた洗面所とト
イレの下に水がたまりました。第三者の専門家に依頼して調べてもらったところ、海に近くて
地下水位が高く、これを見越したコンクリートの継ぎ目の防水対策をしていないことなどが原
因と分かりました。
 第三者の専門家のアドバイスを受けながらコンクリートの継ぎ目に止水工事を行い、床下へ
の浸水は抑えることはできましたが、地下水位が高い場所に半地下を設けることは不安要素で
す。河川、海、湖沼など水の近くは警戒しましょう。

 宅建業者による重要事項説明は契約の基本事項ですが、建築に関する具体的、技術的なこと
は自分でネットや役所に出かけて調べる方法のほか、住宅を設計する人が決まっていれば依頼
して調べてもらうのが安心です。できれば第三者の設計の専門家(建築家)に地質や地盤の概
要の調査と併せて、どのくらいの規模の住宅が建てられるか、法令による制限の確認とライフ
ライン設備など総合的な敷地調査を依頼されることをお勧めします。その際、確認すべき項目
を下の表にまとめました。参考にしてください。

米田耕司
 建築家(日本建築家協会登録)。一級建築士事務所米田耕司建築研究室主催。建築相談委員
として長年、市民の建築相談を受ける。紛争解決にも取り組むようになり、弁護士会などで講
演経験も多く、法曹界との親交も深い。私的鑑定書作成や公的機関の紛争処理専門委員などの
経験が豊富。東京都世田谷生区生まれ。趣味は、音楽、フライフィッシングや卓球など。

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3 空き家活用も提言 震災時の住宅修理支援 内閣府検討会 2017/8/29 日本経済新聞
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 南海トラフ巨大地震などの大災害が発生した際の住宅問題について話し合う内閣府の有識者
検討会は29日、報告書をまとめた。個人が所有する空き家を被災者の住まいとして活用するこ
とや、自宅を応急修理して住み続ける住民への支援策のあり方を提言。内閣府は報告書を受け
、具体的な仕組みづくりの検討に入る。
 内閣府の試算などによると、南海トラフ巨大地震で全壊する建物は最大239万棟に上り、最大
205万戸の仮設住宅が必要になると想定。首都直下地震では最大61万棟が全壊、仮設住宅は最大
94万戸が必要になる見込みで、住まいの大幅な不足が懸念されている。
 有識者検討会は報告書で、東日本大震災の際に被災者が親族から物件を借りて入居するケー
スがあったことなどから、個人所有の空き家を災害時に活用できる可能性が高いと評価。「空
き家・空き室を活用し、応急借り上げ住宅として積極的に供給していくことが必要」としてい
る。
 空き家を災害時に素早く提供するため、自治体が必要な手続きのマニュアルを定め、業務の
進め方について、官民で訓練を実施する必要があると強調。自治体が「空き家バンク」に登録
された物件の状態を平時から確認する必要性も訴えた。
 検討会は、被災者が可能な限り自宅での生活を続けられるよう、災害救助法に基づく住宅の
応急修理を促す必要があると指摘。都道府県が相談体制を整備したうえで、被災者が事業者選
びの参考にできるよう、対応できる工事の種類などを記した指定業者のリストを整えることを
求めた。
 災害時は、被災者が一時的な住まいで長期間の避難生活を余儀なくされる恐れもある。この
ため検討会は、仮設住宅の有効活用策にも言及。住みやすいように改修したり、個人の敷地内
に建設したりする案や、長期間の居住に耐えられるよう、住宅の基礎を鉄筋コンクリートでつ
くるなど、最初から強固な構造で建設する案を提示した。

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4 住宅・塾が下押し 7月消費支出0.2%減 2017/8/29 日本経済新聞
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 総務省が29日発表した7月の家計調査によると2人以上世帯の1世帯当たり消費支出は27万9
197円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.2%減だった。昨年7月にリフォームが
好調だった反動のほか、塾や予備校の夏季講習代の支払いを6月に済ませる動きがみられた。
カツオやマグロなど魚介類の値上げで消費者が購入を控えたことも影響した。
 茂木敏充経済財政・再生相は同日の閣議後の記者会見で「振れ幅の大きい住居などを除くと0
.5%の増加だった」との認識を示した。金額が大きく統計のブレが出やすいリフォーム代など
の「住居」や自動車購入費、贈与金を含む交際費を除くと、消費支出は2カ月連続で前年同月
を上回った。
 中学生や高校生の塾・予備校の夏季講習代を6月に支払う世帯がみられたことで、その反動
で教育費が減少した。
 2人以上世帯のうち世帯主が企業や官公庁に雇われている勤労者世帯でみると、可処分所得
と消費支出はそれぞれ2.1%、1.5%増加した。総務省は「収入も堅調で消費を支える環境は整
っている」とみている。
 消費の先行きについて同省は「8月の長雨の影響をしばらく見る必要がある」としている。
8月は東京都心で40年ぶりに21日連続で雨が降るなど、北日本や関東で天候不順が続いた。消
費の基調判断は「持ち直してきている」として前月から据え置いた。

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5 まだまだ「貧テック」(十字路) 2017/8/29 日本経済新聞
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 知人が銀行から住宅購入資金を借りた。筆者が最後にローンを利用したのは2000年代初頭で
、まだIT(情報技術)が発達していなかった。それが今やフィンテックの世界だ。手続きも
さぞ変わっただろうと聞いたところ、顧客の利便性はほとんど向上していない。むしろ悪化し
ていることにがくぜんとした。
 借り入れに際して最初に取り組むのは「事前審査」の書類記入だ。これは今も変わらない手
書きとハンコの世界。次にようやくフィンテックが登場する。アプリをスマホにダウンロード
し、「正式審査」の項目を入力する。事前審査と同じような内容だ。2時間近くかかる作業を
終えると店舗には行かずに決済かと想像したが、実際は異なる。融資契約と決済のために店舗
に2回出向いたとのことだ。
 つまり、以前に比べてアプリの作業が余計にかかるようになった。しかも、不動産仲介業者
との関係で、借り手の預金口座がある支店ではなく、自宅や会社からも遠い支店で契約だった
という。
 このような中途半端なフィンテックは、この銀行に限った話ではない。多くの銀行が進めて
いる機械化は、ビッグデータで融資審査が精緻になるとか、運用が高度になるとか、銀行側の
業務改善を進めるものが多いのが実情だ。
 効率化は巡り巡って顧客に恩恵をもたらすかもしれない。過渡期でもあるだろう。ただ、そ
のために顧客の便益が阻害されては元も子もない。
 先日10年ぶりに買い替えた洗濯乾燥機は、乾きの悪さやシワになりやすいという課題がかな
り解消されていた。一方、顧客から見た銀行のテクノロジーはまだ貧弱だ。
 かつて商品への異物混入により売り上げが大きく落ち込んだマクドナルドは、顧客重視の戦
略強化で復活した。銀行も早く「貧テック」から卒業し、顧客目線でサービスを強化してほし
い。

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6 建機出荷、18年度減少へ 売り切り脱却狙う 2017/8/29 日本経済新聞
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コマツ、施工支援/日立建機、部品強化
 昨年末から好調が続く建設機械の需要に陰りがみえてきた。日本建設機械工業会(建機工)
は28日、2018年度の建機の本体出荷額が17年度比2%減と2年ぶりに減少する見通しだと発表
した。輸出は引き続き堅調だが、国内の買い替え需要が一巡することが響く。コマツなど建機
各社はIT(情報技術)を活用した施工支援など新たなサービスで顧客を囲い込み、需要変動
に左右されにくい体制を築く。
 建機工の予測では18年度の本体出荷額は前年度比2%減の2兆781億円。このうち国内は同6
%減の8649億円とみる。「五輪関連や災害対策などの投資が需要を支えている」(建機工の平
野耕太郎会長)。一方で、今年9月に油圧ショベルなどの排ガス規制が強化されるのを前に駆
け込み需要が起きており、18年度は反動減が生じる見込みだ。
 輸出は2%増の1兆2132億円で、主力の輸出先である米国で住宅やエネルギー関連の投資が
膨らむ見込み。ただ、足元で堅調な中国市場には先行き不透明感も漂う。
 需要の波から受ける影響を小さくするため、建機大手は建機の販売後も顧客とのつながりを
保てるサービス事業を育てる方針だ。国内最大手のコマツは10月、NTTドコモなどと共同で
土木建設業界向けクラウド「ランドログ」を始める。
 通信機能を持つ油圧ショベルやブルドーザーでの施工履歴、作業員が持ち歩くスマートフォ
ン(スマホ)などの情報をクラウド上に蓄積。建設現場の作業をネット上で一覧できるように
して、施工現場の効率化につながる新たなサービスを様々な業界が自由に開発・導入できるよ
うにする。
 建設現場の人手不足を背景に、建設工事の効率を高めるニーズは高まっている。ITの活用
で建機の稼働率を高める、施工の精度をより精緻に管理する、などのサービスが実用化できる
可能性がある。
 コマツはクラウドを通じて自社インフラを使ったサービスを増やし、建機のユーザーを囲い
込む戦略だ。第1弾として産業機械レンタルのオリックス・レンテック(東京・品川)とは、
同クラウドを使ったドローン測量サービスを始める。
 日立建機は16年以降、米鉱山機械部品サービス会社やオーストラリアの鉱山機械部品大手を
相次ぎ買収。アフターサービスなどの売上高比率を16年度の35%から19年度には50%に高める
方針で、建機向けのクラウドサービスも9月に始める。

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7 建機出荷、18年度は2年ぶり減 建機工予測、駆け込み一服 2017/8/28 日本経済新

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 日本建設機械工業会(建機工)は28日、2018年度の建設機械の本体出荷額が17年度比2%減
の2兆781億円になるとの予測を発表した。北米やアジアなど海外出荷の堅調さが継続するとみ
られる半面、国内で排ガス規制の強化に伴う駆け込み需要が一服。国内外とも堅調な17年度に
及ばないもようで、2年ぶりの減少となる見通しだ。
 28日、都内で記者会見した建機工の平野耕太郎会長(日立建機社長)は、18年度について「
レンタル会社を中心に旧型機の需要が非常に高い(17年度の)反動が生じそうだ」と指摘した
。国内出荷額は6%減の8649億円、海外出荷額は2%増の1兆2132億円となる見通しだ。
 海外需要では、「米国では住宅投資やエネルギー関連の需要が堅調」(平野会長)と指摘。
インフラ整備の進展を背景に、アジアなど新興国の建機需要の堅調さも続くと見られ、海外需
要の動向が建機メーカー各社の業績を左右しそうだ。
 17年度の出荷額は16年度比9%増の2兆1165億円となる見通しで、2月に発表した予測(1
兆8790億円)を上方修正。2兆円を突破するのは3年ぶりとなる。
 今年9月の排ガス規制強化を前に春先からリース・レンタル会社などの駆け込み購入が膨ら
み、上半期の出荷増が想定を上回るためだ。平野会長は「駆け込み需要に比べ、五輪関連や災
害対策などへの建設投資が建機の需要のベースとなっている面もある」と述べた。

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8 不動産賃貸契約を電子化、マイナンバーカードも活用へ 2017/8/26 日本経済新聞
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 ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)は2017年8月25日、不動産賃貸契約専
用の電子契約サービス「IMAoS(イマオス)」を9月1日から提供すると発表した。不動産会社や
借主と貸主の契約手続きを簡単にするサービスだ。
 入居手続きを電子化して、2017年10月をめどに本格運用が始まるオンラインでの非対面によ
る重要事項説明を可能にするほか、顧客の利便性向上や業務効率化を進める。今後は借主がマ
イナンバーカードの利用者証明機能を使える機能などの追加を予定している。
 ソフトバンクC&Sは東急住宅リースの協力で、約2年かけて業務の流れを変えずに電子化した
。GMOクラウドの電子契約サービス「GMO電子契約サービスAgree」を採用して日本の法令に適合
したサービスを短期間で実現したという。
 まずは東急住宅リースと同社関連会社の東急社宅マネジメントが行う賃貸契約の一部から利
用し、初年度に1000社の導入を目指す。
 今後はスマートフォンへの搭載が進んでいるマイナンバーカードの利用者証明機能や、不動
産管理会社が不動産仲介会社に契約書類を効率的に送信できる機能を追加する予定という。

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9 「家なき子」で相続税を節税 土地評価額を8割減らす 2017/8/26 日本経済新聞
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「小規模宅地等の特例」の条件を確認しよう
 相続税の計算では、亡くなった人の自宅の土地を同居していた家族が相続すると、その評価
額を8割も減らせる特例がある。残された家族の生活拠点を脅かさないためだ。もっとも、別居
家族であっても持ち家に住んでいなければ、特例の適用を認められる規定がある。この「家な
き子」と呼ばれる規定を活用し、節税を考える人が増えているようだ。
 「1000万円以上ですか? そんなに節税できるのなら……」。東京都の会社員Aさん(60代)
は一昨年、税理士の勧めで一戸建てのマイホームを長男(30代)に贈与した。
 Aさんは、離れて一人で暮らす父(80代)の自宅をいずれ相続する予定だが、家は都心部にあ
って地価が高い。そのまま相続すれば重い税負担は避けられない。そこで考えた対策が、マイ
ホームの子への贈与。自分が特例の適用対象「家なき子」になるためだ。
 故人の自宅の土地を、配偶者や同居していた親族が相続すると、その土地の相続税評価額を3
30平方メートルまで8割減にできる。「小規模宅地等の特例」という。例えば路線価で5000万円
の土地は1000万円と計算。税率が20%なら800万円もの節税になる。
 たとえ故人と同居していなかったとしても、特例が適用されるのが通称、家なき子だ。故人
に配偶者などがおらず、「相続前の3年間、本人あるいはその配偶者が所有する家屋に住んだこ
とがない」というのが主な条件だ。

■基準は「家屋」のみ
 Aさんの場合、長男への贈与により自分の持ち家はなくなった形となり、贈与から3年経過す
れば条件を満たす。贈与後もその家に住み続けており日常生活に支障はない。節税策として取
り組みやすい面がある。
 贈与税がかさみそうだが、実はAさんの長男は数万円しか納税していない。家なき子かどうか
の判断の基準はあくまで「家屋」。その固定資産税評価額が200万円足らずと低かったからだ。
土地はAさん所有のまま。アンカー税理士法人(東京・千代田)の今田隆幸税理士は「古い家屋
なら贈与税がかからないこともあり得る」と指摘する。
 家屋の評価が高いと贈与税は重くなる。評価1500万円の家屋を20歳以上の子に贈与すると約3
60万円が課税され、不動産登記などの費用もかかる。住宅ローンが残っていると原則、金融機
関から了承を得なければ贈与できないことにも留意が必要だ。
 持ち家から賃貸住宅に引っ越すことで家なき子になる手もある。だがほとんどの税理士は節
税目的だけでの転居を勧めない。いつ発生するか分からない相続のために不自由な仮住まいを
強いられるからだ。子どもの独立を機にコンパクトなマンションに住み替えたいといった主目
的があるなら検討してもいいだろう。
 実は家なき子になれるのは「子」に限らない。条件を満たせば親族でいい。親族は血族6親等
まで、結婚でつながる姻族3親等までと広い。このため、マイホーム贈与も引っ越しもできなけ
れば、故人の孫を家なき子に仕立てるという手がある。先祖代々ずっと手放さずにきた土地で
あれば、子をとばして孫に相続させる選択肢は有力だろう。
 ただし、相続が発生してからでは手遅れ。生前に土地を孫に相続させる遺言を書いておかな
くてはならない。このほか、孫を養子にしておく方法もある。孫の相続税は2割加算されるが、
一般に家なき子の節税効果のほうが大きい。
 孫が複数いる場合は、相続トラブルの火種にならないよう親族間でよく話し合っておきたい
。土地の所有者となる孫が信用できる人物か見極めておく必要もある。フジ相続税理士法人(
東京・新宿)の高原誠税理士は「孫がお金ほしさで土地を売ってしまうかもしれない」と安易
な孫相続に警鐘を鳴らす。
 相続財産に占める自宅土地の割合が大きいと、同特例で相続税がゼロになることがあるが、
その場合も税務署に申告はしなければならない。国税庁によると、相続税の基礎控除が縮小さ
れた2015年分は相続税ゼロの申告が約3万件と前の年分に比べて8割近く増えた。同特例による
ものも多いとみられる。
 同特例は相続税を大きく左右するが、高原税理士は「正確に理解している人はほんの一部。
亡くなった人の自宅なら無条件で適用されると思っている人も多い」という。同居親族として
特例を使いたい場合も「同居」とみなされる条件をよく確認しておきたい。

■区分所有は適用外
 例えば二世帯住宅は、親世帯と子世帯がマンション住戸のように区分登記されていると、特
例が適用されない。14年から家屋の構造などではなく登記の形式で判断されるようになったた
めだ。それ以前に建てて区分登記した二世帯住宅は生前に合併登記の手続きをすれば特例が使
える。
 同じく14年から、亡くなった人が要介護や要支援の認定を受けて老人ホームに入居したので
あれば、それ以前の自宅の土地に特例が適用できるようになった。ただし、空き家となった自
宅にだれかが住んだり、事業をしたりすると、その時点で特例は使えなくなる。
 同特例はこうした改正が繰り返されてきた経緯があり、マイホーム贈与で家なき子になるな
ど本来の制度趣旨に沿わない節税策はいずれ封じられる可能性もある。いざ相続が発生したと
きに「知らなかった」と悔やまないよう、特例の仕組みを正しく理解して改正の動きも注視し
ておきたい。

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10 都市の「スポンジ化」どう防ぐ 2017/8/26 日本経済新聞
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 全国で空き家や空き地が増えている。こうした十分に利用されていない空間が地域内で広く
点在する状態を「都市のスポンジ化」と呼ぶそうだ。国土交通省の有識者委員会がスポンジ化
への対応について報告書をまとめた。
 2013年時点で820万戸だった空き家は現在、1000万戸程度に増えているとみられる。民間機関
の予測では33年には2150万戸と住宅の総戸数の3割に達する見通しだ。
 空き店舗も増えている。全国の商店街の4割は空き店舗率が10%を超えている。土地への需
要も減っている。全国の空き地面積は13年で1554平方キロメートルと5年間で3割近く増加し
た。香川県の面積の8割に相当する広さだ。
 地方では中心部でも低未利用地が広がっている。例えば、宮崎市では中心市街地の13%が平
面駐車場なども含む空き地という。
 都市のスポンジ化が進むとにぎわいを失うだけでない。景観や住環境が悪化し、生活に必要
なサービスを維持しづらくなる。
 報告書は現在の都市計画制度の限界を指摘している。今の制度は地域ごとに住宅地や商業地
などと主な用途を定め、建物の規模を規制することに主眼を置いてきた。人口の増加に併せて
計画的に街を整備する制度だったといえる。
 現在の課題は建物や空間をどう活用するかに移っている。利用者が撤退する場合でも、早期
に他の使い道を決めれば荒廃しない。
 報告書ではいくつかの対応策を紹介している。山形県鶴岡市ではNPOが仲介役になって複
数の空き家や空き地がある区域を一体で再編し、近隣の住民が駐車場に利用したり、道路を拡
幅したりして住環境の向上につなげている。
 千葉県柏市では空き地の所有者と市民団体などを行政が仲介し、地域住民が共同で利用する
広場などとして活用している。
 スポンジ化は行政だけでは防げない。官民が情報を共有し、地域住民も巻き込んで取り組む
課題なのだろう。

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11 介護相談付き信託商品 みずほ信託銀、14社と提携 2017/8/25 日本経済新聞
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 みずほ信託銀行は25日、介護相談や見守りサービスなど高齢者の生活を支援するサービスを
付けた新しい信託商品を発表した。SOMPOケアや綜合警備保障(ALSOK)など14社と
提携し、高齢者の需要を取り込む。取り扱いは28日から。
 3千万円以上預け入れる個人が対象。資産を年金のように定期的に受け取ったり詐欺被害に
遭わないよう解約制限したりできる。信託契約した人には、介護施設への入居や日常生活の見
守り、住宅のリフォームなどのサービスを提供する。手数料は初期費用として信託財産の2%

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12 フォーライフ、コストかさむ 2017/8/25 日本経済新聞
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【コストかさむ】東京都心部へのエリア拡大で案件が増加。主力の低価格住宅で分譲のほか注
文住宅も伸びる。増収。開発用の土地購入を積極化し原価が膨らむ。販管費も利益を下押しし
営業2ケタ減益。
【投資】今秋、神奈川・武蔵小杉に住宅展示場を開設。認知度と集客効果を高めて注文住宅事
業の受注拡大。

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13 宿泊税、民泊利用も「課税を」 都税調小委で意見 2017/8/25 日本経済新聞
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 東京都税制調査会(池上岳彦会長)は24日開いた小委員会で、都が独自にホテルや旅館の宿
泊客に課す「宿泊税」について意見交換した。住宅に有料で客を泊める民泊サービスが都市部
で広がるなか、民泊利用時の課税に関して「税の公平性の観点から対象にすべきだ」との意見
が多く出た。
 池上会長が会合で「対象に含めるべきだとの意見が多かったのを踏まえて考えたい」と語っ
た。一方で徴収方法など課題もある。10月にもまとめる最終答申に向けて調整する。
 都は宿泊税を2002年10月に導入した。税率は1人1泊1万円以上で100円、1万5千円以上で
200円。法定外目的税と位置付け、税収は観光振興に充てている。16年度の税収は約23億円だっ
た。
 対象がホテルや旅館の宿泊者のため、民泊利用は含まれていない。ただルールを定めて民泊
を解禁する「住宅宿泊事業法(民泊法)」施行が18年に迫り、宿泊税導入を目指す京都市は民
泊利用者を含む方向で検討。大阪府は7月から国家戦略特区を活用した「特区民泊」を対象に
加えた。
 税率を巡っても複数の委員が「引き上げる議論をすべきだ」と語った。ただ受益と負担の関
係、使い道と効果の検証など整理すべき点を指摘する声も多く、方向性は明確にしなかった。

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14 しゃべる壁に歌う家電 オンキヨーが何でもスピーカーに 2017/8/24 日本経済新

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 リビングの壁や家電の“表面”がそのままスピーカーになる日が来るかもしれない。オンキ
ヨーは、住宅用建材や家電の壁面・パネルに直接取り付ければ、音楽や音声を再生する機能を
追加できる加振器を開発、OEM提供する事業を始めた。
 同社の音声・音楽再生技術を活用したもので、防水性や気密性が必要な空間といったスピー
カーの搭載が難しい場所や、スピーカーの埋め込みが景観上難しい壁や天井への取り付けを想
定する。同社が開発した加振器を家電メーカーや住宅産業向けに提供し、AI(人工知能)やIoT
(Internet of Things、モノのインターネット)対応機器開発などの新規事業を加速する。
 オンキヨーはこれまでも、ゲーム機や楽器向けに音楽再生用の加振器を提供してきた。例え
ば河合楽器製作所は、物理的に振動する響板で電子ピアノの音を響かせる「響板スピーカーシ
ステム」にオンキヨーの加振器を採用している。
 米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)の「Amazon Echo」や米Google(グーグル)の「Go
ogle Home」のように、AIによる音声認識機能を搭載したスマートスピーカーの普及を受けて、
家電や車でも音声認識を活用した製品開発が進んでいる。オンキヨーもこうした流れに乗り、2
017年9月に同社はAmazon.comの「Alexa」搭載のスマートスピーカーを発売する予定である。今
回の新たな取り組みで、「スピーカー」の枠組みを超えた音声AI活用の拡大を狙う。

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15 不動産情報をブロックチェーンで共有 HOME’S運営会社 2017/8/24 日本経済新聞
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 不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」運営のLIFULL(ライフル)が、ブロックチェーンを使っ
て不動産情報を共有する実証実験を近く始める。将来は民間事業者同士が不動産情報をブロッ
クチェーンで共有する仕組みを構築し、業界全体の効率化と市場活性化につなげる考えという

 空き家情報、修繕・リフォーム履歴、住宅評価情報、広告履歴など、官民のデータベースに
散在する不動産情報をブロックチェーンに集約し、事業者間で共有できるようにする。まずはL
IFULL1社で実験し、有用性が証明できれば複数の民間事業者が情報を共有できるデータベース
基盤の構築を目指す。
 実証実験はシステム開発のカイカ、ブロックチェーンソフト開発のテックビューロと共同で
実施する。LIFULLが不動産関連情報のデータを提供し、カイカが技術支援、テックビューロが
技術基盤の提供を担う。
 将来は登記簿謄本や契約書、公的証書などの共有も視野に入れる。ただし実現には法務局や
関連省庁などとの協議が前提になるという。

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16 タイでコンドミニアム 野村不動産HD 2017/8/24 日本経済新聞
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 ■野村不動産ホールディングス(HD) 24日、バンコクでタイ不動産大手オリジンと開発
するコンドミニアムの発表会見を開いた。9月にも販売を始める。野村不がタイで分譲住宅を
展開するのは初めて。
 オリジンとジョイントベンチャーを立ち上げ、分譲用コンドミニアムの開発に取り組む。出
資比率はオリジンが51%、野村不HDが49%。
 オリジンの住宅ブランド「ナイツブリッジ」の名称でバンコク都内の3カ所でコンドミニア
ムを展開。いずれもバンコクを走る高架鉄道や地下鉄の沿線で、最寄り駅からは徒歩10分以内
。総戸数は3カ所合計で2000戸超となる見込みだ。9月16~17日にはバンコクの高級ショッピ
ングモール「サイアム・パラゴン」で販売会を開く。
 野村不HDの沓掛英二社長は「オリジンとはサービスアパートやオフィス、商業施設も含め
た検討を始めている」と言及。将来はタイでの事業を拡大する方針を示した。同社は2025年ま
での中期経営計画で、東南アジアを中心に住宅・賃貸事業で3000億円の投資を予定している。
 オリジンは09年設立の不動産大手。「ナイツブリッジ」や「ノッティングヒル」などのブラ
ンドでコンドミニアムを展開する。16年のコンドミニアム販売額ではバンコク5位の実績を残
した。

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17 エネルギー、理論上100%自給自足の平屋 積水化 2017/8/24 日本経済新聞
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 積水化学工業(4204)は鉄骨系の平屋住宅の新商品「スマートパワーステーションGR“楽
の家”」の販売を始めた。創立70周年を記念した商品で、太陽光パネル一体型の屋根「スマー
トGルーフ」を採用した。理論上はエネルギー自給自足100%が実現でき、長期停電や電気代上
昇という電力不安を限りなくゼロに近づけられるという。販売価格は3.3m2当たり税別77万円台
から

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18 明和地所 マンションコミュニティで東大と共同研究 2017/8/30 朝日新聞
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 明和地所はこのほど、マンション居住者とコミュニティの関係をテーマに、東京大学の松田
研究室と共同研究プロジェクトを立ち上げた。マンション居住者の住まいに対する意識が、居
住年数によってどのように変化するのかを明らかにし、コミュニティ形成との相関関係を検証
する。

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19 土地価格は全国で7期連続プラス 全宅連調査 2017/8/30 朝日新聞
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 全国宅地建物取引業協会連合会が行った「第6回不動産市況DI調査」によると、7月1日時点の
土地価格の実感値は全国で10.2?となり、調査開始以来最も高い数値になり、7期連続のプラス
になった。地域別では、近畿地区(18.3?)と九州地区(20.2?)の値が高かった。3カ月後の予測値
もすべての地域でプラスの予測だが、7月の実感値に比べるとポイントは減少した。
 調査は、全宅連モニターを対象にインターネットで実施。不動産価格、取引動向について現
状および3カ月後の見通しを調査分析している。

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20 17カ月ぶりに増加 首都圏7月の賃貸成約 中古マンションが回復 2017/8/29 朝日
新聞
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 アットホームの調査によると、7月の首都圏における居住用賃貸物件成約数は1万7679件で、
前年同月比4.4%増となり、17カ月ぶりにプラスに転じた。成約の3分の1を占める中古マンショ
ンが同15カ月ぶりに増加に転じたことが大きな要因。エリア別に見ると、東京23区は8244件で
同9.0%増、東京都下(1515件、同10.3%増)と、この2エリアが目立つ。一方、神奈川県(4372件、
同2.6%減)、埼玉県(1867件、同2.1%減)は減少で、共に4カ月連続の減少となった。千葉県は168
1件で同4.5%増と回復した。新築、中古別成約数の前年比を見ると、マンションは新築が5カ月
連続減少だったが、中古は15カ月ぶりに増加。アパートは、新築、中古とも2カ月連続増加とな
った。
 成約物件の戸当りの賃料指数は前月比で、マンションは新築が107.8となり、2カ月連続で上
昇。中古は3カ月連続の上昇。アパートは新築、中古ともに2カ月連続の上昇だった。

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21 住宅用付加断熱材の新商品を10月発売 マグ・イグゾーベル 2017/8/29 朝日新聞
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 ガラス短繊維製品や断熱材、吸音材の製造・販売を手掛けるマグ・イグゾーベル(東京都千代
田区、フランシス・ショレー社長)は10月1日、住宅外壁の付加断熱工法用の新商品「付加断ボ
ード」を発売する。
 同新商品は不燃材のグラスウールを使用しているため耐火性に優れ、表面には撥水加工を施
し、吸音性能も備えた断熱材。国のZEH基準の中で、外皮性能基準が高い水準で設けられている
ことから、充填断熱と外張り断熱を組み合わせた付加断熱用の断熱材のニーズ増加が見込まれ
るとして開発されたものだ。
 同新商品は長さ1820ミリメートル、幅41ミリメートルで、厚さは2種類を用意しており、45ミ
リメートル厚が5500円(税別)で、60ミリメートル厚が7100円(税別)。住宅メーカーや工務店、
リフォーム業者とその他建設業を販売対象としている。

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22 7月の九州北部豪雨による流木災害は過去最大級 国交省 2017/8/28 朝日新聞
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 7月に発生した九州北部豪雨による流木災害は、過去最大級のものであることが分かった。11
年の那智川や13年の伊豆大島など、過去の災害における発生流木量と比較したところ、判明し
たもの。同省では今後、砂防事業による流木対策を強力に推進していく。

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23 全国空き家対策推進協議会を設立 国交省 2017/8/28 朝日新聞
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 国土交通省は約1000の市区町村の参加により、全国空き家対策推進協議会を設立する。空き
家問題に関する情報の共有化を通じて、専門家との連携の上、対応策を検討していく。8月31日
に設立総会を開催する。

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24 受験者増加続く 再開発プランナー試験 2017/8/28 朝日新聞
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 再開発プランナー試験(筆記試験)が8月27日に行われ、試験を運営している再開発コーディネ
ーター協会によると853人が受験した(東京会場は704人、大阪会場は149人)昨年に比べて受験者
は95人増えており、これで3年連続の増加。
 筆記試験合格者は、都市再開発事業に関連する実務経験が3年以上あることについて、実務経
験審査を受け、合格し、登録を受けることで再開発プランナーとなる。

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25 「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置 国交省 2017/8/25 朝日新聞
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 国土交通省は「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置する。現在、建設中のリニア
中央新幹線など高速交通ネットワークの整備がもたらす国土構造への変革による効果を、最大
限引き出すための取り組みを推進する。リニア中央新幹線により三大都市圏が約1時間で結ばれ
、世界を先導する「スーパー・メガリージョン」の形成が期待される。第1回検討会は9月に開
催される予定。

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26 23区のビル新規賃料は上昇、空室率は低下 東京ビル協調べ 2017/8/25 朝日新聞
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 東京ビルヂング協会はこのほど、17年7月期の「ビル経営動向調査」結果を発表した。会員を
対象に四半期ごとに実施し、最新の賃料水準と空室率をアンケートした上で、経営者が肌で感
じた景況感をたずねて指数化したもの。回答会社数は137社。
 同調査によれば、東京23区の平均新規賃料(坪あたり、共益費込)は、上限が2万7598円(前回
比1092円増)、下限が1万8350円(同384円増)で、上限・下限共に上昇した。空室率については23
区平均で2・7%(同0・4ポイント減)と、前回調査時に引き続き下降している。
 3カ月前と比べた景況感は、賃料水準指数が13・7(同4・4ポイント増)、空室指数が16・0(同5
・5ポイント増)で、いずれもプラス。同協会はコメントで、「賃料、空室共に好況感を維持し
ている」との見方を示した。

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27 首都圏7月中古マンション売り価格 前月から横ばい 2017/8/24 朝日新聞
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 東京カンテイが発表した7月の中古マンション価格(70平方メートル換算、売り希望価格)によ
ると、首都圏は前月比で横ばいの3562万円となった。前年同月比を見ても上昇率は縮小しつづ
けている。
 都県別に見ると東京都は前月比0.3%プラスの4826万円。東京23区では同プラス0.3%の5326万
円。神奈川県(2825万円、同プラス0.1%)も僅かな上昇にとどまっており、ここ3カ月間では目立
った動きはない。埼玉県は同プラス0.9%の2149万円、千葉県も同プラス0.9%の1950万円となり
、価格水準が高い行政区からの事例増加も影響し、共に1%程度のプラスとなった。

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28 不動産テック特化の新メディア「スマーブ」提供開始  リブセンス 2017/8/24
朝日新聞
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 リブセンス(東京都品川区)は8月23日、不動産テックの最新情報をワンストップに提供するニ
ュースメディアサイト「SUMAVE(スマーブ)」(https://www.sumave.com/)の提供を開始した。日
本での不動産テックの浸透と活性化を推進する狙い。会員登録が不要で、記事は全て無料で閲
覧できる。

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29 女性の約4割「防災訓練に参加したことがない」、大和ハウス工業調べ 2017/8/30
読売新聞
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大和ハウス工業(株)は、9月1日の「防災の日」を前に、住宅購入検討者を対象とした「防災
意識と実態に関する調査」を行った。
調査対象は新築戸建住宅(注文住宅・建売住宅)購入を検討する20代~50代の男女。調査時期
は2017年8月9日(水)~2017年8月12日(土)。調査方法はインターネット。回答者数は1,035
名(男性518名・女性517名)。
防災と聞いて思い浮かべるもの(防災認知率)は何ですか?では、「地震」(98.0%)、「台風
」(72.8%)、「豪雨」(67.7%)の順。災害を想定して防災の準備をしているもの(防災準備
率)においても、「地震」(55.8%)、「台風」(20.2%)、「豪雨」(15.0%)の順だった。し
かし、防災認知率に比べ防災準備率はまだまだ低く、「あてはまるものはない」(37.2%)と答
えた、何も準備していない人が4割近くいる。
「地震」の備えについて、エリア別に防災準備率を見ると「関東」(72.3%)は7割を超え高い
ものの、「北海道」(39.5%)や「九州・沖縄」(41.9%)の準備率は低く、エリアにより差が
あることがわかった。また、住んでいる地域で将来発生する可能性のある大規模地震に対し、
どの程度不安を感じているかと聞くと、3人に1人は「とても感じている」(36.9%)と答え、「
やや感じている」(44.6%)を加えると81.5%が地震に対して「不安」を感じている。
防災のために実践していることでは、「携帯ラジオ、懐中 電灯、医薬品などを準備」(52.7%
)、「食料や飲料水を準備」(49.7%)、「地域指定の避難場所を確認」(32.4%)が上位にあ
げられた。
災害が起きた時、真っ先に心配する相手は、「同居する子ども・孫」(41.8%)が最も多く、次
いで「配偶者・恋人」(21.9%)、「自分のこと」(17.8%)の順となり、自分のことより家族
のことを心配する人の方が多い。
家族や同居している人と避難訓練をしたことがありますか?では、85.5%が「ない」と答えてい
る。防災訓練への参加経験については、男性の3人に1人は1年以内に防災訓練に「参加」(35.9
%)しているが、女性は19.7%と少なく、女性の約4割は防災訓練に「参加したことがない」(39
.1%)と答えている。

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30 今夏「節電」を意識している5割強、「節水」を意識している4割強、マイボイスコム調
べ 2017/8/30 読売新聞
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マイボイスコム(株)はこのたび、7回目となる「今夏の節電・暑さ対策」に関するインターネ
ット調査を実施した。調査期間は2017年8月1日~5日。回答数は11,238件。
それによると、今年の夏、節電を意識している人は50.4%、50代以上で6割と高い傾向。意識し
ていない人は3割弱。節電対策として家で行っていることは、「エアコンの使用時間・設定温度
などを工夫する」が最も多く44.2%、「照明をなるべく使わない、こまめに消す」「節水を心が
ける」「エアコンをなるべく使わない」「日差しを遮る工夫」が各20%台だった。
また、今年の夏、節水を意識している人は4割強、50代以上で高く、女性50代以上では5割強。
一方、男性20~40代や女性20代では、意識していない人が各40%台で意識している人より多くな
っている。
熱中症対策を行っている人は5割弱で、女性や50代以上で高く、女性50代以上では6割を占める
。熱中症対策のために飲食しているものは、「水、ミネラルウォーター」「日本茶、麦茶、ウ
ーロン茶など」が4~5割、「スポーツドリンク」が2割強で上位だった。

暑さを乗り切るために心がけていること・実践していることでは、
●休みの時の日中はなるべく図書館など冷房が効いてる所で過ごしたり、こまめに水分を取る
などして乗り切る!(男性28歳)
●よく眠ること。これが一番肝心です。汗をかいてベタベタになったら、水分と塩分を補うこ
と。(男性49歳)
●3時起床し、涼しい時間帯に仕事をし日中は休憩を増やす。(男性70歳)
●1日に1度は汗を出す。ずーっとエアコンの効いたところにはいないようにする。(男性60歳

●夏季休業中は昼夜逆転生活をする。そうすると、太陽が出ている暑い時間は寝て、太陽が沈
んでいる比較的暑くない時間は起きているということになるので。(女性19歳)
などの回答があった。

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31 “魅せることで”早く高く家を売る!「ホームステージング」。本場アメリカの最新事
情とは? 2017/8/30 読売新聞
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「大切な家を売るなら『ホームステージング』は必須。アメリカでますます注目が集まる『ホ
ームステージャー』の実態」というタイトルのセミナーがあると聞いて参加した。日本でよう
やく動き出した「ホームステージング」だが、本場アメリカの実態はどうだろう。

「ホームステージング」は中古住宅を早く高く売るのが目的
「ホームステージング」とは、住宅を売却するときに、家を家具やインテリアなどでディスプ
レイして魅力的に演出すること。「できるだけ早く、できるだけ高く」売ろうという仕掛けだ

このセミナーの講師である吉川みどりさんは、ホームステージングの本場・アメリカのシアト
ル(オレゴン州)在住で、住宅の内装設計から施工、ステージングまで幅広い仕事をされてい
る。
アメリカでは、ホームステージングが意味する範囲は広く、個人が結婚式やクリスマスパーテ
ィーのために家をディスプレイする場合もあれば、新築やリノベーション時に内装設計から入
って最終的にインテリアの設置までする場合もあるというが、ここでは住宅を売却する場合に
絞って紹介していこう。
住宅売却時にホームステージングをするメリットは、家具がないと広さがつかめないこともあ
るが、それぞれの空間でどんな生活が送れるかイメージできることで「早く高く」売れること
にある。吉川さんによると、アメリカの2015年と2016年の調査で、多くの物件が早く売れた結
果が出ているという。
「ホームステージングは、HOUSE=家をHOME=家庭にしてあげること」だと吉川さんは言う。家に
は愛がなければ売れない、というのが持論だ。演出した家庭の暮らしを手に入れるために、家
はもちろんだが、10件に1件くらいの割合で同じ家具をセッティングしてほしいと言う買い手
がいるというほど。

本場アメリカのホームステージングの実態は?
アメリカでは個人がリアルター(不動産仲介事業者)であることが多い。そこで当初、ホームス
テージングは、リアルターが自ら所有する椅子やクッションなどをディスプレイしていたこと
に始まり、その後ホームステージャーという職業が専業化していったのだそうだ。
ホームステージャーを雇うのはリアルターで、売買が成立すると手に入る仲介手数料から費用
を負担する。そのため売りたいと仲介の相談を受けたらすぐにステージャーを雇い、市場調査
をして、売りたい層(年収や年齢、職業、家族構成など)を設定して、ステージングしたらす
ぐに売り出せるように準備をするという。
ステージャーは、家を撮影するなどして打ち合わせを進め、必要があれば図面を書き起こし、
予算を聞いてプランニングに入る。ステージングの内容が決まれば、家具などのレンタルの発
注や手配、セッティング、売却後の撤去までが仕事になる。
リアルターの中には、オープンハウス時にクッキーやパンを焼いて匂いを演出したり、壁のペ
ンキを塗り替えるまで手を入れる強者もいるそうだ。
ホームステージングが一般化すると、キャンドル1個から家具やインテリア、絵画までをレン
タルするビジネスも生まれる。
吉川さんが紹介した事例では、家庭で使っていない家具などを引き取り、新品同様などの使え
る家具を集め、倉庫に保管し、バーコードで管理して、カタログやオンラインで検索できるよ
うにしている。倉庫内にスタジオを構え、即座に撮影→DBに反映という仕組みも整えているの
だそうだ。
ホームステージングにかける費用や期間は物件によりさまざまだが、アメリカは住宅が不足し
ているので、シアトルなら1カ月で8割が売れ、好立地ならすぐに買い手が見つかる状況だとい
う。ステージングの家具などにかける費用は、1億円の物件なら20~30万円程度が一般的で、こ
れに運搬や撤去、ステージャーの報酬(どの程度時間をかけたかによる)などを入れると50万
円くらいが目安になる。
アメリカでも居住中の段階で売却をする事例も多い。その場合、売主の所有物は撤去してもら
うのが原則。売れるまでガレージに収納したり、ペットを預けたりしてもらう。「誰にでも売
る」のではなく、「マーケットから見たターゲット層にしっかりアピールする」のが、早く高
く売るための決め手だからだ。

日本でもホームステージングは広がる?
日本でも、少しずつではあるが、ホームステージングが注目されるようになってきた。
2013年8月に(一社)日本ホームステージング協会が設立され、日本の住宅事情に合わせたホー
ムステージングの普及に力を入れている。同協会では、ホームステージャー(1級・2級)の認
定資格制度を設けており、認定講座を受講して資格試験に合格した認定ホームステージャーの
人数は、2017年8月4日時点で、1476人となった。代表理事の杉之原冨士子さんは「2017年度中
には2000人を超える見込み」だという。
また最近では、大手仲介会社を中心に、売主にホームステージングを提案するようになってき
た。仲介会社が費用負担するサービスとしては、売主が専属専任・専任媒介など1社だけに仲介
を任される契約を結ぶことを条件に、各社が定めた査定価格や築年数、面積などの条件を満た
す居住用物件に限られることが多い。高く売れる物件を独占的に仲介するためのサービスと言
えるだろう。
吉川さんは「アメリカは10年くらい前からステージングが普及しましたが、日本はまだこれか
らです。ただし、日本は住空間や生活の仕方が違うので、そのまま取り入れるのではなく日本
バージョンを構築する必要があるでしょう」と指摘した。
日本とアメリカでは仲介のシステムが大きく異なるが、誰に買ってほしいのかきちんとマーケ
ティングして、売りたい層にしっかりアピールできるホームステージングは、日本でも今後試
行錯誤しながら広がっていくだろうと思う。

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32 愛知県蒲郡市に泊まれる住宅展示場「SHARES ラグーナ蒲郡」がオープン! どうして泊
まっていいの? 2017/8/30 読売新聞
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愛知県蒲郡市は、三河湾を望む複合型リゾート施設「ラグーナテンボス」があることで知られ
る。そこから徒歩20分程の場所に2017年4月、斬新な住宅展示場「SHARES ラグーナ蒲郡」がオ
ープンした。コンセプトは「泊まれる住宅展示場」。どうして泊まっていいの? 食事や布団の
用意は? 湧いてくる疑問をぶつけてきた。
東海エリアを中心とした11社による、オシャレな14棟の住宅と4棟の小屋を擁する「SHARES ラ
グーナ蒲郡」。14棟はすべてが平屋で30坪以内、1500万円前後という価格だ(購入時保証費込み
)。通常の住宅展示場と同じように、ここで建物を選んで好きな場所に建てることができる。建
物の価格が決まっていることが大きな特徴で、各社の営業担当者は常駐せず、「SHARES ラグー
ナ蒲郡」運営会社の専門スタッフが住宅やメーカーを公平な視点で紹介する。
宿泊は有料で、1棟貸し切りで一泊2名3万4000円~(5名まで宿泊可、1人増えるごとに3000円の
寝具代が必要)。やや高めの料金設定にも感じられるが「週末は宿泊予約で約8割が埋まってい
ます。夏季なので混み合ってきました」と、「SHARES ラグーナ蒲郡」の運営会社である株式会
社住宅アカデメイアの鴨下義和さん。
各建物の中にはベッドや布団はもちろん、調理器具や食器なども揃う。「ラグーナテンボス」
に併設のショップ「フェスティバルマーケット」で食材を調達して、海辺のバーベキューを楽
しむ家族も多いという。

朝から晩まで稼働する働き者のモデルハウス
展示場なのに泊まっていいのはなぜか。それはズバリ「使っていない時間の、モデルハウスの
有効活用です」と鴨下さん。「私たちは元々住宅会社のコンサルティングをしています。住宅
展示場の運営には固定費や人件費がかかるため、顧客である住宅会社さんの負担が大きい。そ
こで見学できる建物を日替わりにし、11時から17時までは住宅展示場、17時からはホテルとし
てモデルハウスが稼働するスタイルを考案し、運営しています」。
このスタイルであれば、宿泊費用により展示場の運営費の一部を賄えるし、自社の営業担当者
が駐在しなくても運営会社の専門スタッフが住宅の魅力を伝えることができるなど、出展する
住宅会社にもメリットが大きい。宿泊者にとっては、好立地にある個性的な1棟をホテルとして
楽しむことができる。
展示場内は、14棟の住宅と4棟の小屋を「ガーデンエリア」「オーシャンエリア」「アウトドア
エリア」「キャンピングエリア」に分けて配置。それぞれが、多様なライフスタイルの住人を
想定したコンセプトハウスになっている。個々の時間を尊重したいならステップフロアのある
「one-HAPPY」。自然のエネルギーを取り入れた生活に興味があるなら「VOLKS-nR」や「OM-WOR
KS」。よりミニマルに暮らしたいなら「casa cago」。アウトドア派には玄関を入ってすぐに浴
室があり、屋上も付いた「OFFTIME」……。どれも魅力的で、泊まりたくなる!

泊まりだから、隅々まで一晩中チェックできる!
「ここではどの建物も、価格や大きさ、性能、保証などがほぼ同条件。だから建物重視ではな
く“本当にやりたいことや住みたい場所は”とライフスタイル重視で選ぶことができます」と
鴨下さん。購入検討者の中には、子どもが独立して現在の住まいに不便を感じたシニア世代が
「個々の趣味に打ち込める平屋がほしい」と訪れるケースもあるという。
では、住宅購入目的で試泊するという利用者は多いのだろうか。「そうであれば何よりですが
、これからですね。今のところ、宿泊はホテル利用目的の人が大半です。住宅購入を検討する
人には宿泊料の割引サービスもありますが……」と鴨下さん。
宿泊利用者は、関東や関西からレジャー目的で訪れるファミリーや、近場から来て女子会を開
くグループなど。ただ、中には「2棟を借りたので比較できた。家が欲しくなった」というグル
ープや、「宿泊が二地域居住を考えるきっかけになった」という人もいたという。
時間が経つにつれて変化する気温や採光、音の響き方など、宿泊しないと分からないことはた
くさんありそう。
それに泊まりなら、一晩中細部をチェックしてもいい。キッチンからの眺め、子どもが遊ぶ様
子、風呂場の開放感、間取りや動線など、この家での暮らしを体感し、具体的に思い描くこと
ができる。実際に、電気をつけたり消したりして明るさを確認したり、キッチンの使い勝手を
入念にチェックする人もいるよう。
鴨下さんは「設備や仕様だけでなく、仕切られていない家での過ごし方や吹抜けがある開放感
など、日常とは違う家で過ごす豊かな時間を感じて欲しいですね」と話す。
遊び感覚で建物との相性を確認できる、住宅展示場の体験試泊。機会があればぜひお試しを。
ただ見学するだけでなく、気になる1棟に実際に宿泊してみることで、自分の理想のライフスタ
イルが見えてくるかもしれない。逆に「ここは違うな」と思っていた家が、泊まってみたら「
意外といいかも!」というケースもあるだろう。住宅会社のイベントなどでも時々見かける体
験試泊。試すと得るものが大きいかも。

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33 都市の緑、保存する建物づくりを 自然と暮らしをつなげる「里山一体マンション」を
巡る 2017/8/29 読売新聞
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自然と人の暮らしをつなげつつ、長い歴史を持ってきた里山。近年、その維持管理が難しくな
ってきている。里山とは人の手が入ってこそ成り立つが、特に首都圏では伐採され、開発され
てしまっているのが現状のようだ。しかし、すでに1980年台から「里山を残しつつ、そこに溶
け込むマンション」をつくることで、自然と建築物の調和を目指してきた建築会社がある。そ
の株式会社sum design の代表井出敦史さんに話を伺ってきた。

鳥になって空から見たときに美しい風景を作りたい
株式会社sum designのオフィスは、横浜市内と思えないような環境のHOMES20という集合住宅の
中にある。お伺いしたときは真夏の昼間だったが、セミの声が響き渡る丘は、樹影が深く駅の
近くより確実に涼しい。5階建ての建物の高さをはるかに越える木々がコンクリートの建物と見
事に調和していた。
「弊社が目指すのは、新築時がベストではなく、10年20年の時間を経て徐々に完成していく建
築物だと考えています。これは『斜面の魔術師』と言われた父の手法の体現でもあります。こ
の建物も1990年に建築されたので、そろそろ完成形に近づいたと思っています」と井出さん。
植樹をする際に大切にしているのは、元々そこにあったであろう植物を中心にして、なるべく
外来種を取り込まないようにすることだそうだ。「そうでなくても種になって飛んできたりし
て、元々の生態系が壊れていくこともあります。その土地の気候風土に合った植物はそこで暮
らす人にとっても安らぐと思っています」(井出さん、以下同)。

快適な住まいには街づくりから考える必要があると井出さんは話す。
「我々は自らが鳥になって空から眺めた時に違和感のない美しい風景を作りたいと思っていま
す」
用途地域ごとに区切ってしまうのではなく、随所に森を残すような街づくりが理想だとのこと
だ。
「戦後、日本の建物は屋根の美しさを無視してきたような気がします。建築物だけが特異な存
在として際立つのではなく、周囲の環境に建物が溶け込んでいるような感じを思い浮かべてい
ます」

自ら土地(里山)を手に入れ、デベロッパーとして分譲
斜面開発を得意とし「斜面の魔術師」の異名を持つ父親 共治氏の代から緑と調和する建物を
作ってきた。そして、傾斜地に寄り添うように建てられたものが多い。しかしどんな傾斜地で
もいいわけではないそうだ。
「季節や時間、天候を変えて、何度も何度も足を運んで、その土地の持つ力や個性を確認する
ことにしています」
そうやってほれ込んだ土地だから、自分自身が設計するだけでなく、デベロッパーに売り込ん
で事業として成り立たせることもあった。
オフィスのあるこの建物は、なんとsumdesign(旧SUM建築研究所)が自らデベロッパー会社を
設立し、分譲することにした。
「傾斜地は不動産としては価格が抑えられている場合が多いです。しかも南斜面に価値がある
と思われていますが、私は北斜面のほうがポテンシャルは高いと思っています」
自然の葉は南向きが表になっているので、北側から眺めたほうが自然の美しさは際立つと教え
てくれた。また建物の高さによって、風景の味わいは異なるが、それぞれに良さがあるので、
分譲価格はどの階も同じに設定したというのも特徴的だ。

片側廊下を作らず風が通る設計、無垢材を使った室内
sum designのオフィスは事務所とは思えない空間だ。避暑地の別荘を思わせる。まず室内を囲
む床、壁、天井のすべてがチークの無垢材が使用されている。
「集積材などに比べて、確かに均一性はありません。でもそれは木が本来持っている特徴なの
です。湿気や乾燥で膨らんだり縮んだりすることを味わいとして楽しむ、ついた傷を家族の歴
史として楽しむ、そんな人たちが賛同して私たちの作るものを受け入れてくれていると思って
います」
と井出さん。
またマンションの設計によく見られる片側が共用廊下で片側が開口部という設計も採用してい
ない。南北あるいは東西といったように開口を作り、風が抜けるような設計になっている。
「日本の建物は、本来風が抜けるように作られています。高温多湿な気候に合った作り方がさ
れていたのです。その特徴を取り入れるようにしています」
エントランスに管理員の方はいるが、オートロックや共用のラウンジは作っていない。
「1軒ずつの家が集まった住宅の集まりなので、防犯は各住戸で考えればいいと思っています
。また機械で完結するものではなく、『人』だと思います。ここは20戸というスケールのせい
もありますが、見知らぬ人が入って来ると、すぐに気が付きますからね」

竣工時から長く住み続けてくれる住人が多い
「やはり住んでいる人も自然や植栽にこだわりの多い人が多いです。管理組合での話し合いも
おのずと熱くなりますね。それだけ皆さん大切に住んでくれているということだと思います」
井出さんによれば、新築時から住み続ける住人の割合が多いそうだ。
また長く住み続けるために、自然に生まれた法則もある。エレベーターを作らなかった集合住
宅では、年齢に応じた住み替えが同じ集合住宅内で行われていることもあるという。「上階に
住まわれていた方が年齢を重ねて階段の上り下りがたいへんになると、下の階に住んでいた若
い方と交換されて住み続けてくれたりしています。他の集合住宅では珍しい例ではないでしょ
うか」
どうしても均一になりがちなマンションでありながら、井出さんたちの作る集合住宅の存在は
かなり特殊かもしれない。しかしどの外観写真を見せてもらっても、竣工時よりも10年20年経
った姿のほうが美しい。建物と植えられた木々が一体になっている。
井出さんが自宅として住んでいる「ヒルサイド久末」は、2013年に日本建築家協会25年賞を受
賞している。建物の経年後の美しさはもちろん、住民の建物への愛情という意識の高さも評価
されている。あらゆる意味で集合住宅のあるべき姿として参考にしてほしいと思う。

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34 「渋谷」まで10分圏内! 乗り換えなしで家賃相場が安い駅ランキング 2017/8/28
読売新聞
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ファッションやグルメの話題のショップが軒を連ね、流行に敏感な若者を中心に多くの人であ
ふれる渋谷駅。2017年春には宮下公園向かいにオフィスやカフェ、住居などからなる複合施設
「渋谷キャスト」が誕生したほか、2019年度の開業へ向けて渋谷駅に地上47階建ての駅ビル建
築も進んでおり、今後にも期待が高まる。そんな人気の街・渋谷まで乗り換えせずに10分以内
で行ける、家賃相場が安い駅を調査してみた。10分離れるとどれほどリーズナブルに住めるの
か? さっそく見ていこう。

●渋谷駅まで乗り換えなしで10分以内の家賃相場が安い駅ランキング
順位/駅名/家賃相場(路線/渋谷駅までの所要時間)
1位 明大前 7.6万円(京王井の頭線/10分)
2位 桜新町 7.9万円(東急田園都市線/8分)
2位 東松原 7.9万円(京王井の頭線/8分)
4位 下北沢 8万円(京王井の頭線/6分)
4位 新代田 8万円(京王井の頭線/7分)
6位 駒沢大学 8.2万円(東急田園都市線/6分)
7位 池ノ上 8.5万円(京王井の頭線/4分)
7位 学芸大学 8.5万円(東急東横線/7分)
7位 三軒茶屋 8.5万円(東急田園都市線/4分)
7位 祐天寺 8.5万円(東急東横線/6分)
11位 都立大学 8.7万円(東急東横線/10分)
12位 大崎 9万円(JR山手線/9分)
13位 池尻大橋 9.5万円(東急田園都市線/2分)
13位 新大久保 9.5万円(JR山手線/10分)
15位 駒場東大前 9.8万円(京王井の頭線/2分)
15位 五反田 9.8万円(JR山手線/8分)
15位 中目黒 9.8万円(東急東横線/3分)

電車1本で10分離れると家賃相場は渋谷駅よりも4万円以上ダウン!
渋谷駅にはJR各線のほか、東急田園都市線、東急東横線、京王井の頭線、東京メトロ半蔵門線
・銀座線・副都心線が乗り入れている。そのうちトップ15には東京メトロ各線をのぞく4つの路
線がランクイン。1位にランクインしたのは渋谷駅まで約10分で行ける京王井の頭線・明大前駅
で、家賃相場は7.6万円だった。
ちなみに今回の調査時、渋谷駅の家賃相場は11.7万円。1位の明大前駅は渋谷から電車で約10分
離れただけで、家賃相場が4.1万円も下がるという結果に! これだけ安くなるのは明大前駅が
不便な立地だからかというと、そんなことはない。京王井の頭線と京王線の乗換駅であり、各
駅停車から急行、京王線の特急まで全列車が停車する。京王線の特急に乗れば、明大前駅から
新宿駅まで約6分だ。駅周辺施設を見てみると、今年開業10周年を迎えた駅ビル「フレンテ明大
前」があるほか、明治大学のキャンパスをはじめ高校や専門学校が点在しているため、学生向
けのリーズナブルな飲食店があるのもうれしいポイントだ。
同率2位の東松原駅は、1位の明大前駅から京王井の頭線で1駅。よその街から人が押し寄せるよ
うな大型商業施設がない半面、人混みとは無縁の静かな住宅街という点が魅力。しかし毎年2月
は例外で、駅南側に広がる「羽根木公園」の梅林を愛でるために多くの人が訪れる。こちらの
公園は梅の時期以外にも春は桜、秋は色付いたイチョウ並木が迎えてくれ、日ごろは地域住民
の憩いの場として親しまれている。また、東松原駅から15分ほど歩くと、さまざまなお店が立
ち並ぶ4位の京王井の頭線・下北沢駅へ。休日には散歩がてら、下北沢で遊ぶのも楽しそうだ。

都心交通網の大動脈・JR山手線の駅や、人気の街・中目黒もトップ15入り
都内を代表する路線といえるJR山手線からは3駅ランクイン。そのうち12位・大崎駅は品川区に
位置し、JR線のほかに、お台場エリアや新木場へ向かうりんかい線が乗り入れている。駅東口
側にはオフィス棟や商業施設からなる大型複合施設「大崎ニュー・シティ」や、オフィス棟や
ショップに加えて住居棟もある「ゲートシティ大崎」、タワーマンションがそびえ立つ。西口
側にも大型マンションはあるが、少し離れると一戸建て住宅や一人暮らし向けの集合住宅の姿
もあって、オフィス街の印象が強い東口側よりも住宅街らしい雰囲気だ。
トップ15のうち、渋谷駅からの所要時間が最短なのは13位の東急田園都市線・池尻大橋駅。電
車で1駅乗れば、もう渋谷駅に到着する。街の雰囲気は渋谷よりもぐっと落ち着いていて、一人
暮らしはもちろんファミリー層の住民も数多い。もし子育て世帯で池尻大橋駅周辺に住まいを
探す場合は、ひとつ注意したい点がある。駅の東側は目黒区、西側は世田谷区になっており、
それぞれの区によって子育て関連の助成や保育所数などが異なっている。そうした制度を事前
によく調べて、どちらの区に住むかを決めたほうが納得のいく生活になるだろう。
15位には東急東横線の中目黒駅がランクイン。中目黒駅はリクルート住まいカンパニーの調査
「みんなが選んだ住みたい街ランキング2017 関東版」で住みたい街8位に選出されている。同
調査で渋谷駅は10位だったので、みんなからの人気は渋谷よりも高く、家賃相場は渋谷よりも
低いためお得な駅といえる。2016年11月には東急東横線高架下に商業エリア「中目黒高架下」
がオープン。カフェも併設した「中目黒 蔦屋書店」や話題の飲食店など30店舗が軒を連ね、も
ともと高かった街の人気をさらに高めた一因となったのではないだろうか。
今回ランクインした駅の家賃相場は都内でも安い部類とは言えないものの、それでも渋谷駅と
比べるとだいぶリーズナブルだろう。渋谷駅から電車で10分圏内ならば、十分に都心部といえ
るロケーションでもある。「渋谷に住みたい」と憧れつつ、なるべく家賃を抑えたいなら、今
回ランクインした駅で住まい探しをしてみてはいかがだろう。

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35 【沿線調査】地上区間がないから遅延が少なく、災害に強い! 都営地下鉄大江戸線の住
み心地 2017/8/28 読売新聞
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都庁前駅から光が丘駅までを結ぶ、都営地下鉄大江戸線。新宿駅や飯田橋駅などビジネスパー
ソンが多く利用する駅のほか、門前仲町駅や蔵前駅などの下町、月島や勝どきといったマンシ
ョン開発が進む湾岸エリアなど多様な街が集まる路線。今回は、そんな都営地下鉄大江戸線沿
線で暮らす人々にアンケート調査を実施。オススメポイントやその住み心地を聞いた。

地上区間がないことで、天候による遅延が少ない!
都営地下鉄大江戸線は、1991年に開業し、2000年に全線開通した、東京では東京メトロ副都心
線に次いで2番目に新しい地下鉄だ。路線図を見てもらえば分かるように、「6の字型」といわ
れる独特な形をしている。先述のように、いわゆるターミナル駅だけでなく、観光にピッタリ
の下町など、多様な街が集まる路線だが、沿線に住む人たちはいったいどんなところが気に入
っているのだろうか?

●好きなところ(複数回答)
1位:どこに行くにも便利(84.9%)
2位:ほかの沿線に乗り換えしやすい(42.5%)
3位:遅延が少ない(32.9%)
4位:座れる頻度が高い(29.5%)
5位:運行本数が多い(28.8%)
6位:駅やホーム、トイレが清潔(24.0%)
7位:好きな駅やスポットがたくさんある(21.9%)
8位:電車内がきれい(20.5%)
9位:ラッシュ時も混雑が少ない(19.9%)
10位:都心のターミナル駅に出なくても沿線上に栄えた駅があって便利(16.4%)

他の沿線調査同様、「どこに行くにも便利」なところを気に入っているユーザーは多いのだが
、注目したいのは、3位の「遅延が少ない」。今回SUUMOジャーナルが調査を行った全15路線中
、つくばエクスプレスの34.3%に次いで、ポイント数が高かった。“地下鉄”とはいうものの
、例えば東京メトロ丸の内線の四ツ谷駅のように地上の区間を走行するパターンもあるが、都
営地下鉄大江戸線には地上区間がない。
コメントを見ても、「(台風などの)自然災害で止まることがほとんどないので安心」(51歳
・女性)など、天候による遅延の経験が少ないというユーザーは多いよう。また、「東日本大
震災の日も復旧が早く、無事に自宅へ帰ることができた」(34歳・女性)なども見受けられ、
大地震で首都圏の交通網が混乱したときでさえ、復旧が早かったと実感しているようだ。
実際、都営地下鉄大江戸線の清澄白河駅と麻布十番駅の2駅には、地下防災施設(備蓄倉庫等)を
設置。物資を備蓄し、地震に強い地下鉄の輸送力を活用した支援と輸送を行うなど、防災の面
でも期待されている。
深さゆえにホームからの地上出口の距離が長すぎる……
一方で、当然改善してほしいと感じるところもある。ユーザーたちは、都営大江戸線のどんな
ところに不満を抱いているのだろう? TOP10は以下のとおり。

●改善してほしいところ(複数回答)
1位:乗車運賃が高い(50.0%)
2位:あてはまるものはない(26.7%)
3位:ほかの線との乗り換えが不便・面倒(24.0%)
4位:通勤ラッシュ時の混雑が激しい(14.7%)
5位:駅のエレベーターやエスカレーターが少ない(11.3%)
6位:運行本数が少ない(10.0%)
7位:終電が早いもしくは始発が遅い(8.0%)
8位:駅やホーム、トイレが清潔ではない(6.7%)
9位:乗客のマナーが悪い(4.7%)
10位:電車の種類が多くて複雑(3.3%)

1位は「乗車運賃が高い」で、「他と比較して運賃が高い」(35歳・男性)、「初乗りがせめて
150円になったら良い」(68歳・女性)などのコメントが数多く見られた。例えば、都庁前駅か
らお隣の新宿西口駅まで一駅乗っただけでも、運賃は180円(IC利用時:174円)。東京メトロ
の初乗り170円(IC利用時:165円)、JRの140円(IC利用時133円)と比較しても割高だ。
「ほかの線との乗り換えが不便・面倒」の項目では、乗り入れている路線の数に不満があるの
ではなく、都営地下鉄大江戸線ホームと他路線のホームや改札までの距離に不満があるよう。
コメントでも、「色んな駅に停まるため乗り継ぎは出来るのですが、(他の路線のホームまで
)相当な距離があるため、たまに迷ったりする」(31歳・女性)、「地下深すぎて、改札から
ホームまでが遠すぎる。乗り換えや待ち合わせで思ったよりも時間がかかる」(28歳・女性)
といった意見が多い。比較的新しくできた地下鉄のため、他の路線を避けて、地下深い場所に
路線が通っているという背景から、このような現象が起こっているようだ。
都営地下鉄大江戸線で最も深いのが、六本木駅の42.3m。地上の建物に換算すると、約10階分に
相当するといわれている。深さに関しては、バリアフリーの面でも懸念されているようで、「
ホームが深いので地上階に出るにはエスカレーターがないと不便。お年寄りも大変」(33歳・
男性)といった意見も……。
また、都営地下鉄大江戸線の車両は12-600形を採用しており、全長16.75m、全幅2.49m、全高3.
14m。対して、東京メトロの16000型車両は全長20m、全幅2.8m、全高4.075m。JRのE235系でも全
長19.5m、全幅2.95m、全高3.62mなので、比較的小さめの造りになっていて、その点に不満をも
つユーザーも少なくないようだ。

都心・下町・オシャレスポットまで一本で移動可能!
ここまで、沿線の好きなところと改善してほしいところを見てきたが、「今住んでいる沿線は
好きですか?」と質問してみたところ、「とても好き」37.3%、「好き」48.0%、「あまり好
きではない」2.0%、「嫌い」0.7%という結果に。「好き」の合計が85.3%で、京王井の頭線
の92.0%に次いで2番目に高い。
さらに、都営地下鉄大江戸線沿線を住まいの候補としている人の参考になるかと思い、オスス
メポイントを聞いてみたところ、以下のような意見が挙がった。

「東京の名所を一通り巡ることができる」(43歳・男性)
「都心へのアクセスが便利で乗り換えやすい」(35歳・男性)
「都心や下町など一本で行けるので、レジャーに気軽に行ける」(38歳・女性)
「四季のワンデーパスが500円と安く、普段降りない駅で公園やお店を開拓するのがオススメ
」(47歳・女性)
「新宿などの都心から上野(上野御徒町)などの下町、オシャレスポットの六本木など、さま
ざまな東京の街へのアクセスがとても便利」(59歳・女性)

続けて、「デート」「子連れ」「穴場」の3つのシチュエーションに合わせたオススメスポット
も聞いてみたので、いくつか紹介しよう。

●デートするなら?
・蔵前駅周辺「カフェやギャラリーなどがたくさんできて、散歩すると発見があって楽しい」
(28歳・女性)
・麻布十番駅/麻布十番商店街「古いものと新しいものが混在していて楽しい」(47歳・女性

・光が丘駅/光が丘公園「広々としていて、いろんなイベントをしている」(32歳・男性)
・若松河田駅/旧小笠原伯爵邸「雰囲気も料理も良い。駅の隣なので、デートには最高」(31
歳・女性)

●子連れでお出かけするなら?
・両国駅周辺「江戸東京博物館はジオラマがあり、子どもにも分かりやすい」(44歳・男性)
、「博物館や相撲を見て、日本の伝統体験ができる」(44歳・男性)
・落合南長崎駅/ホビーセンターカトー「Nゲージの本格的なジオラマが展示されている」(50
歳・男性)
・新江古田駅/江古田の森公園「比較的広い公園で、いつも子どもが遊んでいる。花見にも良
さそう」(28歳・女性)
・清澄白河駅/東京都現代美術館(改修工事のため休館中)「子どもが楽しめる展示もあり、
近くに公園もある」(43歳・男性)

●穴場なスポットは?
・本郷三丁目駅周辺「焼肉やラーメンなど、おいしい店がある」(34歳・女性)、「東大構内
の散歩や東大内のレストラン、ラーメン屋もたくさんあって食べ比べも楽しめる」(46歳・女
性)
・練馬駅/練馬区役所「展望レストランは見晴らしが良く、ゆっくりできる」(51歳・女性)
・牛込神楽坂駅周辺「隠れ家的な飲食店が結構ある」(49歳・女性)

今回のアンケート調査をきっかけに、防災拠点としても注目されていることや6の字型という独
特な路線であることなど、新たな発見があった。ユーザーのコメントにもあったように、ワン
デーパスポートを使ってさまざまな駅を巡ってみるのも楽しそうだ。

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36 隣人の生活音が聞こえない家に住みたい! そんな家を見つけるコツってあるの?
2017/8/28 読売新聞
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集合住宅に暮らしていると、隣人や階上からの「音」に悩まされることがある。あるいは逆に
、自分の生活音によってトラブルに発展することも……。賃貸物件を探す際、音に悩まされな
い部屋を見つけるにはどうしたらいいのだろうか? 専門家に聞いた。

建物を建てる際に順守すべき「防音基準」は、ない!
まずお話を伺ったのは一級建築士の佐川旭氏(佐川旭建築研究所)。そもそも、集合住宅用の
建物をつくる際に、防音の基準などは定められているのだろうか?
「建築基準法では『壁の厚さ』の基準は定められていますが、音に対しての定めはありません
。防音に関する規定があるのは『環境基本法』です。住宅専用地域であれば昼間は55dB(デシ
ベル)以下、夜間は45dB以下。商業と住居が混在している地域であれば昼間は60dB以下、夜間
は50dB以下となっています(第16条)。ちなみに、渋谷のスクランブル交差点で80~90dBくら
いといわれていますね。ただ、このdB値は『建物の外の音』に関しての基準であり、建物内、
つまり隣人の音に対しては適用されません」(佐川氏)
また、建築基準法による「壁の厚さ」も、音という点ではあまり関係がないという。
「重要なのは、壁と壁の間に『どういう施工をしてあるか』ということ。例えば、断熱材がし
っかり入っていれば音は聞こえにくくなります。なかには石膏ボードを2枚重ねて遮音性を高め
ているケースもあります。
ただ、上下階の場合は壁の厚さが重要になります。床構造をつくるスラブというコンクリート
の厚さは、分譲マンションの場合だと20cmくらいが標準的な厚さです。賃貸用の場合はよほど
の高級物件でない限り、それより薄いのが一般的ですね。スラブを厚くすれば、そのぶん基礎
工事にもお金がかかります。結局は、大家さんがどの程度防音に対して気を配っているか、と
いうことに尽きると思います」(佐川氏)
住まいの不満トップは上階や隣人からの“音”。音に配慮した賃貸住宅も登場
音というのは人によって感じ方が異なるため、基準を定めてルール化するのは難しいのかもし
れない。とはいえ、音による隣人トラブルは確実に顕在しているため、住宅メーカーも防音対
策に力を入れ始めているという。
賃貸住宅「シャーメゾン」シリーズを手掛ける積水ハウスによると、「住まいに感じる不満の
トップは『上階や隣からの音がよく聞こえる』こと。特に、上階からの足音、人の話し声とい
った騒音が気になるとおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
そうした声を受け、当社では2010年より『SHAIDD(シャイド)』という高遮音床システムを物
件オーナーの方へご提案させていただいております。現在、シャーメゾンシリーズの標準仕様
となっている『SHAIDD55』は、上からの床衝撃音を一般的な鉄骨造の約半分に低減することが
可能です」とのこと。
なお、SHAIDDは現在11万戸以上に採用され、新しく建てられる賃貸住宅への採用率も高い。
「遮音配慮の技術自体は進歩していて準備はあるものの、普及していかなければ意味がありま
せん。賃貸住宅の『上階や隣からの音が響く』というイメージを払拭し、入居者ファーストの
訴求に向け、強力に推進を図っているところです」

音が気にならない家を探すポイントは?
ただ、増えてきているとはいえ、こうした遮音性の高さを売りにしている賃貸物件はまだまだ
少ない。特に、個人経営のアパートなどでは、特別な対策がとられているケースは「ほとんど
ない」と佐川氏は指摘する。
では、そうした現状をふまえたうえで、それでも少しでも「隣人の音」が気にならない部屋を
探す方法はないのだろうか? そのポイントについて、賃貸物件の仲介を行うミニミニ関東本
部の永田徹氏に聞いた。
「音を気にされるお客様にまずご提案するのは、分譲マンションの一部を賃貸にしている、い
わゆる『分譲賃貸』です。家賃は割高になりますが、分譲賃貸であれば話し声や生活音が漏れ
聞こえてくる心配はほぼありません」(永田氏)
また、予算的に分譲賃貸が厳しい場合でも、ある程度であれば隣人の音が気にならない部屋か
どうかを推測する方法はあるという。
「注目すべきは、隣接する部屋同士や上下階の『間取りの配置』です。自室の壁の向こう側が
、隣の部屋のどの部分と接しているのか? 壁一枚なのか、収納等が挟まれているのか? さ
らに、隣人の生活パターン(就寝時間等)が自分と一緒なのか? そういったことで音の問題
はかなり違ってきます。仮に壁の向こう側がリビングだとしても、生活パターンが一緒の人で
あればリビングを挟むことで寝室同士が遠のき、就寝時の騒音はさほど気にならないと思いま
す。しかし、生活パターンが違う人だと、就寝中にリビングでの生活音が気になったりするか
もしれません。要は、隣の部屋と『どう接しているのか』をチェックすることですね。
上下階に関しては、水回りの関係もありますので、間取りは同じケースがほとんどだと思いま
す。床の素材や建物の構造に注意しておくといいでしょう。上下の音は振動で伝わります。従
って、硬い素材のほうが響きます。防音対策の度合いにもよりますが、フローリングよりも畳
、鉄骨よりも木造のほうが振動を吸収してくれるので音が響きづらいこともあるのです。どう
しても上の音が気になる方には、最上階をおすすめします。建物全体の間取りの配置は、不動
産会社にいえば見せてもらえるはずです」(永田氏)
さらに、それでも騒音トラブルに巻き込まれてしまった場合を見据え、こんなアドバイスも。
「物件の管理を誰が行っているかというのも、意外と重要なポイントです。管理会社や大家さ
んにきちんと管理されている物件の場合は、トラブルに巻き込まれても、ある程度の対処をし
てくれるはずです。実際に弊社が管理している物件でも音にまつわるご相談は数多く寄せられ
、両者の間に入って解決にあたることも少なくありません」(永田氏)
たかが音、されど音。集合住宅での隣人トラブルは裁判にまで発展し、時に凄惨(せいさん)
な事件に発展することすらある。それだけに無用なトラブルの芽は、できる限り未然に摘んで
おきたいところだ。
もちろん、いくら遮音性が高くても、それを上回るほどの騒音をまき散らす非常識な隣人に当
たってしまう可能性だってある。「住んでみないと分からない」ことも多いが、少なくとも選
ぶ段階で、正しい知識・情報に基づいた目利きを行うことは重要といえそうだ。

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37 タカラスタンダード、システムバスに「キープクリーンフロア」登場 2017/8/24
読売新聞
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タカラスタンダード(株)は、床やドアなどをフルモデルチェンジしたシステムバスを、8月28
日(月)より発売する。
今回追求したのは「清掃性の向上」「意匠性の高さ」「質感へのこだわり」。グレードアップ
を図るために素材や仕様、デザインを見直し、清掃性を高めた床「キープクリーンフロア」を
開発した。「床(洗い場)」にはキズがつきにくい「磁器タイル」を採用。キズがつきにくい
ので、長年の使用から来る黒ずみなどを防ぐほか、床下の保温性も確保した。表面は本物さな
がらの石目模様と天然石のような質感で高級ホテルの上質感を再現した。
また、今回はドアのスタイルもモデルチェンジ。換気口の位置をホコリの付きやすいドアの下
部からドアの上部(機種により縦枠)に移動させ、スッキリとスタイリッシュな見た目に仕上
げるとともに、手入れのしやすさもグレードアップ。
最高級シリーズ「プレデンシア プレミアム」では、カウンター素材に高級人造石「クォーツス
トーン」を使用。主成分が天然水晶のクォーツストーンは天然素材の風合いはそのままに、汚
れにくさなど利便性を向上し重厚感もあるので、ホテルライクなバスルームを演出する。
「キープクリーンフロア」搭載シリーズ価格(税抜、1616(1坪サイズ))は、「プレデンシア
プレミアム」が1,226,000円、「プレデンシア」が1,038,000円、「レラージュ」が684,000円
など。

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38 学生を対象に「住まいのデザインコンペティション」開催、長谷工コーポレーション
2017/8/24 読売新聞
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(株)長谷工コーポレーションは、学生を対象に第11回「長谷工 住まいのデザインコンペティ
ション」を開催する。
同コンペは、建築を志す若手の人材育成が目的。社会貢献活動の一環として2007年から継続し
て行っており、毎回異なるテーマを設定している。
今年のテーマは「空き家とつながる集合住宅」。現代の都市では、マクロな視点で見たとき、
マンションが開発されている一方で空き家が増加。そのような中、空き家のスペースを介護や
子育てのために活用する事例も出始めている。空き家がマンション内部の機能を補完するもの
になり、集合住宅が地域のコミュニティのエンジンになるような、集合住宅と空き家をつなぐ
新しい集合住宅の提案を募集する。

【コンペ概要】
●課題:「空き家とつながる集合住宅」
●応募資格:2017年12月31日時点で学生であること(大学院、大学、短期大学、高等専門学校
、高等学校、専修学校など)※複数人で応募する場合は全員該当のこと
●賞金:最優秀賞(1点)100万円、優秀賞(3点)各50万円、佳作(10点)各10万円
●登録・作品提出締切:2017年11月14日(火)必着(送付のみ受付、バイク便不可)
●応募登録:デザインコンペティションホームページから

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39 9月1日は防災の日。六本木ヒルズの帰宅困難者受け入れ体制がスゴイ! 2017/8/2
4 読売新聞
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2011年3月11日、東日本大震災の影響で首都圏において約515万人の帰宅困難者が発生し混乱を
招いた。その経験を踏まえ、東京都と国は帰宅困難者対策に取り組んできたが、民間企業でも
積極的な対策を検討し取り組む動きがある。今回は、東日本大震災発生時に帰宅困難者を即座
に受け入れ宿泊場所を提供し話題になった、六本木ヒルズなどを管理・運営する森ビルに、帰
宅困難者の受け入れに対して、実際にどのような準備をしているのか、話を聞いた。

「逃げ込める街」をテーマに多方面から安全の基盤を整備
六本木ヒルズをはじめとする都市開発、大規模複合型再開発などに取り組む森ビル。1995年に
発生した阪神・淡路大震災の経験から「(災害時に)逃げ出す街から逃げ込める街へ」をコン
セプトに、建物の耐震性能はもちろん、道路、交通インフラなど都市インフラも含め、災害に
強い街づくりを目指している。また、万が一の災害時に迅速に対応し被害を最小限にするため
に安全の基盤を整備している。
多数の震災訓練の実施と防災要員の育成がそのひとつだ。「森ビルでは、有事の際、帰宅困難
者の受け入れ体制を整備するとともに、すみやかに震災対策組織体制に移行し、迅速な復旧活
動が行えるよう定期的な訓練を行っております。森ビルの全社員約1300人が参加して行う訓練
として、年2回の『総合震災訓練』、年3回の『安否確認訓練』があります。また、年1回、毎年
3月11日には、六本木ヒルズの自治会との共催で行う『震災訓練』、毎月11日には、管理部門社
員を対象にした『防災の日訓練』があります」と話すのは、森ビル株式会社広報室兼震災対策
室事務局の山下佳美(やましたよしみ)さん。
自治会は、六本木ヒルズの居住者約800世帯とテナントなどを中心に形成されたコミュニティで
、3月11日の震災訓練は、六本木ヒルズ周辺の町内会、商店会、学校、地元の消防団なども交え
た街全体の訓練で、毎年約1000人が参加するという。
社員を対象とした防災訓練だけでも年25回実施。また、3年に1度、救命講習・AED講習を受講し
て、全社員が救命技能認定を取得することが義務づけられているなど、全員が防災に前向きに
関わる姿勢の現れだ。
また、帰宅困難者の誘導、情報提供、備蓄品の運搬、仮設トイレの設置などの対応訓練も行っ
ている。

初動対応のために社員のみならず近隣も巻き込んでの防災組織体制
「災害は、夜間、休日など、いつ起きるか分かりません。社員はオフィスを離れていることも
多く、万が一のとき、すぐ現場に駆けつけられるとは限りませんが、災害時の初動対応は非常
に重要です。森ビルでは、近隣2.5km圏内に防災要員社宅や管理社宅を配置しています。防災要
員社宅に住む防災要員は、震災などの有事の際、速やかに指定されたビルへ出動し、初動対応
をおこなう社員約100名です。管理社宅は、管理部の社員で、有事に限らず、日常の建物運営管
理を行う上で発生したトラブル等を速やかに対応する社員が住む社宅です。
いずれも、災害時の初動活動やいざという時に対応できるよう、訓練への参加を条件に募集し
た人員で、有事の際に迅速な初動活動が行える体制を構築しています。防災要員社宅居住者の
方は、2ヵ月に1回、一般社員より高い頻度で定期的な特別震災訓練を実施しています。自助、
共助、公助の、自助はもちろん『共助』という意識を持って取り組んでいます」(山下さん、
以下同)。
『自助』とは自分で自分を助け、救助される人にならないことだ。『共助』は、近隣、企業、
地域のコミュニティなどで互いに助け合うこと。そして『公助』は行政による救助や支援のこ
とをいう。
防災要員には、会社からヘルメットや防災服、安全靴などを貸与し、いざというときに動ける
体制を整えている。そして、東京23区内で震度5強以上の地震が発生した場合、予め決められた
震災対策組織に自動的に移行する。開発区域のみならず、周辺地域にも貢献できる防災拠点を
目指し、周囲を巻き込む防災体制を築いているのだ。
また、森ビルでは全社員で、年1回、交通機関を使わずに会社から自宅まで歩いて帰る「徒歩出
退社訓練」を行う。自宅が遠い場合は、5kmずつ区切って実施する。訓練では、社員に支給して
いる六本木ヒルズ30km圏内の「震災時帰宅支援マップ」を見ながら、実際に自分の足で歩いて
、帰宅支援ステーションや、危険な箇所はないかを確かめている。

帰宅困難者受け入れに向けて3日分の非常食などを準備
森ビルは震災時の帰宅困難者の受け入れについて港区と協定を結んでおり、一時的な避難場所
の提供、備蓄食料、水の提供、誘導などについて協力を行うことを約束している。具体的には
、帰宅困難者の一時的な避難場所として、六本木ヒルズでは約5000人、森ビルが管理・運営す
る大規模複合施設全体で約1万人を受け入れられる体制を整えている。滞在スペースは、商業フ
ロアの共用廊下などで、そこにエアーマットを敷いて休めるようにする。
実際に、東日本大震災のときは、オフィスの帰宅困難者に対して1500人分の飲料水および非常
食と550人分の毛布を提供した。また、六本木ヒルズでは港区より依頼された、約200人の帰宅
困難者の受け入れ要請にもスピーディーに応えた。お年寄りや、親子休憩室を利用していた乳
児を連れたお客さまについては、宿泊施設に案内した。
六本木ヒルズでは、備蓄倉庫に、帰宅困難者、住居居住者、オフィス・商業テナント、社員、
協力会社、近隣の分を含め、3日間の期間を想定した防災備蓄品として、非常食、水、毛布、ア
ルミブランケット、エアーマット、医薬品、生理用品、簡易トイレ、乳児向けのミルクやおむ
つ、ポータブル発電機などを用意している。帰宅困難者受入施設の衛生環境の維持も重要なこ
とから、風邪やインフルエンザ、ノロウィルス、夏場の臭気対策用の備品も揃えている。
「アルミブランケットは、東日本大震災の経験を受けて採り入れたものです。薄く軽くて扱い
やすいのに保温性があります」。ほかに、東日本大震災で自転車が移動手段として重宝された
ことから、防災用自転車としてマウンテンバイクを購入した。経験を踏まえて常に有事を想定
し、地震直後建物被災度推測システムの開発、独自のエネルギープラントによる安定的な電力
供給、自家発電・発熱エネルギーシステムの活用など、ライフライン面にも着目し改良、進化
が行われている。
なお、非常食は、森ビル全体で27万食を準備しているが、帰宅困難者用に、約1万人分あり、1
人当たり1日3食3日分、プラス予備を加えた10万食を保管している。「お子さま用や高齢者用の
食料、食べ物アレルギーの方向けの食料も準備しています。非常食というと、乾パンをイメー
ジするかと思いますが、乾パンは喉が乾くので、3日間あきずに食べられるように考えて、さま
ざまな種類のマジックライスやレトルト食品などを用意しています」
震災時に、帰宅困難者を受け入れる場合の条件やルールはあるのだろうか。「人数制限はあり
ますが、条件はなく、どなたでも受け入れています。混乱を招かないようスタッフの案内に従
っていただくことはもちろんですが、帰宅困難なお客さまであっても、災害時は『自助』『共
助』が大切です。何かあれば医療従事者にお手伝いいただくこともありますし、東日本大震災
時は備蓄品の運搬や配布なども動ける方には動いて手伝っていただくようお願いしました」。
東日本大震災の経験から、『公助』には限界や制約があり『自助』『共助』の重要性があらた
めてクローズアップされてきた。私自身も仙台市で東日本大震災を経験して、帰宅困難者の列
で、例えば松葉杖で歩く人に寄り添ったり、食料を求めて並ぶ商業施設前の行列で子供連れの
方に声をかけるなど、他人と支え合う姿を目の当たりにした。そして今回お話を伺い、普段か
らの防災に対する高い意識と準備、『自助』『共助』という意識がいかに大切かをあらためて
痛感した。
帰宅困難者を受け入れられる施設としては、他にも大型商業施設のほか、マンションなどがあ
り「逃げ込める建物」は、今後増えていくと思われるが、森ビルが行っている「徒歩出退社訓
練」のように、実際に会社から家まで歩いて、途中にどんな建物があるか、いざという時に避
難できる施設や危険なところなどを確認しておくと、新たな発見があるはずだ。
東京都の帰宅困難者対策条例では、帰宅困難者が多く出ることで、官の救助・救援活動に支障
がでたり、帰宅途中に二次災害に遭うことがないよう、災害時にむやみに移動を開始しないよ
う指示を出している。いざというときを想定してハード面、ソフト面の両面でできることを行
いつつ、普段から会社内や街、近隣とつながりをもってコミュニティを形成したい。また、家
族とも打ち合わせをしておきたい。そして、実際に帰宅困難者になった場合は、『自助』『共
助』を念頭に置いて周りを見ながら行動することが重要だ。

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40 施設の被害状況、一括把握 NTTレゾナントが企業向け災害対策サービス 2017/8/
28 日経産業新聞
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 NTTレゾナントは従業員や施設の被災状況を収集する災害対策サービスを開発した。企業
専用のアプリをつくり、従業員に配信する。従業員はアプリから自身の無事を報告したり、支
店や店舗の被害の度合いを画像から伝えたりできる。8月末から販売する。金融機関や不動産
会社などを中心に、初年度は10社の導入を目指す。

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41 巨大地震の揺れ再現装置、大成建設が開発、高層ビルの耐震対策検証 2017/8/25 日
経産業新聞
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 大成建設は巨大地震の揺れを再現する大型の実験装置を開発した。従来の装置に比べ、面積
を2倍以上、発生する揺れの加速度を2~3倍に引き上げた。南海トラフ巨大地震で想定され
る「長周期地震動」や東日本大震災級の強い揺れも再現できる。高層ビルの耐震対策の有効性
や住宅の屋根や壁の損傷を低減する手法など幅広い検証に役立てる方針だ。

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42 大成建設、巨大地震再現 住宅の耐震性評価に活用 2017/8/25 日経産業新聞
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 大成建設は巨大地震の揺れを再現する大型の実験装置を開発した。従来の装置に比べ、面積
を2倍以上、発生する揺れの加速度を2~3倍に引き上げた。南海トラフ巨大地震で想定され
る「長周期地震動」や東日本大震災級の強い揺れも再現できる。高層ビルの耐震対策の有効性
や住宅の屋根や壁の損傷を低減する手法など幅広い検証に役立てる方針だ。
 開発した装置は床面積が6×6メートルの振動台と、水平の2方向、鉛直方向に台を揺らす
加振機などで構成する。20トンの重さまでの試験体を搭載することが可能で、多様な実験に使
うことができる。
 振動台による実験は耐震対策の検証に不可欠だ。大成建設は従来から床面積4×4メートル
の台を使ってきた。新装置では台の面積が2倍以上になる。従来は難しかった大きな試験体も
搭載できる。
 発生できる揺れも大幅に引き上げた。新たな装置は従来に比べて水平方向で最大3倍、鉛直
方向で2倍の重力加速度の揺れを入力できる。過去に起きた巨大地震の観測記録や将来の発生
予測に基づき、多様な地震の揺れを再現する。
 高層ビル向けに被害を与える長周期地震動の対策を確かめた実験では、地震の揺れを低減す
る効果がコンピューターによる解析とほぼ同等であることを確かめられたという。
 住宅の一室など比較的面積が広い空間も模擬できる。家具の転倒、天井や間仕切り壁の破損
など地震に伴って起こる現象を再現し、耐震対策などが役立つかを詳細に分析できるのが強み
だ。
 震動台には防災科学技術研究所の「E―ディフェンス」(兵庫県三木市)など規模が大きい
ものもある。大成建設の新装置は準備や取り扱いがしやすく、実験をスムーズに繰り返すこと
ができる。
 新装置を導入する背景には、近年になり以前より強い地震の揺れの観測が続いていることが
ある。2011年の東日本大震災では宮城県で最大2700ガル(ガルは加速度の単位)、16年の熊本
地震では同1580ガルを観測した。1995年の阪神大震災で記録した891ガルに比べて高い数値が出
ている。
 今後も首都直下地震や南海トラフ巨大地震など複数回にわたり住宅などを強く揺らす地震や
、長時間にわたり長周期の揺れを起こす地震の発生が想定される。大成建設は新装置を駆使し
た実験で、地震対策技術の向上につなげたい考えだ。

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43 太陽光サポートセンター、家庭向け保守サービス パネル定期点検 2017/8/25 日経
産業新聞
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 燃料商社のシナネンホールディングス子会社の太陽光サポートセンター(東京・港)は、一
般家庭向けの保守点検サービスを始める。太陽光パネルの定期点検のほか、発電状況などを常
時監視するサービスも提供する。国は家庭用を含む太陽光発電所の管理を厳格化しており、保
守点検の需要も増加する見通し。全国で2万件程度の顧客獲得を目指す。

2017-08-31 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed