住宅関連新聞記事ダイジェスト No.714  2017/12/07~2017/12/13

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.714  2017/12/07~2017/12/13
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【日本経済新聞】
1 中古住宅の売買が変わる 「診断」の意思、確認義務化
2 熊谷組社長、住友林業と5分野で協力
3 東京都新宿区の民泊規制条例が可決・成立
4 日本ハウスの17年10月期、純利益7%増 戸建て好調
5 楽天、民泊でブッキング・ドットコムと連携
6 東京都大田区、全国初の民泊規制条例制定
7 積水ハウスの2~10月期、営業益微減 都市再開発事業が反動減
8 新規の住宅ローン撤退、三菱UFJ信託
9 家主同居は○、空き家は× 民泊規制で京都市が新機軸

【朝日新聞】
10 11月中古マンション成約数 2カ月連続減 東日本レインズ
11 約4割が相続で土地を入手 スマイスター調べ
12 キャピタル重視型ファンドへの出資を募集 インベスターズクラウド
13 女性活躍推進で厚労省「えるぼし」認定 大東建託パートナーズ
14 不動産価格指数の3カ月先予測を開始 リーウェイズ
15 住宅ローン借り換え相談をLINEなどで対応 WhatzMoney
16 11月中古一戸建て価格、首都圏は4カ月ぶり下落 近畿圏、中部圏は上昇
17 実物大3D建物プレゼンを開始 大東建託
18 男性社員の育児休業取得率21%超 レオパレス21
19 17年の住宅リフォーム市場規模を6.6兆円と予測 矢野経済調べ
20 マンション上昇53カ月連続 7月・不動産価格指数
21 東急不動産 6つの新物流施設プロジェクトに着手
22 185人が合格 マンションリフォームマネジャー試験
23 管理業務主任者試験の受験者約1・7万人 マンション管理業協会
24 豊島区内物件で初の「東京都子育て支援住宅」認定 西武G
25 東急田園都市線、「代表的」「住みたい」駅は二子玉川 ライフル調べ
26 LIFULL、楽天LS、釜石市が空き家の利活用で連携協定を締結

【読売新聞】
27 郊外団地の手狭な間取りが大変身!? 2つの住戸をつなげるリノベプラン「ニコイチ」とは
28 一人住まいの引越し、近隣への挨拶は不要が7割超!なぜ?
29 マンションって、誰がどうやって管理してるの?マンションの「管理」を担う人たちに聞いてきた
30 名古屋駅から30分圏内! 家賃相場が安い駅ランキング
31 サイトを利用して1億円の節約を実現、マンション大規模修繕の見直し術

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1 中古住宅の売買が変わる 「診断」の意思、確認義務化 2017/12/13 日本経済新聞
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6動産コンサルタント 田中歩
 来春から中古住宅の買い方、売り方が変わることをご存じですか? これまで中古住宅を売買する際、建物の劣化状況を専門家が事前に調査し、その内容を確認してから売買するということは一部でしか実施されていませんでした。しかし2018年4月1日に改正宅地建物取引業法が施行され、不動産業者は中古住宅の売り主や買い主に対し、インスペクション(建物状況調査)をする業者のあっせんの可否を事前に示さなければならなくなります。要するに業者に対して、消費者が中古住宅の「診断」をするかしないかの確認を義務づけた形になったといえます。

■国の登録を受けた技術者が調査
 改正法の狙いはインスペクションを消費者に知ってもらい、インスペクションをしたうえで売買するケースを増やすことで、買い主も売り主も安心して取引ができるような市場をつくることです。
 宅建業法の改正で規定されたインスペクションとは、国の登録を受けた「既存住宅状況調査技術者」が建物の基礎や外壁のひび割れ、雨漏りなどの劣化や不具合の状況を目視や計測で調査するものです。調査結果を見れば、従来よりずっと安心して売買契約ができます。さらに劣化や不具合がないなど一定の条件を満たせば「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」に加入できるので、中古住宅を買った後に万一問題が見つかっても保険でカバーされた範囲については安心です。
 中古住宅を購入するときの流れに基づいて国土交通省が改正のポイントをまとめたのが下の図です。今回のコラムでは改正を踏まえ、中古住宅を買う人が何に注意すべきかについてお話しします。
国土交通省「宅地建物取引業法の一部を改正する法律 概要」より筆者抜粋

■媒介契約は早めに結ぶ
 まず図の「取引フロー」を見てみましょう。物件を見学し、購入物件が決まったら「購入申し込み」をします。申し込んで数日後から1週間後には売買契約を締結するのが一般的です。「取引フロー」にある通り、
(1)媒介契約締結(物件探しを不動産業者に依頼する契約)→(2)重要事項説明(売買対象の重要な事項の説明)→(3)売買契約締結
と進みます。しかし、現場の実務では契約日と同じ日にこの3つの作業を実施するのがほとんどです。つまり現状の取引慣行のままでは、建物の不具合や欠陥の有無をインスペクションで明らかにしたうえで契約したくても物理的にできません。
 このため、改正法で定められたインスペクションをしたうえで購入したい場合、早い段階で「インスペクションのあっせんが可能な不動産業者かどうか」をチェックし、そのうえで媒介契約を締結しておく必要があります。インスペクションをした結果、問題が見つかってしまい契約ができなくなる、つまり仲介手数料をもらえなくなることを恐れ、媒介契約をなかなか締結しない、あるいは「インスペクションは不要だ」と説明する不動産業者が出てくる可能性もありますので気をつけましょう。
 なお、媒介契約は複数の不動産業者に物件探しを依頼できる「一般媒介契約」にしておくのがよいでしょう。「専任媒介」や「専属専任媒介契約」だと1社のみにしか依頼できず、ほかの不動産業者から売り物件の情報を提供してもらえないばかりか、インターネットなどで自由に物件を探すことすらできなくなるので注意が必要です。

■インスペクション済みの物件も
 購入の申し込みをした物件が、売り主側でインスペクション済みというケースも考えられます。この場合、必ずしも改めてインスペクションをする必要はないのですが、注意したいのはインスペクションをした時期です。ルールでは1年以内となっていますので時期をチェックしましょう。また、1年近く経過していると劣化の状況は変化している可能性があると認識しておくべきです。なお、売り主側でインスペクション済みでも、売り主が了承すれば買い主側の負担で新たなインスペクションはできるので、必要に応じて不動産業者に依頼するとよいでしょう。
 既存住宅状況調査技術者はインスペクションをすると、「建物状況調査の結果の概要」を作成します。この書面を重要事項説明の際、調査ノウハウがない宅地建物取引士が説明することになっています。結果の概要は調査した部位の劣化の有無または「調査ができなかった」部位をチェックする書面であり、劣化の程度や修繕の必要性(今すぐ修繕すべきなのか、しばらく様子を見てもよいのか)や修繕費用などは一切語られません。

■調査者から説明を受けるのがベスト
 このような説明内容では逆に不安になってしまうと筆者は思います。しかし、調査者は劣化状況などの確認結果を含む詳細な情報を盛り込んだ報告書も同時につくっているのです。そこで国交省は「買い主には結果の概要だけでなく、詳細な内容が記された報告書も渡すのが望ましい」としているので、少なくともこの報告書は不動産業者から入手すべきです。さらに「不動産業者は結果の概要の詳細な説明を依頼者から求められた場合、調査を実施した者に連絡して詳細な説明のための調整することが望ましい」としていますので、事前に説明を受けられるよう不動産業者に依頼しましょう。できれば契約前に実施されるインスペクションに同席し、終了後に調査者から説明を受けられるとベストです。
「建物状況調査の結果の概要」の書面。これだけでは不安は解消されない
 筆者は長らく、第三者によるインスペクション付き住まいの仲介をしてきましたが、インスペクションに買い主も同席させるよう売り主や不動産業者と調整し、終了後に調査者から買い主に説明してもらっていました。このくらいしないと中古住宅の場合、本当に契約すべきかどうかの判断はできないと考えているからです。
 なお、インスペクションの結果次第で瑕疵保険に入れるようなら、保険への加入を検討しましょう。特に築20年以上の建物(マンションなどの耐火建築物は25年以上)の場合、瑕疵保険に入れば住宅ローン控除の適用が受けられたり、登録免許税や不動産取得税の軽減を受けられたりします。住宅ローン控除は中古住宅では最大200万円の税金が戻ってくるので、買い主にとってのメリットは極めて大きいのです。

■広範囲かつきめ細やかな住宅診断を
 宅建業法上のインスペクションは実質的には瑕疵保険のためのもので、調査範囲は限定的です。買い主がその住まいと長く付き合っていくために、広範囲かつきめ細やかに現状の劣化状況を把握し、どんなメンテナンスをしていくとよいかのアドバイスを受けるためのインスペクション(住宅診断)とは中身が異なります。こうした趣旨のインスペクションも兼ね合わせた調査を望む場合、媒介契約時に業者のあっせんが可能かどうか、不動産業者に確認するとよいでしょう。
 次回は宅建業法の改正で、中古住宅を売る側の人が注意すべき点について解説します。

田中歩
 1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。

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2 熊谷組社長、住友林業と5分野で協力 2017/12/12 日本経済新聞
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 熊谷組が成長に向けて住友林業との提携関係を強めている。日本経済新聞の取材に応じた樋口靖社長は「早いものはすぐにでも着手していく」と述べ、都市の再開発や海外事業など5分野で連携を加速する考えを示した。2018年3月までに分野別の分科会で協力のロードマップを策定し、同年4月から本格的な協業体制に移る。
 熊谷組は11月、住友林業との資本提携を発表した。住友林業が約346億円で熊谷組の発行済み株式の20%を取得、熊谷組は約100億円で住友林業の同2.85%を持つ株主となった。提携による相乗効果として、中長期的に両社合計で売上高で1500億円程度、営業利益で100億円程度の上積みを見込む。
 2社は都市再開発などでの木化・緑化関連事業、再生可能エネルギー事業、海外事業、ヘルスケアなど周辺事業、共同研究開発の5分野を中心に協力していく。
 樋口氏は都市の再開発について「住宅は住友林業、中高層のマンションや学校、病院などは当社が手がける」とした。
 海外事業については「注力してきた地域が全く異なる。互いの拠点を通じて現地での事業展開を加速できる」と述べた。熊谷組は台湾やベトナムなどで施工実績がある一方、住友林業は米国やオーストラリアが強い。
 2社が業務提携にとどまらず、相互出資を選んだのは「本気度の表れだ」と強調。今後出資比率を高める可能性については「互いにそのつもりはない」と指摘した。
 熊谷組は傘下の道路施工会社との共同事業体(JV)で道路工事を担うなど、グループ内での連携を成長につなげてきたが「グループ内の協力関係を通じた成長は限界が見えてきた」。「異業種との協業によるる刺激を成長につなげる」
 今後もM&A(合併・買収)も含め提携は積極的に進める。樋口氏は「(提携の候補は)たくさんある」とし、橋梁の施工会社などを念頭に「互いにメリットがあれば検討する」と指摘した。住友林業との提携もあくまで「他社との連携の一環」とのスタンスだ。
 首都圏の再開発などを背景に、建設業界は好調だ。樋口氏は住友林業との協業について「フォローの風が吹いている今だからこそ取り組む提携だ」と強調。建設需要は「3~5年以内に1つの山を越える」とし、東京五輪後に想定される需要減に備える提携であることもにじませた。

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3 東京都新宿区の民泊規制条例が可決・成立 2017/12/11 日本経済新聞
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 東京都新宿区議会は11日、住宅の空き部屋に観光客らを有料で泊める民泊について、区の独自ルールを定めた条例を可決した。月曜正午~金曜正午は住宅地(住居専用地域)での営業を認めず、苦情の対応記録を3年保存するよう求める。民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)の施行にあわせ、2018年6月15日に施行する。

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4 日本ハウスの17年10月期、純利益7%増 戸建て好調 2017/12/11 日本経済新聞
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 木造注文住宅の日本ハウスホールディングスが11日発表した2017年10月期の連結決算は純利益が30億円と前の期比7%増えた。戸建て販売が好調だったほか人件費などのコストも減った。ビール製造子会社の売却に伴い、4億8000万円の特別利益を計上した。
 売上高は1%増の464億円、営業利益は14%増の43億円。断熱・省エネ性能を高めた注文住宅の販売が伸びた。東北地方を中心とするホテル事業は婚礼部門が振るわず事業別営業利益が減ったが、住宅事業の伸びで補った。
 同日発表した18年10月期の連結業績見通しは、売上高が前期比5%増の490億円、営業利益が30%増の57億円、純利益が20%増の36億円。住宅販売が引き続き伸びるほか、ホテル事業でコスト削減を進める。

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5 楽天、民泊でブッキング・ドットコムと連携 2017/12/11 日本経済新聞
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 楽天は11日、旅行予約サイト世界大手のブッキング・ドットコム(オランダ)と民泊事業で業務提携すると発表した。2018年から楽天の仲介サイトに掲載する数万件の物件をブッキング・ドットコムのサイトにも供給する。海外からの旅行者を誘客するほか、外国人に人気の物件や地域のデータを集める。民泊の世界最大手の米エアビーアンドビーに対抗する。
 楽天が不動産住宅情報サイトのLIFULL(ライフル)と共同出資して設立した楽天ライフルステイ(東京・千代田)とブッキング・ドットコムが提携する。楽天ライフルステイは民泊の仲介サービスと部屋の貸し手の運営代行への参入を表明している。18年6月に予定される住宅宿泊事業法(民泊法)の施行に合わせて始める。
 楽天はこれまで中国最大手の途家(トゥージア)や米エクスペディア子会社のホームアウェイとも同様の提携を表明している。楽天ライフルステイの太田宗克社長は物件の開拓状況について「予想以上の引き合いがある。開設時点で十分確保して市場を盛りあげていける」と話す。先行するエアビーの対抗馬になる可能性がある。

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6 東京都大田区、全国初の民泊規制条例制定 2017/12/8 日本経済新聞
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 住宅の空き部屋に旅行者らを有料で泊める民泊を巡り、「住居専用地域」や「工業地域」などでの営業を全面禁止する東京都大田区の条例が8日の区議会で可決、成立した。観光庁によると、民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく独自規制の条例制定は全国初という。
 住環境を保つため、民泊事業者には近隣住民への事前説明や宿泊者への対面案内も求める。条例は民泊法施行に合わせ、2018年6月15日に施行する。
 同区は国家戦略特区を活用し、民泊を認める特区民泊を全国で初めて導入した。特区民泊に関しても利用条件を従来の「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に短縮する条例が8日に可決、成立した。短期間でも利用できるようにし、利用を促す。条例施行日は18年3月15日。
 民泊を巡っては、宿泊者の騒音やごみ出しマナー、治安悪化への不安を訴える住民が多い。区は違法営業する「ヤミ民泊」の実態調査にも乗り出す方針だ。8日成立した補正予算に必要経費として320万円を計上した。

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7 積水ハウスの2~10月期、営業益微減 都市再開発事業が反動減 2017/12/8 日本経済新聞
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 積水ハウスが8日発表した2017年2~10月期連結決算は、営業利益が前年同期比微減の1270億円となった。前期に都心部のオフィスビルなどを販売した反動が出て、都市再開発事業が落ち込んだ。国際事業は伸びたものの、補いきれなかった。
 売上高は3%増の1兆4947億円と、最高となった。買収した米住宅会社を連結化したほか、中国で開発物件の売却も進み、国際事業が72%増収となった。土地購入を伴う分譲住宅の販売も伸びた。
 経常利益は4%増の1325億円。為替差損益が大幅に改善した影響が大きい。純利益は3%増の858億円。前期は米国の合弁事業などすべてが親会社株主のものにならない利益が多めだったため、その反動が出た。マンション用地の取引事故に絡んで特別損失を計上したが補った。
 18年1月期通期は売上高を6%増の2兆1440億円、純利益を5%増の1280億円とする従来予想を据え置いた。
 同社は中国の2つのプロジェクト開発の権利を売却したことを同日明らかにした。現地企業からの買収提案に応じた。95億円の特別利益を18年1月期の第4四半期に計上する。

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8 新規の住宅ローン撤退、三菱UFJ信託 2017/12/8 日本経済新聞
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 三菱UFJ信託銀行は8日、新規の住宅ローン事業から撤退すると正式に発表した。2018年3月末で自前のローン商品について新規申し込みの受け付けを終える。4月以降はグループの三菱東京UFJ銀行の代理店として住宅ローンを扱う。事業の選択と集中の一環で、経営資源を富裕層向けの資産運用や相続ビジネスなど強みを持つ分野に振り向ける。
 既存のローン契約は、そのまま三菱UFJ信託銀行が管理を続ける。同行の住宅ローンの融資残高は約1兆2千億円、融資先は約5万7千件。残高が10兆円以上のメガバンクや他の信託銀行に比べて規模が小さく、低金利競争で採算が悪化していることも考慮して自前の新規融資をやめることにした。
 三菱UFJフィナンシャル・グループは傘下組織の役割分担を見直している。三菱UFJ信託はグループで富裕層向けの資産運用や不動産、相続など付加価値の高い手数料ビジネスの担い手で、人材を含めた経営資源を同分野に傾ける。

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9 家主同居は○、空き家は× 民泊規制で京都市が新機軸 2017/12/8 日本経済新聞
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緊急時の「駆け付け」を義務付け、硬軟両様で観光振興めざす
 一般の住宅に旅行者を泊める民泊について、京都市は条例案の骨子をまとめた。居住者がいない空き家は住居専用地域において1~2月に営業を限定するなど厳しく規制する。一方、家主が居住するタイプと歴史的な遺産である京町家には特別な制限を設けない。条例作りで先行する東京都区部の多くは「空き家」と「家主同居」を一律に規制しようとしており、京都市の硬軟両様の取り組みは一石を投じそうだ。
 「地域住民と観光客の安心安全を両立させるには(法律の)ぎりぎり限界に挑戦する条例が必要だ」。民泊規制を検討するため11月に開かれた有識者会議で、門川大作京都市長はこう強調した。2018年2月の市議会に条例案を提出する方針だ。
 まず住居専用地域では、家主同居タイプと京町家は国が定めた住宅宿泊事業法(民泊法)にのっとって年180日まで営業できるようにする。これらを独自規制の枠外に置いたのは、家主の目が行き届き、騒音やゴミ出しなどのルールが守られやすいと考えたため。家主は地域の自治会などに所属しており、周辺住民は自治会を通じて苦情を直接伝えることができる。「京町家を相続したものの、民泊で収入を得なければ維持費を捻出するのが難しい」という住民の声にも応えた。
 一方で空き家タイプの民泊は厳しく制限する。住居専用地域では観光の閑散期である1~2月の60日間に営業を限定する。住宅地以外でも緊急時の「駆け付け」を義務付ける。10分程度で宿泊施設に駆け付けられるよう、施設から半径800メートル以内に事業者か管理者が駐在するよう求める。これまで海外に拠点を置き、緊急時に連絡が取れない事業者も多かったが、国内に管理する代理人を置く必要が生じる。京都市内では観光地と住宅地が隣接しており、有識者委員会では「住宅地以外でも制限を設けなければ条例の意味がなくなる」という声が多くあがったという。
 ほかにも、住民の生活環境を守るため、分譲マンション内で民泊を営業する場合は管理組合が禁止していないことを示す書類の提出を求めるほか、宿泊者の有無や人数を住民に周知させる。違反した場合は最大5万円の過料を科す。
 今回の条例案に対して、地元の不動産業界からは不安の声があがっている。京都市内で不動産業を営むフラット・エージェンシーは「規制を強めると民泊事業をやりたがっている新規参入者の意欲をそいでしまう可能性がある」と指摘。市内で不動産業を営む都ハウジングの岡本秀巳社長は「全国的にも大変厳しい条例」と語る。
 18年6月の民泊法施行により全国的に民泊が解禁となり、無許可で営業していた民泊が法に基づいて営業できるようになる。だが実態の不透明な民泊が野放しになりかねないとの懸念から、自治体には不安の声が大きい。民泊法は地域の実情に合わせて区域を定め、営業期間を制限する条例を定めてよいとしている。
 先行して条例作りが進んでいるのが東京都区部だ。世田谷区は住居専用地域において月曜から金曜の宿泊(月曜正午から土曜正午までの利用)を禁じる方針。新宿区や中野区は住居専用地域で月曜から木曜の宿泊を禁止することを目指している。いずれも家主同居タイプと空き家タイプを一律に規制する内容だ。民泊の現場からは「利用の実態を無視しており、民泊をするなと言っているのと同じ」という声があがっている。
 石井啓一国土交通相は12月1日の記者会見で、自治体による過度な規制に懸念を示した。日本を代表する国際観光都市である京都市の試みは、ほかの自治体からも注目を集めそうだ。

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10 11月中古マンション成約数 2カ月連続減 東日本レインズ 2017/12/13 朝日新聞
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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのほど、11月の首都圏流通動向をまとめた。首都圏の中古マンションの成約件数は2904件で、前年同月比2.7%減。前月に引き続き減少した。中古戸建ての成約件数は979件で同4.6%減となり、こちらも2カ月連続で減少となった。

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11 約4割が相続で土地を入手 スマイスター調べ 2017/12/13 朝日新聞
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 不動産関連の比較査定サイト「スマイスター」を運営するシースタイルは12月12日、「スマイスター」を利用した20歳以上の男女全国583人を対象に、「土地」に関する調査を実施し、その結果を発表した。
 「土地を持っているか」の質問では、「はい」が46.5%、「いいえ」が53.5%。土地の取得方法は、「購入」が66.1%。「相続」は38.7%を占めた。
 土地所有者に「遊休地になっている土地はあるか」の質問をしたところ、「はい」が33.6%、「いいえ」が66.4%。遊休地になった理由(複数回答)では、「相続・譲渡したまま」(30.8%)、「活用方法を検討中」(28.6%)、「売りたいが売れない」(26.4%)、「家から遠い」(24.2%)の順になった。
 「土地活用したいか」の質問には、「土地活用したくない」が59.7%、「土地活用したい」が31.6%、「土地活用している」が8.7%となった。
 調査期間は17年11月9日~12月1日。

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12 キャピタル重視型ファンドへの出資を募集 インベスターズクラウド 2017/12/12 朝日新聞
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アプリで始めるアパート経営「TATERU」の開発・運営を行うインベスターズクラウドは12月15日から、不動産投資型クラウドファンディング「TATERU FUNDING」事業において、キャピタル重視型第1号TATERU APファンドの出資募集を開始する。
 同ファンドは運用益に加え、物件の売却で得られる売却益の2つの配当を得られるのが特徴。運用物件は木造アパート1棟(8室)。所在地は名古屋市緑区鳴海町母呂後106番。竣工は18年3月を予定。
 募集総額は5320万円で、口数は5320口(1口1万円)。募集期間は12月15日午前11時から12月18日午前10時まで。運用期間は18年1月1日から3月31日まで。分配率は年利換算で5.0%を予定する。

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13 女性活躍推進で厚労省「えるぼし」認定 大東建託パートナーズ 2017/12/12 朝日新聞
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 大東建託の100%出資子会社の大東建託パートナーズは、厚生労働大臣から「女性活躍推進法」に基づく「えるぼし」企業として、2段階目の認定を受けた。「えるぼし」は、女性の活躍推進の取り組みで実施状況の優良な企業を認定。同社は2020年までに女性管理職割合を現状の1・9パーセントから5・0パーセント以上へ、女性従業員の採用比率を25・0パーセント以上とする目標を設定している。
 「えるぼし」では5つの項目として、採用や労働時間、キャリア、継続就業、管理職比率で評価され、基準の達成状況に応じて3段階に分かれる。認定企業は全国で442社(東京229社)という。

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14 不動産価格指数の3カ月先予測を開始 リーウェイズ 2017/12/12 朝日新聞
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 リーウェイズは12月11日、不動産市場価格の動向を表す「不動産価格指数」の3カ月先を予測するサービスの開始を発表した。
 このサービスは「不動研住宅価格指数」を基に、1カ月先から3カ月先までの指数値を同社独自の指数を用いて予測するもの。不動研住宅価格指数とは東日本不動産流通機構から提供された首都圏既存マンション(中古マンション)の成約価格情報を活用し、同一物件の価格変化に基づいて算出された指数。同社の予測値は、過去から蓄積したビッグデータをもとに、賃料とキャップレート(収益還元率)をそれぞれ推計。収益還元法でモデル物件(東京都・70平方メートル)の価値を算出する。

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15 住宅ローン借り換え相談をLINEなどで対応 WhatzMoney 2017/12/11 朝日新聞
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 ローン分野のスタートアップ企業であるWhatzMoneyはこのほど、住宅ローン借り換えサービス「WhatzMoneyローン比較」において、LINEとFacebookメッセンジャーに対応した無料相談チャットサービスを開始した。
 「WhatzMoneyローン比較」はこれまで、主にウェブの登録フォームを通して相談に対応。一方、住宅会社、リフォーム会社、工務店などに対しては、導入企業への対面相談で住宅ローン借り換えサービスを提供してきた。同社はフォーム入力や対面ではなく、より簡単に気軽に相談できる環境が求められていると判断。今回、ツールとして、LINEとFacebookメッセンジャーに対応したチャット形式のサービス開始となった。
 チャット相談は無料で利用可能。サービス手数料は借り換えがない場合は発生しない、成功報酬型となる。

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16 11月中古一戸建て価格、首都圏は4カ月ぶり下落 近畿圏、中部圏は上昇 2017/12/11 朝日新聞
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 東京カンテイが発表した11月の中古木造一戸建て住宅価格(木造・所有権物件、土地面積100平方メートル以上300平方メートル以下)によると、首都圏は前月比でマイナス2.6%の3054万円と4カ月ぶりに下落に転じた。都県別に見ると、東京都は前月比マイナス7.2%の6044万円と大きく反転下落。神奈川県(3146万円、前月比プラス1.6%)は8カ月ぶりに上昇に転じ、千葉県(2121万円、同0.4%)は4カ月連続の上昇となった。
 なお、近畿圏は前月比プラス2.5%の2393万円と反転上昇。中部圏は同2.1%の2044万円と2カ月連続で上昇している。

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17 実物大3D建物プレゼンを開始 大東建託 2017/12/11 朝日新聞
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 大東建託は12月から、全国の建築事業部17カ所でマイクロソフト社製のゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ「ホロレンズ」を配備する。実物大の3D建物を用いたプレゼンテーションで利用を開始。現地や屋内(30分の1スケールに縮小でも立体的に確認できるため、現地見学会などの際に土地オーナーとプランイメージを共有化しやすくする。

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18 男性社員の育児休業取得率21%超 レオパレス21 2017/12/8 朝日新聞
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 レオパレス21は、2016年10月から17年9月の1年間に、配偶者が出産した男性社員の育児休業取得率が前年度の2.88%を大幅に上回る21.43%になったと発表した。
 同社は14年1月に「ワークライフバランス推進室」を設置。育児休業取得に関する注意事項を送付するなど、この取得を促進する「ウェルカムベビー登録制度」を導入したことが寄与した。国が掲げる20年までの13%達成を前倒しで実現したかたちだ。

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19 17年の住宅リフォーム市場規模を6.6兆円と予測 矢野経済調べ 2017/12/8 朝日新聞
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 矢野経済研究所は12月7日、17 年第3四半期(7~9月)の住宅リフォーム市場(国内)の短期的な市場トレンド調査を実施し、発表した。
 リフォーム市場の規模は1兆5978億円、前年同期比4.7%増と推計。17 年度の上期(4~9月)では3兆1910億円、同7.7%増と推計した。
 また、17 年の住宅リフォーム市場規模は6.3~6.6 兆円と予測し、前期比増で推移する見込みだ。

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20 マンション上昇53カ月連続 7月・不動産価格指数 2017/12/8 朝日新聞
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 国土交通省は17年7月と第2四半期分の不動産価格指数をまとめた。10年平均を100とした7月の全国の住宅総合指数は110.0で、前年同月比で3.1%上昇した。住宅地は99.8(同3.3%増)、戸建て住宅は101.3(同1.2%増)、マンションは136.4(同5.7%増)。マンションは13年3月から53カ月連続のプラスとなった。
 第2四半期分の全国の商業用不動産総合は116.8で前年同期比1.4%増。店舗は135.9(同7.0%増)、オフィスは125.2(同0.4%減)、マンション・アパート(1棟)は132.5(同4.0%増)。

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21 東急不動産 6つの新物流施設プロジェクトに着手 2017/12/8 朝日新聞
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 東急不動産は新たに6つの物流施設開発プロジェクトに着手した。場所は埼玉県(2物件)、千葉県(2物件)、大阪府、福岡県で物流施設のブランド名も「LOGI’Q(ロジック)」に決定。現在、大阪府枚方市と埼玉県白岡市で事業を推進している2物件を「LOGI’Q枚方」「LOGI’Q白岡」として展開する。

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22 185人が合格 マンションリフォームマネジャー試験 2017/12/8 朝日新聞
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 17年度第26回のマンションリフォームマネジャー試験の最終合格者数は185人で、最終合格率は38・4%だった。東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の全国5会場で10月1日に行われた試験結果を住宅リフォーム・紛争処理支援センターが発表したもの。実受験者数は482人。

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23 管理業務主任者試験の受験者約1・7万人 マンション管理業協会 2017/12/7 朝日新聞
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 マンション管理業協会は、12月3日に全国8試験地・18会場で実施した、2017年度管理業務主任者試験の受験状況をまとめた。申し込み者2万98人に対し、実際の受験者は1万6950人となり、受験率は84・3%だった。昨年度の受験率83・7%を上回った。合格発表は18年1月19日に全受験者に対して郵便で合否を通知する。
 同試験は申し込み者数、受験者数ともに減少傾向にある。ここ数年は申し込み者数は2万人程度、受験者は1万7000人程度で、合格率は20%程度で推移している。

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24 豊島区内物件で初の「東京都子育て支援住宅」認定 西武G 2017/12/7 朝日新聞
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 西武鉄道(埼玉県所沢市、若林久社長)と西武プロパティーズ(同、上野彰久社長)の手掛ける賃貸住宅がこのほど、「東京都子育て支援住宅認定制度」の設計認定を取得した。
 認定を受けた物件は、両社が西武鉄道池袋線東長崎駅(東京都豊島区)の南口周辺で、19年の開業を目指して開発を進めている複合施設「(仮称)東長崎駅南口計画」の賃貸住宅部分。同認定は、物件周辺の公園や子育て施設などの有無のほか、共用部分に関する危険防止基準や管理・運営に関する基準などを必要数満たすことで認められるもので、豊島区内の物件が同認定を取得するのは今回が初となる。

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25 東急田園都市線、「代表的」「住みたい」駅は二子玉川 ライフル調べ 2017/12/7 朝日新聞
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 ライフル(東京都千代田区)はこのほど、「東急田園都市線の駅に関する調査」を発表した。それによると、渋谷駅から中央林間駅までの27駅のうち、「最も住みたい駅」「代表的な駅」「はやりそうな駅」の3項目で二子玉川が1位になった。特に「代表的な駅」では全体の4割に当たる204票を獲得し、知名度や期待度の高さがうかがえた。また、「雰囲気が好きな駅」では、たまプラーザが1位となり、「落ち着いて品もある」「おしゃれな店が多い」といった理由が挙げられた。
 調査はインターネットで、「東急田園都市線沿線に最寄駅があり、週に3日以上同線を利用している」と回答した15~69歳の男女500人を対象に行った。

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26 LIFULL、楽天LS、釜石市が空き家の利活用で連携協定を締結 2017/12/7 朝日新聞
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LIFULL、楽天LIFULL STAY、岩手県釜石市は12月6日、釜石市の地域経済の活性化を目的に、空き家利活用を通じた地域活性化連携協定を締結した。
 協定内容は(1)空き家情報の掘り起こし・集約、(2)空き家、その他の遊休不動産の利活用、(3)空き家を活用した民泊の受け入れ環境づくり、(4)空き家利活用を推進する民間人材の育成、(5)地域活性化の促進――などで、3者は相互に連携・協力していく。
釜石市は19年9月開幕のラグビーワールドカップ日本大会の開催地の一つで、観戦客・観光客への対応を進めている。LIFULLグループは釜石市の空き家情報を集約し、全国に発信。空き家の課題解決を推進する「地域おこし企業人」を派遣し、事業モデルの検証や事業開発をサポートする。楽天LSは空き家を利用した民泊施設のモデルケース開発や、民泊施設への転換・運営支援、集客・マーケティング支援などを行っていく。

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27 郊外団地の手狭な間取りが大変身!? 2つの住戸をつなげるリノベプラン「ニコイチ」とは 2017/12/11 読売新聞
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郊外の古い団地をリノベーションで再生し、若い世代を呼び込もうとする動きがある。そんななか、大阪府堺市茶山台(ちゃやまだい)団地でユニークな団地が登場した。2戸をつなぎ合わせて1戸の住居にリノベーションした賃貸「ニコイチ」。デザイナーズマンションのような90m2の住戸が家賃約8万円とあって、昨年行われた募集ではなんと平均で定員の7倍の申込者があったという。

玄関やリビングがふたつある、斬新な住空間
茶山台団地は昭和40年代に建てられた総戸数941戸の団地だが、その中に「ニコイチ」住戸が誕生し、大人気を博している。
「ニコイチ」は単に専有面積が2倍に広がるだけでなく、間取りやデザインもこれまでの団地とは全く違う、斬新な住空間に変身させているのが特徴だ。
例えば2016年度の事例では、従来の45m2から2倍の90m2に広がった空間を大胆にV字に間仕切りしたり、土間風リビングを設けたり。何よりもともと2戸の住戸だった特徴を活かして、玄関やリビングがふたつある斬新な住空間を実現しているのが「ニコイチ」ならでは。いずれもこれまでの団地のイメージを一新する住まいだ。
この取り組みを手がけた大阪府住宅供給公社の川原光憲(かわはら・みつのり)さんは「少子高齢化により、茶山台団地のある泉北ニュータウンでも人口減が進み空き家問題が深刻化しています。そこで大阪府や堺市と連携し、泉北ニュータウン全体の再生を目指すなかで、外部から若いカップルやファミリーに移り住んでもらうのが重要だと考えました。しかし若い子育て世代にとって、茶山台団地の45m2の住戸はやはり手狭です。そこで2つの住戸をつなぎ合わせて大きな住戸にしようというアイデアが浮かび上がったんです」という。

V字型間仕切りや土間風リビングなど建築家が腕をふるった4プラン
“魅力的で新しい団地”を実現するために、リノベーションプラン(設計・施工)を外部へ求める方法を採用した。
「ふたつの隣り合う住戸をつなぎ合わせるため、二戸の間に共用の階段部分があり壁の一部が抜けないなど、どうしても間取りに制限がかかります。かえってそのことで建築家の方たちが腕をふるってくださり、非常に面白い発想が生まれました。入居者募集では若い世代を中心に応募が殺到し、昨年は平均の募集倍率7倍を記録する人気を得ました」(川原さん)
昨年は6住戸、4プランを募集した。その4プランを紹介しよう。

プラン1:バーチカルブラインドのある家
広げたり畳んだりできるバーチカルブラインド(※)で空間を仕切ったプラン。メインリビングとセカンドリビングがあるので、アイデア次第でさまざまな使い方ができる。
※縦に細長い帯状の布を並べてひもでつなぎ、窓の内側などに上からつるして日よけや目隠しにするブラインド

プラン2:ふたつのリビングを持つ贅沢な家
V字型の間仕切りが独創的な間取りで、土間空間のようなふたつのリビングを配置。

プラン3:ウッドバルコニーと機能的なキッチンスペースのある開放的な家
2戸をウッドバルコニーでつないでいる。土間空間にパントリーのあるキッチンも特徴。

プラン4:来客者も招きやすいおもてなし空間のある家
広々としたキッチンスペース、小上がりの和室などを配し、床は上質な吉野スギの無垢のフローリングを使用。階段室とホールをつなぐフリースペースがあり、ゲストを招きやすい。

半分は生活スペースに、半分はゆとりの空間に
今年、プラン1に入居した、ご夫婦ふたり暮らしのKさんに話を聞いた。
――応募の動機は何でしたか?
「団地に興味があり応募しました。以前、兵庫県の団地に住んでいたことがあったのですが、子どもから高齢者までさまざまな世代の人が仲良く、マンションより住民同士の距離が近い感じがしたので、そこが魅力でした」
――ニコイチの住み心地はどうですか?
「90m2と専有面積が広いのでとても快適です。一般的なマンションでは8万円の家賃でこんなに広い部屋は無理。郊外の団地なので駅から徒歩15分かかりますが、その点は特に気になりません」
――ふたつのリビングをどう利用していますか?
「半分を生活スペースに、半分はゆとりの部屋と考えています。今後、子どもができたら子ども部屋にしてもいいですし、趣味の部屋にしてもいい。使い方はこれから生活していくなかで決まっていくと思います」
――団地のコミュニティーが好きということでしたが、茶山台団地はどうですか?
「毎月住民が集まって団地について話し合う機会があり、若い人たちも参加しているのに驚きました。イベントもいろいろあるようなので楽しみです。やはりマンションよりも住民同士がつながりを大事にしている気がします」
来年1月に9プランの募集を開始。縁側付き、サンルーム付きなど遊び心いっぱい
少子高齢化や空き家問題など社会の課題にアプローチする視点から生まれたニコイチは、その取り組みが評価され、「2017年度グッドデザイン賞」を受賞した。
大阪府住宅供給公社では、今年度は茶山台団地(大阪府堺市)と香里三井C団地(大阪府寝屋川市)の2団地で、合わせて10住戸、9プランの入居者を2018年1月から募集する。
「サンルームがある家」「通り庭がある家」「ガレージがある家」など、それぞれ特徴が異なり、遊び心あふれるプランだ。
外観は昭和の面影が残る団地だが、中に入ればまるでデザイナーズマンションのような住空間。ほかでは出合うことができない個性的な間取りやデザインは、ふたつの住戸をつなぎ合わせたからこそ生まれたものだ。ふたつのリビングをどう使おうか、V字にカットされた空間にはどんなインテリアがいいか、などと考えるだけでわくわくする。それが家賃8万円なのだから、賃貸を考えるときの新しい選択肢になりそうだ。

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28 一人住まいの引越し、近隣への挨拶は不要が7割超!なぜ? 2017/12/13 読売新聞
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引越しの挨拶は「必要ない」という回答が7割超に達したという調査結果を、FJネクストが発表した。調査対象は、首都圏のワンルームに単身入居している20代・30代の社会人。彼らはなぜ、挨拶は不要と考えているのだろう?

引越しの挨拶、不要は約7割、していないは約8割
引越しの挨拶は必要かどうかを聞いたところ、「必要」は26.3%、「必要ない」は73.8%という回答だった。男女別や20代・30代別に見ても、それほど大きな開きは見られなかった。
では実際に、今の住まいに入居したときに引越しの挨拶をしたかどうか聞いたところ、「した」は21.8%、「していない」は78.3%という回答となり、挨拶していない割合は8割近くにまで達した。引越しの挨拶は減少傾向にあると思ってはいたが、これほどまで少ないとは驚きだ。
実際に挨拶した人に、挨拶をした部屋を聞いたところ、「隣の部屋」(86.2%)が最多で、次いで「下の部屋」(35.6%)となった。部屋が何階か、ワンフロアはどんな部屋配置かなどによって、挨拶する部屋も変わるだろうが、興味深いのは男女別で違いが見られたことだ。男性のほうが「隣の部屋」を重視するのに対し、女性のほうが「下の部屋」を重視する傾向がうかがえる。女性は、階下に伝わる生活音のトラブルを未然に防ぎたいということだろう。

挨拶しないのは、防犯のため?
この調査では、引越しの挨拶を必要・不必要とする理由をフリーコメントで聞いている。
引越しの挨拶を「必要」とする理由としては、マナーや礼儀のほかに、助け合いやトラブル予防といった声が多かったという。一方、「必要ない」とする理由は、男女で違いがあった。男性がプライバシー重視、他人に干渉されたくないといった声が多いのに対して、女性は犯罪やトラブルから身を守るという声が多かったという。
女性が防犯を重視する傾向は、ほかの調査項目でも見られた。
部屋を決める際に、「家賃」と「セキュリティー」のどちらを重視するかを聞いたところ、男性のほうが「家賃重視派」(79.5%)が多くなり、女性のほうが「セキュリティー重視派」(38.5%)が多くなる傾向があった。
また、欠かせないセキュリティー設備として評価が高かった、“セキュリティー三種の神器”ともいえるものは「モニター付インターホン」「ドアチェーン」「オートロック」だった。いずれも男性より女性のニーズが高いのだが、特に男女差が大きかったのは「ドアチェーン」だ。室内に押し入られる不安が、女性で特に強いということだろう。

本当に挨拶しないほうが、防犯に役立つ?
「引越しの挨拶」は、単に引越しの際の話にとどまらず、以降の近所づきあいの入り口となるものだ。つまり、挨拶をしない根底には、近所づきあいをしたくないという気持ちがあるのだろう。一人暮らしの男性が挨拶不要とする理由として挙げたのは、まさしくこれだ。
一方、一人暮らしの女性は、一人で暮らすからこその強い不安も加わって、近所づきあいを遠ざけている。引越しの挨拶を不必要とする理由として、具体的に次のようなコメントが紹介されている。
「女性なので一人で住んでいることを知られたくない」
「以前、挨拶した人にしつこくされたので」
「どんな人が住んでいるか分からないので怖い」
「女性の一人暮らしであることを知られたくない」という気持ちはよく分かる。だからといって、近所づきあいを遠ざけるのが防犯に役立つといえるのだろうか?
犯罪者への調査によると、侵入者が犯行をあきらめる最大の要素は「声をかけられた」だ(都市防犯研究センターのサイトより)。セキュリティーシステムや防犯カメラよりも、人の目のほうを気にする犯罪者は多い。近所付き合いが防犯効果につながると言われる由縁だ。
どんな人が住んでいるか分からないままで暮らすより、分かっていたほうが、トラブルに気をつけたり、何かあったときに助けを求めたりできるという考え方もあるだろう。
また、近隣に不快な思いをさせられた場合は、管理会社に相談して適切な対処を求めるのがよい。放置せずにきちんと対処してくれる管理会社かどうかも、住まい選びには重要なカギになる。
実は一戸建ての場合、侵入を防ぐために周囲に高い塀をめぐらすと、かえって敷地内の犯行を容易にする可能性があると言われている。敷地や周辺環境との関係性を把握して、適切な外構を設計するというのが防犯設計上のポイントになる。近所づきあいも同じようなことが言えるのではないか。

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29 マンションって、誰がどうやって管理してるの?マンションの「管理」を担う人たちに聞いてきた 2017/12/12 読売新聞
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「戸建て住宅と違って、マンションに住んでいれば自分以外の第三者が管理してくれる」という認識で分譲マンションを購入する人が結構いるようだ。しかし、いったいどこの誰が、いつ、どのように管理してくれているかについて、きちんと把握できているだろうか。分譲マンション購入を検討するなら、知っておきたい、マンションの管理の仕組みのイロハを取材してきた。

管理組合、管理者、理事会、管理会社、管理員…それぞれの役割とは?
「マンション管理」の構成員として、管理組合、管理者、理事会、管理会社、管理員と似たような言葉が羅列され分かりづらい。それぞれの立場や役割が違うので、それをまとめておこう。
まず管理組合とは「区分所有者が全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(区分所有法第3条)」のことで、マンションを購入した人が構成員となる組織だ。つまり区分所有者による区分所有者のための団体である。ここで大切なことは、区分所有者は本人の意思に関係なく管理組合には必ず加入しなければならないということだ。「区分所有者=管理組合」ということである。「面倒なので管理組合には加入しない」といった選択の余地はない。
「一棟の建物全てを所有するオーナーが賃借人に貸している賃貸マンションは区分所有法の適用になりませんし、管理組合は存在しません。所有者が1人のオーナーだけなので建物の管理もオーナーの責任になります。分譲マンションの場合は専有部の管理は区分所有者が各々管理し、共用部は区分所有者全員で管理する責任があります」と、今回取材を受けていただいたマンション管理業協会、業務部の 山崎有恒さん。
建物等の管理は「区分所有法の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、管理者を置くという方法によって行われる(同法3条)」と決められている。
そしてここでの「管理者」とは区分所有者全体の集まりである管理組合の代表者にあたる。その管理業務を全員で行うことは難しいので、「集会(総会)の決議により管理者を選任し、選任された管理者が管理業務を実行すること(同法25条~29条)」となっている。多くのマンションではこれが「理事会」にあたり、その目的は、管理組合がするべき業務を執行する機関として機能することだ。会社で言えば取締役会に似たような役割になるだろう。
管理の具体的な業務については専門的・技術的な知識が必要なことも多く、管理組合と理事会だけで行うのは実際には難しい。管理業務を管理会社に一括して委託、あるいは一部を委託して行うのが通常だ。
つまり管理会社は、管理の主体である管理組合と締結した管理委託契約に基づいて管理業務を委託されているという立場だ。あくまでも管理に関する主役は管理組合であり、その意思決定に沿った「業務」を依頼されて実施するのが管理会社というわけだ。
国土交通省作成の「マンション標準管理委託契約書」では、下記のように管理業務を類型化している。

■事務管理業務
管理組合の会計の収入及び支出の調定、出納、当該マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整を期間事務というが、管理会社はこの3つを一括しての外部に再委託することは禁止されている。この業務に関連して、管理費、修繕積立金の収納があり、管理に管理業者が関与するため、財産の分別管理について、詳細な規定が設けられている。

■基幹事務以外の事務管理業務(理事会支援業務、総会支援業務、その他)
・管理員業務
一般的には通勤方式が多く、受付等の業務、点検業務、立会業務、報告連絡業務に細分化される。
・清掃業務
日常清掃(床の掃き拭きやちりはらい等を中心とした清掃)と特別清掃(定期的に床の清掃やワックス仕上げ等を行うことをいう)に細分化され、いずれも清掃員が作業を行う。
・建物・設備管理業務
建物点検、検査、エレベーター設備、浄化槽、排水設備、消防用設備、機械式駐車場設備が掲載されている。
「管理会社は、管理組合と『管理業務委託契約』を締結し、管理業務を委託される立場です。その管理業務のうち、『基幹事務』の会計面については管理会社の会計部が、マンションの実務的な運営面は一般的に『フロントマン』と呼ばれる担当者が対応する例が多いですね。そして管理業務のうち最も日常的な業務を担当しているのが一般に管理員と呼ばれる人たちです」と山崎さん。管理と言っても、その仕事内容は幅が広い。

「管理員室」の管理員さんは、毎日何をしているの?
管理員さんは、どのような立場なのかも聞いてみた。
「各管理員は管理会社と雇用契約を結んで各マンションに派遣されている場合が多いです。業務内容もあらかじめ管理会社と管理組合が決めた内容に沿って仕事の範囲が決められています。ごく稀に自主管理をしているマンションの場合は管理組合が直接管理員を雇っている場合がありますが、ほとんどの場合は管理会社の社員もしくは派遣です」とのこと。
次に管理員さんは一体どんな仕事をしているか、疑問に思ったことを聞いてみた。
「実際の仕事は大きく分けて受付業務、点検・巡回業務、立会業務、報告連絡業務等です。居住者や来訪者からの問い合わせ・ご相談の対応や集会室等共用施設の予約管理が『受付業務』。建物・設備の目視点検、無断駐車等の確認が『点検・巡回業務』。外注業者の業務履行やゴミ搬出時に立ち会う『立会業務』です。中には日常の清掃やゴミ出し等の『清掃業務』を管理員がかねている場合もあります」
マンションの規模によっては、各担当者が別々にいる場合もあるようだ。
住民から「自分の部屋(専有部)の電球交換をしてほしい」といった要望もあるらしいが、基本的には共用部の管理が中心だ。あくまでも「管理委託契約書」で決められていて、必ず年1回(契約期間1年の場合)は管理会社から区分所有者にその内容の説明が行われてから契約することになっている。つまりプラスαの要望があれば住民は管理組合・理事会に要望して、それが管理組合全体の要望であれば管理会社と協議して契約条項に入れる必要がある。管理員に直接交渉しても契約外の業務は依頼できないというのが通常だ。
つい、あれもこれもお願いしたくなるが、その業務が契約に沿っているかどうかは「管理委託契約書」で確認しておく必要がある。

あくまでも「管理組合」が管理の主役である
「マンションの管理」はめんどうなので他人事と思っていても、購入して区分所有者となった人は、同時に管理組合員になり、主体的に取り組む責任が生まれるのだと思う。それはマンションを購入する前から頭に入れておきたい。
「管理のいい悪い」が取りざたされることが多いが、実はそれを決めるのは区分所有者であり、その集合である管理組合だ。マンションの「管理規約」にしても、「管理委託契約書」にしても、個々のマンションにあったものに総会の決議で変更はできる。またマンション管理会社や管理員を信頼して、存分に働いてもらうようにするのも、管理組合の能力にかかっている。快適なマンション生活のために知恵を出し合って工夫していくと、自ずと「管理のいいマンション」にたどり着けることが可能であり、強いては自分たちの財産を守ることにつながる。
最近では、マンションの管理を自分ごとと捉え、積極的に参加している理事たちの話題も耳にする。マンションの理事の情報交換の場も生まれつつある。しかし一般的にはまだその意識は低い。自分自身の資産運用の1つとしても、もっと区分所有者一人ひとりが主体的に「マンション管理」にかかわる必要がある。

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30 名古屋駅から30分圏内! 家賃相場が安い駅ランキング 2017/12/11 読売新聞
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東海道新幹線をはじめとするJR各線と、名古屋市営地下鉄、あおなみ線が乗り入れる中部エリア屈指の巨大ターミナル駅・名古屋駅。駅周辺には高層ビルが林立し、ビジネスや観光の拠点として多くの人でにぎわっている。そんな名古屋駅まで、30分以内で行けちゃう家賃相場が安い駅を調査してみた。

●名古屋駅まで30分以内にある家賃相場が安い駅TOP15駅
順位/駅名/家賃相場(主な路線/所在地/名古屋駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 島氏永 2.8万円(名鉄名古屋本線/愛知県一宮市・稲沢市/約23分/2回)
2位 穂積 3.2万円(JR東海道本線/岐阜県瑞穂市/約26分/0回)
3位 西岐阜 3.4万円(JR東海道本線/岐阜県岐阜市/約23分/0回)
4位 高蔵寺 3.6万円(JR中央本線/愛知県春日井市/約26分/0回)
4位 国府宮 3.6万円(名鉄名古屋本線/愛知県稲沢市/約19分/1回)
4位 笠松 3.6万円(名鉄名古屋本線/岐阜県羽島郡/約29分/1回)
7位 観音寺 3.7万円(名鉄尾西線/愛知県一宮市/約27分/2回)
8位 稲沢 3.8万円(JR東海道本線/愛知県稲沢市/約11分/0回)
8位 八事日赤 3.8万円(名古屋市営地下鉄名城線/愛知県名古屋市/約29分/2回)
10位 平針 3.9万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約29分/1回)
10位 植田 3.9万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約26分/1回)
12位 大山寺 4.0万円(名鉄犬山線/愛知県岩倉市/約22分/3回)
12位 丸ノ内 4.0万円(名鉄名古屋本線/愛知県清須市/約24分/2回)
12位 八事 4.0万円(名古屋市営地下鉄名城線/愛知県名古屋市/約22分/1回)
12位 塩釜口 4.0万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約24分/1回)

名古屋駅の30分圏内まで選択肢を広げると2万円台から住める!
家賃相場が最も安かったのは名鉄名古屋本線・島氏永(しまうじなが)駅。上り線ホームは一宮(いちのみや)市、下り線ホームは稲沢(いなざわ)市に位置している。もともとあった島駅と氏永駅が統合され、1つの駅になったことが一風変わった駅名の由来だ。現在は無人駅で一日の利用客はさほど多くなく、駅周辺は田園や一戸建て住宅が広がる静かな環境。SUUMO掲載の賃貸物件数は50件以下(今回の調査時点。以下同)で選択肢が豊富とは言いがたいが、名古屋駅から約23分の立地で家賃相場が2.8万円というのは魅力的だろう。
これまで調査してきた東京近郊の家賃相場に比べると、1位の2万円台という家賃相場が破格値に感じられる。一方で、名古屋駅は6.4万円という家賃相場だったので、東京近郊と比べてもそこまで安くはない。しかし名古屋駅の30分圏内まで選択肢を広げると、だいぶ家賃相場が下がることがランキングから見て取れる。ランクインした15駅のうち最も高い家賃相場でもジャスト4万円だった。
家賃相場が4万円だったのは4駅あり、そのうち名古屋市営地下鉄鶴舞線・塩釜口(しおがまぐち)駅は名城大学天白キャンパスの最寄駅。学生向けの賃貸物件が多いためか、こちらはランクインした15駅中で最も多い、1000件以上の賃貸物件がSUUMOにも掲載されている。駅周辺にはコスパのいい飲食店や居酒屋がそろい、夜でも人通りが少なくない。ファミリー層よりは若者におすすめの街と言えるかもしれない。

県外や市外にも目を向けると穴場の駅が見つかるかも
名古屋駅は愛知県内でも西側に寄ったロケーションのため、電車に30分も乗ると隣県へ出ることができる。トップ15駅のなかでも3駅は、お隣・岐阜県の駅がランクインしている。
そのうち2位のJR東海道本線・穂積(ほづみ)駅は岐阜県瑞穂市に位置。駅周辺には幼稚園や小中学校が複数点在し、子育て世代の住民も少なくない様子。郵便局や市役所、スーパーなど日々の生活に必要な施設も駅周辺にそろっている。また、名古屋駅まで乗り換えせずに行けるだけでなく、岐阜県の繁華街・岐阜駅まで電車で2駅。愛知と岐阜、両県の都市部に出やすいため、休日のおでかけも楽しめそうだ。
ランキング中で名古屋駅からの所要時間が最も短かった駅も見てみよう。それは8位のJR東海道本線・稲沢駅。名古屋駅からは3駅・約11分の近さで、家賃相場は3.8万円。駅前の再開発が進行し、大規模マンションや大型ショッピングセンター「リーフウォーク稲沢」が誕生している。
名古屋駅を基点に住まい探しをするとき、ついつい基点駅がある名古屋市内に注目してしまいがち。しかし家賃相場が同じ8位の稲沢駅と八事日赤(やごとにっせき)駅を見比べると、名古屋市内の八事日赤駅よりも名古屋市外にある稲沢駅のほうが、名古屋駅からの所要時間も乗り換え回数も少ない。
また、2位の穂積駅のように、県をまたいではいても乗り換えせずに30分以内で名古屋駅まで行ける駅もある。住所表記にこだわりすぎず、路線図や地図で位置関係を確認しながら住まいのエリア決めをすることが、お得な物件探しのコツかもしれない。

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31 サイトを利用して1億円の節約を実現、マンション大規模修繕の見直し術 2017/12/8 読売新聞
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マンションも築10年が近づいてくると、そろそろ初めての大規模修繕を考えなければならない。しかし「大規模修繕はどこに頼めばいいのか」、「そもそも相場が分からない」等々、マンションの管理組合の悩みは尽きない。今回、大規模修繕を比べられる「マンション修繕入札サイト」を活用して、1億円もの節約を実現した管理組合があると聞き、その実情を聞いてみた。

そもそも大規模修繕は誰がどのように行うのか
管理組合に建築の専門家がいればいいが、おそらくいない場合が多いはずだ。また組合員に建設会社に勤めている人がいても改修部門に携わる方でないと知識は十分ではない。おそらく最初は委託している管理会社に頼むことが多いだろう。しかしそれが正解なのだろうか。
大規模修繕の依頼方法として、現在は大きく2つの方法がある。責任施工方式と設計監理方式だ。
「責任施工方式」とは、マンション管理組合と工事施工会社が工事請負契約を直に結ぶ方式。この場合は、調査診断、改修設計、資金計画から実際の工事までの全てを1社がおこなう。
「設計監理方式」とは、第三者(専門家)である設計コンサルタント会社に、調査診断、改修設計、工事施工会社選定補助、資金計画、工事監理などを委託する方法だ。「管理」ではなく「監理」ということばを使う意味は、単に工事を管理するのではなく、工事の内容自体も現場で監督するということで使われている。
最近では「チェック機能が働く」と、設計監理方式が人気を集めている。工事費以外に、設計監理業務費用として専門家の費用が発生するが、建物診断から始まり、工事の仕様決定、施工会社選定の補助、工事が始まってからは現場巡回や施工内容のチェックも委託できるので注目されている。
しかし国土交通省住宅局からの「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」(平成29年1月27日)という通知でも示されたように、設計会社と施工会社の談合があったり、一部の設計コンサルタントがバックマージンをもらうなどの事例があり、設計コンサルタント選びも注意が必要だ。
それではどうやって適切なパートナーを選べばいいのか。紆余曲折しながら、実際に大規模修繕に取り組んだ例を聞くのが一番早い。ということで、あるマンションの事例について取材してみた。

修繕積立金の予算額とぴったり。見積もり額に不信感…
築14年、約280戸のAマンションは首都圏の郊外に位置するマンションだ。修繕委員会としてかかわっているAさんにお話を伺った。
「2014年2月、築10年を越えたところで大規模修繕に取り組むことになりました。まず管理を委託していたX管理会社自身が、自社と自分たちの推薦する2社の合計3社での設計監理の相見積もりを出してきました。結局、総会では最安値のX管理会社を設計監理者として可決しましたが、X管理会社主導の不透明な決め方にすっきりしませんでした」とAさん。
そのX管理会社が設計監理者として算出した当初の大規模修繕工事の設計見積もりは3億8000万円という提示だった。「当時、修繕積立金の額がちょうど同額程度貯まっていたので、どうも金額ありきの見積もりではないかと不信感が生まれました」
翌年の3月に修繕委員会が発足。委員会の中には、X管理会社を信用する人たちと、X管理会社に不信感を持つ人たちに分かれていた。修繕委員会の中でX管理会社の見積もりに不信感を持つ委員が「1戸80万円位が相場だと聞いている」という話が出ると、管理会社派の委員が「それなら1戸80万円の見積もりを作ればいい」と言い出す人もいた。実際それに応じてX管理会社は2億2000万円の設計見積もりを提示してきたそうだ。

サイトを利用して最終的に1億円の節約を実現できた
いったい見積もりとは何のためにあるのかと不安感を持つようになったAさんたちは、8月に「マンション修繕入札サイト」を知り、客観的な判断を求めて相談することにしたそうだ。「単なるマッチングサイトではなく、コンサルティングもしてくれるということで信頼できそうだと思いました」とA さん。
「入札サイトの担当者から、同じX管理会社が管理し設計監理も請け負った埼玉のBマンションの事例を聞いたのですが、X管理会社が仕様や数量を作成、計算した統一の見積内訳書について、Zという設計事務所に検証してもらったところ、たとえば塗装面積がマンションの面積より広くなっているなど、不透明に4000万円ほど増額されていたことがあったというのです」
そこで、Aマンションでも、Bマンションで設計検証をしたというZ設計事務所に頼むことにしたそうだ。
結局Z設計事務所にX管理会社の設計見積もりの設計検証をしてもらったところ、同じ工事内容で3億8000万円から3億2000万円へと設計見積もりが下がったそうだ。
X管理会社に不信感を抱いた修繕委員会と理事会は2016年7月には臨時総会を開き、設計監理をZ設計事務所に引き継いでもらうことに決定した。12月には入札サイトや住民紹介、業界新聞を使っての公募など、幅広く募集して、工事会社15社が応募してきた。
「その間も反対派の住民からはかなりの抵抗にあいました。X管理会社と結びついている住民がビラを配るなど、臨時総会は大荒れに荒れましたが、結局X管理会社を設計監理者から外すことができました」
修繕委員会としてはオーバースペックである工事を取りやめるなどZ設計事務所とともに工事内容も精査し、結局入札サイトの会員である新工事会社が2億6000万円で請け負うことが決まった。追加工事の2000万円を含めて合計2億8000万円に工事費が決定。最初の見積もりから1億円も節約できることになった。
一連の事態を鑑みて、Aマンションは管理の委託自体も他の管理会社に変更した。そのため年間の委託料も300万円下がったそうだ。
公平・客観的な情報を得るためには外部組織を上手く活用するべき
ほとんどのマンションでは、管理を管理会社に委託している場合が多く何の疑問も持たず、大規模修繕も管理会社におまかせという例も多いだろう。
管理会社自身が施工会社として大規模修繕工事に手を挙げる場合以外でも、管理会社と関係のある工事会社を紹介されることも多く、適正利益以外のマージンが上乗せされる事もあるようだ。
そもそも見積もりが上がってきても、それが劣化具合に応じた必要な工事のものかどうか判断するのは管理組合側では難しい。そのとき、どんな点をチェックするべきだろうか。
「責任施工方式で工事会社から見積書を取得した場合、各社がバラバラな仕様項目や数量を入れてくる事が多いです。その場合、マンションの劣化具合に対してどの仕様項目が必要か、またその仕様のグレードは適正か、数量は正しいのか、という判断を管理組合側でしなくてはいけません。その際、工事金額が安いというだけで施工会社を決めてしまうと、手抜き工事をされたり、その結果大規模修繕工事が終わってまだそれほど月日が経っていないのに修繕箇所が再度劣化したりする事もあります。このような事を念頭にいれて信用のおける会社を吟味することが大切です」と入札サイトの担当者。
「設計監理方式の場合では、大規模修繕工事の経験豊富な一級建築士が理事会、修繕委員会の意見をくみ取りながら、今行うべき工事が何かを教えてくれます。劣化具合からして先送りできる工事内容と今手を打つべき工事内容を見極めてくれますし、例えば使い勝手が悪い箇所の改良や、住民の多くが希望する駐輪場の増設工事なども、資金面を含めてアドバイスしてもらえるため、管理組合としては必要な工事と適正金額の判断がしやすく安心です」(同上)

見積もりを取る前に、管理組合が建物・設備の劣化を把握する
正しい見積もりを取るためには、まずマンションが実際にどのような状態になっているかの現況把握が第一歩だ。建物や設備の各箇所について劣化度をランク付けして、実際の工事の必要性・緊急度を明確にする必要がある。そのために、まずは簡易建物調査診断を無料でやってくれるところ(設計事務所・施工会社・入札サイトなど)があるので、そのようなところを利用して複数の診断資料を得るのも1つの手だ。
簡易版の調査診断で、ある程度の概要を把握し、より詳細な状況を知るために正式な調査診断を有料で依頼するのがよいだろう。いずれにしても、管理会社にお任せすればいいというものではなく、管理組合自体がマンションの現状をきちんと把握しておくことが大切だ。
自分たちが納得した工事内容を基本に見積もりを取れば、高すぎる費用や安すぎる費用は排除できる。また自ずと相場観も養えるはずだ。そのためにも工事費の見積もりは項目ごとにきちんと出してもらおう。素人でもわかる見積もりを作ってもらうのは当然のことである。
大規模修繕はあくまでも管理組合が主導権を握り、必要な工事を適切な費用で実施するべきだ。そして公平・客観的な情報を得るためには外部組織を上手く活用するべきだろう。

2017-12-14 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed