住宅関連新聞記事ダイジェスト No.359  2010/11/11~2010/11/17

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.359  2010/11/11~2010/11/17 Vol.1
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【日本経済新聞】

1  日中バーベル戦略しかない

2  築20年余の住宅「資産価値ゼロ」の常識は覆るか

3  10月首都圏マンション発売戸数、9.8%増

4  一つの電力変換段で力率改善も可能なLED駆動制御ICをTIが発売

【朝日新聞】

5  要改修の窓、改良品も防火テスト失格 国に無断出荷済み

6  住宅大手6社が増収 エコポイント追い風、9月中間

【読売新聞】

7  秋津野ガルテン2周年 都市農村交流視察相次ぐ

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1  日中バーベル戦略しかない  2010/11/17 日本経済新聞系

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日中政府はいま海の上の小さな岩を巡ってぎくしゃくしているが、そんなことにはお構いなく、経済分野での互いの依存度は日増しに高まっている。日本の総輸出額に占める中国のシェアは18.9%で、2009年に米国を抜いて最大の輸出相手国になった。また中国にとっても日本は最大の輸入先。輸出では米国に次いで第2位の貿易相手である(JETRO資料による)。地理的、歴史的な関係も含め、別れがたいパートナーであることは疑いがない。

両国の関係は、投資戦略の観点から見ても理想的なパートナーだ。経済大国への坂を駆け上がる中国はとっても魅力的(ファンド業界の言葉では“セクシー”)な投資対象だが、安定性の点では心もとない。一方の日本はGDP成長率でみると退屈な市場だが、(首相が誰に代わろうとも)安定した経済と政治体制、そして中国よりはるかに大きな不動産ストックを持つ。

これは「バーベル」戦略がもてはやされる今の投資業界にぴったりの組み合わせである。トレーニング用のバーベルは両端が太く、真ん中が細い。ミドルリスク・ミドルリターンという言葉を誰も信じなくなった金融危機後の世界では、このバーベルの形のように、ハイリスク・ハイリターンの投資商品とその真逆の商品を組み合わせて分散投資を図る考えが主流になった。

日中間のバーベル戦略が投資家に支持を受けていることは、10月のGlobal Logistic Propertiesの上場で証明された。米ProLogisからのスピンアウトで生まれた同社の資産は、安定稼働中の日本の物流施設と、中国の開発プロジェクトの組み合わせだ。セキュアード・キャピタル・ジャパンも香港のPacific Alliance Groupと経営統合して、日中にまたがる投資プラットフォームを作ることを発表した。普段アジア人意識の希薄な我々にはピンとこないが、これは「アジア・パシフィック」単位で資産をアロケーションする欧米投資業界の慣行とも相性がいい。

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2  築20年余の住宅「資産価値ゼロ」の常識は覆るか  2010/11/17 日本経済新聞系

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千葉県印西市内に建つ築20年あまりの木造戸建て住宅。オーナーのKさんが現在、約3500万円で売りに出している。同じころに建った近隣の住宅と比べると1000万円ほど高いという。不動産市場の常識では、築20年以上となると住宅自体の資産価値はほとんどゼロと見なされてしまうが、Kさんはこの常識にとらわれていない。

立地しているのは千葉ニュータウンの一角の住宅街。大手住宅メーカーが建てたツーバイフォー工法の分譲住宅だという。Kさんの一家は庭いじりならぬ“家いじり”が好きで、入居後、外構に手を加えたり、購入時は地味だった外壁を華やかな色に塗り替えたりした。常に工事中の家という印象が近所の人にサグラダ・ファミリア教会を連想させたらしく、住まい手のKさんは「ガウディみたいだと言われたことがある」。

愛着を抱いてきた住宅だけに、売却時に単なる「古家」扱いを受けたくない思いがあった。Kさんは近隣の住宅よりも高値で売れるように、それ相応のお金をかけた。断熱性の向上などのため、茨城県のリフォーム会社と契約してリフォームを実施。さらに住宅検査の専門会社であるさくら事務所(東京都中央区)に、品質確保のための検査(インスペクション)を依頼した。

売却する住宅に対するKさんの投資は、これだけでは終わらない。個人が売却する中古住宅に5年間有効の瑕疵保険をかけられることを、さくら事務所からの情報で知り、利用することにした。瑕疵の定義は新築住宅向けの住宅瑕疵担保責任保険と基本的に同じで、構造耐力の不足と雨漏りだ。

中古住宅向けの瑕疵保険を利用

中古住宅の売り主は民法に基づく瑕疵担保責任を負う。売却後に瑕疵が発生した場合、本来なら買い主のために瑕疵を補修するなどして対処しなければならない。しかしKさんのような個人の場合は、瑕疵に自力で対処するのは現実には難しい。仲介会社にも瑕疵を補修する義務はない。買い主の立場からすれば、不良品をつかまされても誰にも責任を取ってもらえない恐れがある。こうした消費者保護の不十分さが、中古住宅の不人気、ぱっとしないイメージの要因のひとつとなっていた。

そこで国土交通省は、「検査会社」(住宅検査の能力を持つ事業者)が、個人である売り主の瑕疵担保責任を実質的に代行する仕組みをつくった。Kさんが利用することにした中古住宅の瑕疵保険はこの仕組みに沿った保険で、売り主に代わって検査会社が加入する。2010年の春以降にいくつかの保険法人が運営を開始した。さくら事務所がKさんの売却する住宅を対象に加入するのは、ハウスプラス住宅保証(東京都港区)が運営する保険だ。

Kさんが売る住宅は、2010年8月にさくら事務所による検査(インスペクション)を受けていたが、瑕疵保険加入のため10月下旬に再度の検査を受けなければならなかった(下の写真)。この検査を初めとする保険加入の手続きには、リフォームやインスペクションとは別に費用がかかる。「また検査かと思ったが、買い主により安心してもらうためにはやむを得ない」とKさんは話す。

Kさんの住宅は、果たしていくらで、いつ売れるか。できたばかりの中古住宅の瑕疵保険の仕組みが、中古住宅市場に受け入れられるかどうかの試金石であるとも言える。個人住宅の売買ではあるが、できる範囲で取材を続けていきたいと思う。

ところで下の写真では、さくら事務所とハウスプラス住宅保証の2社による検査が同時進行している。このような“ダブル検査”がなぜ必要なのか。個人が売買する中古住宅を対象とする瑕疵保険の詳細や住宅業界とのかかわりは、日経ホームビルダーの2010年12月号で報じる予定だ。

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3  10月首都圏マンション発売戸数、9.8%増  2010/11/16 日本経済新聞

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大型物件の募集で 不動産経済研究所(東京・新宿)が15日発表した10月のマンション市場動向によると、首都圏の新規発売戸数は前年同月比9.8%増の3718戸となり、9カ月連続で増加した。東池袋で100戸を超える募集をした大型マンションがあったほか、埼玉県戸田市でも260戸を募った物件があり、全体を押し上げた。

地域別では、東京都区部が前年同月比3.4%減の1650戸、都下が4.6%増の274戸、神奈川県が14.6%減の614戸、埼玉県が52.9%増の856戸、千葉県が136.5%増の324戸となった。

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4  一つの電力変換段で力率改善も可能なLED駆動制御ICをTIが発売  2010/11/16 日本経済新聞系

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米Texas Instruments Incorporatedは、一つの電力変換段で力率改善も実現できるLED駆動制御IC「TPS92210」を発売した。スイッチング素子(パワーMOSFET)を外付けすることで、LED駆動回路を構成できる。複数の制御方式、具体的には、コンスタント・オンタイム制御方式や、ピーク一次側電流制御方式、周波数変調方式などに対応可能である。特にコンスタント・オンタイム制御方式を採用した場合は、出力電圧/電流の安定化に加えて力率改善を一つの電力変換段で実現できるため、さらに変換効率を向上可能だという。店舗用の照明器具や、住宅用の照明器具、装飾用の照明器具などに向ける。

カスコード接続のMOSFETを採用した。このため、スイッチング損失を約10%低減できるという。さらに、LED駆動回路の起動を高速にかつ、簡単に実現できるようになったとする。トライアックを使った位相調光方式に対応した。線形性の高い調光とフリッカレスの調光が実現できる。同社によると、「こうした回路の工夫を盛り込んだため、一般的なフライバック方式を採用した場合に比べて、変換効率と信頼性を高められるほか、システム・コストを低減できる」という。

LEDのオープン(開放)検出機能や、過電流保護機能、出力の過電圧保護機能、入力のサージ電圧保護機能、過熱保護機能などを搭載した。電源電圧範囲は+9~20V。動作温度範囲は-40~+125℃。パッケージは8端子SOP。1000個購入時の単価は0.70米ドル。120V入力用と230V 入力用の評価ボードも用意する。2010年12月に出荷を開始する予定だ。

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5  要改修の窓、改良品も防火テスト失格 国に無断出荷済み   2010/11/13 朝日新聞

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国の防火基準を下回る窓を出荷したとして10月、国土交通省から改善を促された三協立山アルミ(富山県高岡市)について、同省は12日、同社が「改良品」として出荷した窓が再び、防火基準を満たしていなかったと発表した。同社は計7千棟の窓を改修するよう指導を受けているが、対応はさらに遅れるという。

国交省の調べでは、問題の製品は、戸建て住宅向けに2005年8月以降に出荷された引き窓。改良品を出荷する前に性能を点検するため、同省に報告するよう要請していたが、同社は国に無断で新商品の出荷を再開。直後に情報提供を受けた同省が新商品で防火実験をしたところ、20分以上は炎に耐えられる性能が必要なのに、20分が経過する前にサッシ部分が溶け、ガラスが外れ「不合格」となったという。

新商品が国の防火基準を満たすかどうか、三協立山アルミも加盟する業界団体「カーテンウォール・防火開口部協会」が審査していたが、見逃していた。三協立山アルミは「建築中の物件もあり、早期に出荷を再開したいとの焦りから、国への報告を怠ってしまった」(広報IR部)と釈明。同協会は「早急に大量の改修が必要となった事情もあって、結果的に審査が甘くなった」としている。

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6  住宅大手6社が増収 エコポイント追い風、9月中間  2010/11/13 朝日新聞

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住宅メーカー大手7社の2010年9月中間連結決算(積水ハウスは7月中間連結)が12日出そろった。住宅版エコポイントなど政府の需要刺激策を追い風に、ミサワホームを除く6社が増収だった。引き続き好調が続くとみて、大和ハウス工業、積水ハウス、パナホームの3社は通期業績予想を上方修正した。

大和ハウス工業は、販売戸数が前年同期より5.8%減ったが、太陽光発電などの付加機能で売り上げを伸ばし、中間期では過去最高益となった。

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7  秋津野ガルテン2周年 都市農村交流視察相次ぐ  2010/11/17 読売新聞

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年間来客12万人、経済効果2億円 「利益追求より活性化」奏功

多くの来客でにぎわう秋津野ガルテン(田辺市上秋津で) 都市住民との交流で地域の活性化を図るグリーン・ツーリズム施設「秋津野ガルテン」(和歌山県田辺市上秋津)が今月、オープンから丸2年となった。

農家レストランなどが好評で、今では年間約12万人がガルテンを訪れるようになり、パートを含む地元雇用は70人、経済効果は年間約2億円に上る。都市農村交流施設の成功例として視察や講演依頼が後を絶たず、地域づくりのモデルとして全国の注目を集めている。

ガルテンは、地元農家などの489人が計4180万円を出資、農業法人「株式会社秋津野」を設立してスタート。廃校となった上秋津小学校の木造校舎を市から買い取り耐震化工事を行い、新築した飲食店や宿泊施設、貸し農園などからなる複合施設として、2008年11月に営業を始めた。

特に人気なのが主婦らが運営する農家レストラン「みかん畑」。地元産野菜を使った昼食バイキングは、週末には行列ができるほどで、「オープン3年後の11年に年間9700人」と見込んでいた来客者数は、2年間で9万人を超えた。

年に約2万円を払うとミカン30キロが贈られる「みかんの樹オーナー制度」の契約者数は今では440人。農業法人設立当初に比べると15倍に増え、10数戸しかなかったミカンの木の提供農家も約30戸になった。

人気ぶりを学ぼうと、ガルテンには講演依頼が相次ぎ、これまでに45か所で役員らが講演。視察も相次ぎ、今月だけで約30団体が訪れる見通しだ。

このため、ガルテンは08年から泊まりがけの講習でガルテン運営のノウハウを伝える「地域づくり学校」を開催。今年度で3期目となり、これまでに、県内のほか7道府県から、自治体やNPOのメンバー、大学生ら計160人が受講し、大阪府岸和田市の農協関係者は学んだ内容を産直店新設に生かしたという。

和歌山大学観光学部の藤田武弘教授は「経済効果だけでなく、地元の人々に古里への愛着や誇りを生んだり、営農意欲を高めたりといった社会的効果が大きい」と評価する。

ガルテンでは昨年、農家14戸が県の認可を受けて、自宅に宿泊してもらう「民泊」を始め、今年7月には菓子作りを体験できる工房も設けるなど、新たな取り組みを進めている。玉井常貴副社長は「利益追求ではなく、地域の活性化を目指してきたことが良い結果につながっている。物珍しさが薄れる3年目が正念場」と気を引き締めている。(田山一郎)

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.359  2010/11/11~2010/11/17 Vol.2
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【読売新聞】

8  廃校が野球教室に町が無償貸与プロOB指導

9  大火防止 密集地解消へ…神戸市

10  わら束使った建築知って富山のNPOが研修会

11  「銀河系笠松駅」高校生がデザイン

12  シンドラーエレベーター扉閉まらず

13  体育館に基準450倍の石綿 連絡ミスで発見遅れ

14  若い人、古里に定住して山口でイベント

15  空き地を遊び場に 柏市が有効利用へ仲介制度

16  水車活用しEV充電 前橋市が専用駐車場

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8  廃校が野球教室に町が無償貸与プロOB指導  2010/11/17 読売新聞

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野球教室に利用される旧猿ヶ京小 廃校となった旧猿ヶ京小学校(群馬県みなかみ町相俣)が来年4月から、プロ野球OBによる野球教室に活用されることになった。

みなかみ町が16日、残された校舎やグラウンド、体育館などを無償貸与する協定を、全国野球振興会(日本プロ野球OBクラブ)、日本プロ野球OBクラブ支援センターと締結。廃校を野球教室に利用するのは全国初の試みだという。

旧猿ヶ京小の校舎は、旧新治村立の小学校だった1991年に完成。敷地約1万5000平方メートルに木造2階建ての校舎や体育館などが備わる。

同校は、新治村が水上町、月夜野町と合併した後の2008年、近隣校に統廃合された。みなかみ町や地元関係者らの協議会が跡地利用を模索。地元在住で同センターの窪田金嘉監事を通じて相談したところ、OBクラブが活用することになった。

OBクラブと支援センターは、中学生以下を対象に野球教室を開くほか、資格制度を設けてアンパイア講習会を実施する。親子や、子供と高齢者との交流会なども開いていく。定住して活動できるOBを募集し、年明け以降に受講者を募る。地元の子供には、なるべく無料にしたいという。

町役場で行われた調印式には、岸良昌町長とOBクラブの黒江透修理事長(巨人OB)、支援センターの田幡博代表理事らが出席した。

岸町長が「ヒーローがいる団体に支援していただき、多くの子供たちに来てもらえることに期待している」と話すと、黒江理事長は「野球のみならず、いろんな形で地域に密着し、手を取り合っていきたい」と語った。

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9  大火防止 密集地解消へ…神戸市  2010/11/17 読売新聞

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25年までに 優先度4段階設定

神戸市は、古い木造住宅などが密集し、火災が起きた場合に消火や避難が著しく困難な「密集市街地」地区を、2025年までに解消する方針を明らかにした。阪神大震災で、住宅が近接した地域で延焼が拡大した「長田の大火」などの教訓を踏まえ、これらの地域について優先順位を定めて、防災力の向上を急ぐ考えだ。(岡本久美子)

市が策定を進める「密集市街地再生方針」の素案で打ち出した。

素案によると、市内の各地区について、「延焼危険性」や「木造建築物の割合」などから市独自の基準で密集市街地を指定し、さらに解消の優先度を最も高い4から、最も低い1までの4段階で定める。その上で、25年度までにすべての密集市街地を優先度1以下にすることを目指す。

優先度の高い4と3の密集市街地が5ヘクタール以上連続し、広範囲に延焼が拡大する恐れがある地域については「密集市街地再生優先地区」として公表を予定。現時点では垂水区の東垂水、長田区南部、灘区北西部、兵庫区北部の4か所が該当しているという。

具体的な解消策としては、空き家になった老朽木造住宅の解体や、建物の不燃化、建物解体後の空き地の有効活用などにかかる費用を助成。4メートル未満の狭い道路に面した建物については、建て替え時に敷地を後退させ、道路を広げる「セットバック」を地権者と進める。

一方、密集市街地再生優先地区をはじめ緊急性の高い地域については、建て替え時に耐火建築物にすることなどを求める「防火規定」の導入も検討。ただし、建設費が増えることで建て替え自体が抑制されないよう支援策も考える。

これらの取り組みを着実に進めるため、来年度以降、密集市街地再生の条例制定も検討する。市都市計画総局は「誰もが安全・安心に暮らせる街にするため、防災面や住環境面で課題のある密集市街地を減らしていきたい」としている。

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10  わら束使った建築知って富山のNPOが研修会  2010/11/16 読売新聞

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ストローベイルを使った店舗建設に取り組む吉本理事長(右)ら(富山市水橋中村で) わら束を圧縮してブロック状にした建材「ストローベイル」を使った建築を広く知ってもらおうと、富山市のNPO法人「富山ストローベイルハウス協会」が16~23日、同市内で研修会を開く。

米国発の工法で、「自然の素材を使い、人にも環境にも優しい」とうたい、全国で約50件の施行例があるが、湿気の多い北陸では少ないため、耐久性や断熱性の検証にも取り組む。

ストローは「わら」、ベイルは「俵」を意味する英語。同協会によると、元々は、わらを家畜の餌にするため、専用の機械を使い、ブロック状に固めたものを指す。建材に使うのは縦30センチ、横45センチ、長さ50~100センチで重さ約20キロ。断熱性や遮音性に優れることから、壁に使えば冷暖房費の節約につながるという。

施工では、内壁に沿って積み上げ、金属製の網で覆って固定したうえで表面にしっくいを塗る。ぎっしりと圧縮してあるため、一定の強度があり、小さな建物なら柱なしにレンガのように積み、屋根を直接乗せることもできる。同協会は昨年7月に発足。立山町の稲わらを使い、「地産地消」も目指す。

米国では19世紀末から建材として使われるが、日本に入ったのは2001年と新しい。ガラス繊維を綿状にした「グラスウール」など一般的な断熱材に比べて割高だが、天然素材にこだわる施主が注目。県内では昨年、高岡市の住宅が初めて採用した。標準的な住宅で250個のストローベイルが使われる。

ただ、わらは湿度80%になると腐りやすいとされ、湿度の高い北陸の気候にどれだけ耐えられるかは今後の検討課題だ。同協会は日本大学の研究者の協力を得て、富山市水橋中村で建設中の店舗にわらの中と外の温度・湿度を測るモニターを取り付けて2年間のデータを集める。データをもとに、北陸により適した工法を検討していくという。

研修会は同店舗の建設現場を使い、しっくいの塗り方などを伝える。同協会の吉本宏明理事長(35)は「天然のわらを積むのは気持ちいい。施主自身が施工できるので、建設費も抑えられる」と話している。

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11  「銀河系笠松駅」高校生がデザイン  2010/11/16 読売新聞

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7人の夢、来月19日点灯

生徒たちが作ったイルミネーションのイメージ図(写真は笠松駅前ロータリー) 「地元の駅を僕たちのイルミネーションで輝かせたい」。岐阜県立岐阜工業高校(笠松町)の生徒が名鉄笠松駅の駅舎やその周辺にイルミネーションを飾り付け、町を盛り上げる計画を進めている。デザインは宇宙がテーマで、その名も「銀河系笠松駅」。来月19日から約1か月間にわたって生徒たちの自信作が駅を明るく照らす。(米盛菜美)

準備しているのは、同校電子科3年生の男子生徒7人。このうち4人は1年生の頃から文化祭や岐阜市内の公園で自分たちの作品を展示し、腕を磨いてきた。今回は、同校の生徒や地元住民が利用する笠松駅で感謝の気持ちを表現したいと考え、同駅に計画を持ち込んだ。

「イルミネーションを飾りたいと言われ、びっくりした」。9月初旬、突然の依頼を受けた堤博幸駅長は振り返る。生徒の夢を実現するため町役場も名鉄本社とかけ合った結果、同社から利用許可が下りた。7人も本格的に建物の測量や写真撮影を重ね、計画を具体化していった。

飾り付ける電球は約1万4000個。銀河鉄道をイメージした光り輝く電車模型や、惑星を表した球体などを駅舎などに配置する。駅舎壁面には「頑張ってください」「今日もお疲れさま」と表示される文字盤を掲げ、クリスマスツリーも加えることにした。

「名物の競馬も候補には挙がったが、今回は冬らしいデザインにした。新しい駅になったと言われたい」と生徒の岩田純明さん(3年)は話した。

7人は今月12日、同校に堤駅長や広江正明町長ら関係者を招き、計画案を発表。出席した名鉄岐阜駅の渡辺悦男幹事駅長は「町を挙げて歓迎している。ぜひ成功させて来年以降も継続するイベントにしてほしい」と期待を寄せている。

イルミネーション点灯は19日午後4時から来年1月22日まで。点灯時間は午後4時~午前0時まで。

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12  シンドラーエレベーター扉閉まらず  2010/11/16 読売新聞

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東京大学柏キャンパス(千葉県柏市)で11日、総合研究棟に設置されているシンドラー社製エレベーターが、扉が開いたまま降下し、1人が負傷する事故が起きていたことがわかった。

東大によると、事故機は同社が保守点検も行っており、事故直後に同社社員が大学側の立ち合いでエレベーターを調べた結果、ブレーキワイヤの動きが悪く、ブレーキが正常に作動しなかったことが原因とみられるという。

東大の発表によると、11日午後2時45分頃、学生18人が1階から5階に行くためエレベーター(定員19人)に乗り込んだところ、扉が開いた状態でゆっくり降下し始めた。慌てて男子学生2人が脱出し、うち1人がひざを打撲して軽傷を負った。

エレベーターは扉を閉じながら地下1階まで下降して止まり、操作なしで1階まで戻った。

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13  体育館に基準450倍の石綿 連絡ミスで発見遅れ  2010/11/15 読売新聞

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宮崎市は12日、同市田野町に所有するB&G海洋センター体育館で、基準の約450倍の含有量のアスベスト(石綿)が使用されていたと発表した。国は2008年、公立施設のアスベストの有無を調査するよう指導していたが、市は庁内の連絡ミスで調べず、今年10月の緊急調査で判明した。

市によると、アスベストが見つかったのは、体育館の器具庫と機械室の天井部分。吹き付け材に含まれ、含有率は45・6%。国の基準値0・1%を大きく上回った。

宮崎市は08年4月、市立学校と市営住宅を除くすべての市所有施設を対象に調査したが、市文化スポーツ課が所管する26施設は調べなかった。同4月の機構改革で文化スポーツ課が教育委員会から市長部局に移行したため、連絡ミスで調査の依頼文書が届かなかったことが考えられるという。

文部科学省が6月に指摘して未調査が発覚。市は10月末までに26施設を調べ、同体育館のほか、佐土原西体育館、総合体育館、田野体育館でも微量のアスベストを確認した。いずれも空中の飛散はなく、安全性に問題はないとしている。B&G海洋センター体育館は、12月上旬から吹き付け材を撤去する。作業中も体育館は使用できるという。

市建築指導課は「今後は通達を徹底したい」と話している。

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14  若い人、古里に定住して山口でイベント  2010/11/15 読売新聞

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にぎやかなイベントが繰り広げられた会場ステージ 若者の定住を促す「ふるさと定住イベント」(実行委員会主催、読売新聞西部本社など後援)が13日、山口県下松市の商業施設ザ・モール周南中央広場で開かれた。

下松商工会議所青年部や女性会が中心となり、「若者が戻ってみたいと思える街にしたい」と始めたイベントで、10回目となる今年のテーマは「みんなに感謝の贈り物」。

午前10時、下松工業高吹奏楽部の演奏で開会。会場ステージでは、市内の幼稚園児らが日ごろ練習している遊戯を披露したり、来年開催の山口国体をアピールするイベントなどが繰り広げられたりした。

また、会場広場では、約40区画で洋服や玩具などのフリーマーケットが開かれ、多くの家族連れなどでにぎわっていた。

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15  空き地を遊び場に 柏市が有効利用へ仲介制度  2010/11/12 読売新聞

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千葉県柏市は、使われていない民有地を、希望する団体に貸し出して子どもの遊び場などに活用してもらう仲介制度を15日から始める。財政難で新たな公園整備が難しい中、使われていない土地の有効利用を図ろうというアイデア。緑地の保全や景観づくりのほか、住民交流の契機になってほしいと期待している。

新制度は「柏の庭」、「貸し庭」の二つの意味を込めて「カシニワ」と名付けた。市のホームページに「カシニワ情報バンク」を設け、土地を貸したい所有者側と、利用したい団体側の双方の情報を掲示。所有者と団体側が市の仲介で貸し借りに合意すれば、利用方法などの協定を結ぶ。借り手側には町会や子ども会、老人クラブなどを想定している。

市公園緑政課によると、近年、住民の高齢化などで管理の行き届かない空き地が増える一方で、子どもの遊び場への市民の需要が高まっているという。市は土地管理に必要な柵の設置などの費用の一部を助成することも検討している。問い合わせは同課(04・7167・1148)へ。

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16  水車活用しEV充電 前橋市が専用駐車場  2010/11/12 読売新聞

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水路が多い環境を生かして「小水力発電」に取り組んでいる群馬県前橋市は11日、電気自動車(EV)専用の駐車スペース5台分を来年3月に旧教育資料館(前橋市大手町)の駐車場に設け、無料開放すると発表した。必要な電力の6分の1を、自前の水車で発電する。市によると、こうした試みは全国で珍しいという。

市は昨年11月、馬場川(同市本町)に発電量が1時間当たり100ワットの水車発電装置を設置し、実証実験を行ってきた。その結果、水の勢いや落差がなくても十分な電力が得られることが分かった。

このため、市は15日に同資料館駐車場そばの矢田川に同500ワットの水車発電装置を設置する工事に着手。倍速充電器2台と急速充電器1台を駐車スペースに置き、水車で起こした電力と電力会社から買う分で稼働させる。工事費は計1500万円。併せて、EV3台(計1200万円)を購入する。高木政夫市長は11日の定例記者会見で「電気自動車がある程度普及すれば、民間の充電施設も増えてくる」と指摘し、「市民が環境問題を考えるきっかけにもなってほしい」と述べた。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.359  2010/11/11~2010/11/17 Vol.3
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【読売新聞】

16  水車活用しEV充電 前橋市が専用駐車場

17  校舎屋上で野菜栽培

18  足助の町家公開 東大生が社会実験「将来像を考える」

19  公社住宅売却に住民反発

20  駅前閑散、見切り発車…新青森

21  「ユニーク特区」案 続々

22  建設地から不発弾4発、分譲マンション完売

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17  校舎屋上で野菜栽培  2010/11/12 読売新聞

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学校の校舎屋上を利用した農作物の栽培が進んでいる。中には、土を使わないことで注目を集めるケースや、環境に配慮しているとして評価されるケースも出ている。

◆土を使わず緑化 福島工業高専

福島高専屋上でブロッコリーの生育状況を見る鴨下准教授 福島県いわき市の福島工業高等専門学校では、鴨下祐也准教授の指導で、物質工学科の生徒らが緑化を行いながら野菜を栽培している。

屋上の一部約200平方メートルに長さ約4メートル、直径15センチほどの塩化ビニールパイプを並べて設置。パイプの上部に穴を開けて、ここに植物の苗を入れたポットをはめ込み、パイプの中を水が流れる水耕栽培の仕組みになっている。白菜や空芯菜、ブロッコリー、ミニトマトなどを植えている。

鴨下准教授によると、土を使わないため、屋上にかかる加重が少なくて済み、移動も比較的容易。土が流れ出したり、土壌が原因の植物の病気もない。

また、夏の暑い時期は、空芯菜のツルを屋上から建物の側壁に垂らすことで、側面部の温度上昇を避けている。屋上面の温度は、直射日光の当たる場所は10度以上も変化するが、植物パイプの下は1、2度の変化しかなかったという。秋に収穫が終わると、冬季は屋上に直射日光を当てて、校舎内の温度を維持する。土を使わず、移動が簡単な点は、一部企業にも注目され、問い合わせが来ているという。

◆雨水活用食育も 郡山女子大

今年6月の郡山女子大の屋上菜園。現在は既に収穫を終えている(郡山女子大提供) 福島県郡山市の郡山女子大は、屋上菜園などの取り組みが環境対策に貢献しているとして今月、「第2回エコ大学ランキング」の私立部門で2位に選ばれた。

大学生らで作るNGO団体「全国青年環境連盟(エコ・リーグ)」が表彰しているもので、昨年に続く2位で、自然エネルギー導入率部門では1位だった。

同大では2005年に屋上菜園(長さ約24メートル、幅約3メートル)を設置。ニンジンや米などの作物18種類を授業などで栽培している。雨水を活用しており、植物が二酸化炭素(CO2)を吸うことでCO2が削減。学校で出た生ゴミは処理機で堆肥(たいひ)に変え、菜園の肥やしとして活用している。また、育てた作物を試食・販売することで学生の食育につなげている。

屋上以外での活動も含め、環境対策を本格的に始めた01年と比べ、09年はCO2排出量が29%(629トン)、一般廃棄物排出量が31%(60トン)、水道使用量が39%(2万2907立方メートル)減少したという。

こうしたことが評価され、全国の私立大76校のなかで2位に選ばれた。

同大の角野猛教授は「環境問題の知識は学生に必要なもの。自然体で取り組んでいるが、推進している『エコマインド』の浸透をさらに深められれば」と話している。

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18  足助の町家公開 東大生が社会実験「将来像を考える」  2010/11/12 読売新聞

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旧家の町並みが残る愛知県豊田市足助町で13、14日、普段は非公開の町家の軒下や土間、中庭などを見て回る「あすけうちめぐり」が開催される。町の将来像を考えようと、東京大学都市デザイン研究室の学生らによる社会実験で、塩の道ミュージアムの小出邸や、足助川に続く路地がある書店「白久」など25軒が対象となる。

25軒がある中馬街道沿いは、江戸時代に三河湾から長野県に向けて塩を運ぶ中継地として栄えた。その名残で、往時をしのばせる町並みが現存。県内初となる文化庁の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の選定を目指している。

今回のうちめぐりは、町家の外側だけを見て歩くのではなく、家の奥の生活空間の一部を見学。そこで暮らす人の息づかいも、町づくりの要素にできないかと模索するのが狙いだ。

2日間で約300人の参加を見込む。参加には、足助交流館前などで配布するパスが必要となる。各家では、足助中学校2年生約20人がボランティアで案内する。参加する田中怜奈さん(14)は「古い町並みが大好きなので、何か地域貢献していきたい」と意欲をみせる。

公開する一つ、白久は1817年に建てられ、呉服屋として創業。店舗奥が居住スペースで、店舗から伸びる路地の石畳は足助川に通じる作りを見学できる。白久の中根陸雅さん(66)は、「壊したら再生は難しい。古いものを守るためにも、価値を高めていきたい」という。社会実験を企画した同研究室の前川綾音さん(23)(大学院1年)は、「実験を通し、町家に住む人も、観光で訪れた人も、町並みの新たな魅力を見いだし、将来像を一緒に考えていきたい」と話している。

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19  公社住宅売却に住民反発  2010/11/12 読売新聞

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「家賃増、行き場失う」 公社側「経営変わるだけ」

民間への売却が予定される県住宅供給公社の賃貸住宅  石川県住宅供給公社が、金沢市の2か所の賃貸住宅について、今年度内にも民間に売却する計画を進めている問題で、住民から反対の声が挙がっている。売却後3年間は、家賃などの入居条件が引き継がれる予定だが、住民側は「その後、家賃が上がったり、退去を迫られる可能性がある」と反発。一方の公社側は「経営者が変わるだけ」として、売却方針は変えない構えだ。

公社賃貸住宅は金沢市光が丘と額新保に4棟120戸あり、家賃は2万8600円~3万3200円。低所得者向けで入居者の収入に上限がある公営住宅とは異なり、公社の賃貸住宅は「公営住宅に入れなかった中堅所得者層向け」(同公社)。入居条件は「収入が家賃の5倍以上あること」と、公営住宅とは逆で収入の下限が設けられている。

同公社は安価で良質な住宅・土地の供給を促す国の住宅政策に沿って1965年に設立され、賃貸・分譲住宅を手掛けてきたが、民間の開発も進み、一定の役割を終えたとして現在は解散に向けて準備を進めており、売却は資産処分の一環。低所得者の住宅対策という意味合いがない以上、一般の不動産売買と変わらないとの考え方だ。

ところが、1971年~73年に建てられた同住宅は、住人の高齢化が進み、必ずしも中堅所得者層ばかりではなくなっているのが実情だ。現在入居している89戸の世帯主の年齢は、59歳までが31人、60~69歳が34人、70歳以上は24人。年金暮らしとなり、収入が「家賃の5倍」を下回ったとしても、公社側は「退去させることはできず、住民側の判断」と黙認を続けたために、長く住み続けることが可能だった。

30年以上住み続けているという無職女性(75)は「昔は働いてそれなりの収入があったが、今は年金暮らし。家賃を上げるとか引っ越せとか言われてもどうしようもない」と不安を隠せない。

公社側は今のところ売却先は未定としている。光が丘の住民らは売却反対を訴え、2棟39戸中38戸の署名を集めて同公社に提出したが、色よい回答は得られなかった。署名を集めた住民の会の世話人の男性(62)は「実質的に、低所得者向け住宅になっている。民間住宅に住む人からは甘えだと言われるかもしれないが、ついの住み家だと考えていた高齢者は不安を感じている」と話し、理解を求めている。

同公社の稲葉良二理事長は「元々は昭和40年代、住宅の絶対数が足りなかったために作られたもの。低所得者対策となると趣旨が違う」と異議を唱えつつ、「不安が残るのであれば、今後も説明会を開いたり、公営住宅の紹介を行っていく」と話している。

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20  駅前閑散、見切り発車…新青森  2010/11/12 読売新聞

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整備区画8割売れ残り

売却が進まず、空き地が広がる新青森駅の東口周辺  今月に入り、試乗会用の「はやて」が続々と乗り入れる新青森駅。駅構内の工事も8割ほど進み、12月4日の開業に向けた準備は最終段階に差しかかった。しかし、駅の周辺に青森市が整備した区画はいまだほとんどが売れ残り、閑散としたままだ。「降り立った乗客はきっと、何もなくて驚くに違いない」。誰もが気をもむ中で、青森の新しい玄関口は開業日を迎える。(大垣裕)

更地のままの区画を囲むように立ち並んだ住宅街。「周りに何もないから風が吹き付けて冬は厳しいわ」。その一角で暮らす加賀谷キヨさん(79)は、苦笑して辺りを見渡した。

区画整備の予定地に所有していた畑の仮換地として3年前、今の場所に家を構えた。「買い物も楽になるし、にぎやかになる」。期待を膨らませ、40年近く住んだ三内から夫婦で越してきた。「でも、土地はいつまでたっても眠ったきり。これなら山の中に駅を建てたのと一緒じゃないの」。恨み節も漏れる。「初めて来た観光客はどう思うかしら」。

市が整備したのは、約3・9ヘクタールで計18区画。しかし、これまでに売れたのは、レンタカー会社の事務所とオフィスビルの2区画にとどまってきた。「残念ながら土地が売れ残って空き地のままなので、にぎわいを作り出すための準備をしなければ」。鹿内博市長は今年4月の記者会見で焦燥感をにじませたが、開業まで1か月を切った今も、進展はない。市が先月15日に始めた8回目の募集も、応募があるか分からない。

売却が進まない背景には、大型商業施設の出店を規制したことがある。市は現在のJR青森駅前を街づくりの核とする「コンパクトシティ構想」を前提に、新青森駅周辺の開発方針を定めた。「中心市街地と競合しない規模の商業施設や宿泊施設を誘導する」。新青森駅周辺は言わば、「ほどほどの発展を」というスタンスだ。

ただ、売却した2区画は全体の約2割に過ぎない。鹿内市長は取材に、「企業は、どれだけ人の流れがくるか様子見の状況。人が来ると分かれば売却できる」と期待をつなぐが、仮に来年1月までの募集期間に売れても、建物などが姿を現すのは、来年の夏以降になる。

「新幹線が止まるほかの駅と比べて、はるかに寂しい。リピーターがいなくなる」。観光関係者らも眉間(みけん)にしわを寄せる新駅周辺。今月、「新青森延伸記念」と銘打った県内巡りの旅行を売り出した近畿日本ツーリストの本社広報は、「今、JRを中心とした宣伝効果で、青森への注目が集まっている」と指摘した上で、不思議そうに言った。

「駅は次の目的地に向かう中継地。電車やバスの待ち時間に、青森の特色を楽しみながら買い物できる店があってもいいし、足湯もいい。アイデアは色々とあるはずなのに……」

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21  「ユニーク特区」案 続々  2010/11/11 読売新聞

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「らき☆すた」神社にガイド 食用禁止深海魚「食べたい」

 「アニメ人気で外国人観光客を」「深海魚をブランド魚に」――。来年度に創設される予定の総合特区について、国が制度作りの参考にするためアイデアを7月下旬から約2か月間、募ったところ、地方自治体や民間団体などから計450件に上る提案が寄せられた。

埼玉県が提案したのは「COOL・SAITAMA戦略特区」。女子高生の日常を描いたアニメ「らき☆すた」に登場する神社のモデル・鷲宮神社(久喜市)は、大勢のファンでにぎわうが、外国人は少ない。海外でも人気のアニメで外国人観光客も呼び込もうと、外国人留学生がツアーガイドとして働けるよう就労規制の緩和などを求めている。

「外国人が案内してくれれば、海外からのツアーも組みやすい」と県改革推進課は期待する。

北海道観光振興機構は、日本で自動車運転が認められていない中国人観光客に道内での運転を認める「北海道観光インバウンド特区」を提案した。担当者は「広い道内をレンタカーで回れるようになれば、観光客も増えるはず」と話した。

食品衛生法で食用が禁止されている深海魚「アブラソコムツ」の調理を認めるように求めたのは、宮城県気仙沼市。アブラソコムツは体長2メートル近くになる大型魚で、遠洋マグロ漁で網にかかることが多い。美味というが、人が消化できない油分を含み、下痢などの症状を起こすことがある。

市は「安全な調理法を確立し、ブランド魚として売り出して、港に活気を取り戻したい」と願う。

特区に指定されるには、来年度に改めて申請する必要があるが、今回応募が殺到したのは、先に手を挙げていれば有利、という自治体などの思惑があるようだ。

各省と協議する内閣官房地域活性化統合事務局では「地域を活性化させたいという強い思いが伝わってくる」と話している。

総合特区 特定地域で規制を大幅に緩和するもので、政府が6月に閣議決定した「新成長戦略」の柱。「国際戦略」「地域活性化」の2分野がある。規制緩和だけの「構造改革特区」と違い、税制や財政面での支援措置も行う。対象地域の指定は来年夏ごろの見込み。

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22  建設地から不発弾4発、分譲マンション完売  2010/11/11 読売新聞

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基礎工事が急ピッチで進むマンション建設地 2年3か月の間に米軍の不発弾が4発見つかった埼玉県鳩ヶ谷市辻の8階建て分譲マンション建設予定地で、基礎工事が始まった。

市は不発弾を撤去する度に安全宣言を出してきたが、ことごとく撤回、近く4度目の宣言を出す。

近隣住民には「大丈夫?」との不信感も残るが、当のマンションは既に完売で、地元の不動産業者からは「この不景気に、いわく付きの物件が完売とは」と驚きの声も漏れる。

建設予定地は、埼玉高速鉄道の鳩ヶ谷駅から南に約200メートル離れた私有地。30本を超す基礎杭(くい)の打ち込みは終わり、基礎をセメントで固める工事が急ピッチで進んでいる。

マンション販売「大京」(東京・渋谷区)が入居者の募集を始めたのは今年1月。不発弾が出たという説明を聞き、即座に「嫌だ」と帰る客もいたが、「きちんと調査してくれるなら逆に安心」という声もあった。3月には4発目が掘り出されたが、4月以降に売買契約を結んだため、キャンセルはなかったという。

駅から徒歩4分という立地の良さや、周囲にマンションが少ないこともあり、7月には87戸を完売。販売価格は約60平方メートルが2000万円台、約90平方メートルが4000万円台で、近くの不動産業者によると、「破格に安い訳ではなく、妥当な値段」だという。

建設予定地では、2007年12月から今年3月にかけて、第2次大戦中に米軍が投下した250キロ爆弾が相次いで4発見つかった。市はその都度、不発弾を撤去、費用は計約1億4000万円に上っている。「もうない」と3度にわたって安全宣言を出しながら、ことごとく裏切られている格好だが、市は「不発弾の探査は開発業者が任意でするもので、市は要請しかできない」と釈明する。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.359  2010/11/11~2010/11/17 Vol.4
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【読売新聞】

23  首都圏など50か所でアスベスト含有砕石

【日経産業新聞】

24  新日鉄都市開発、渋谷のマンション建て替え事業に参加

25  森ビル、六本木ヒルズ隣接の賃貸マンション管理業務受託

26  伊藤忠都市開発など、墨田区でマンション開発

27  エースホーム、デザイン性高めた低価格住宅

28  スターツコーポレーション、高齢者向け住宅紹介事業を拡大

29  リクルート、サイトアクセス増やすサービス

30  三井不動産レジデンシャル、仙台に省エネ型高層マンション

31  大林組、品川駅前ビルの持ち分を追加取得

33  清水建設、マレーシアで導水トンネル工事本格化

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23  首都圏など50か所でアスベスト含有砕石  2010/11/11 読売新聞

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市民団体調査

アスベスト被害者を支援する市民団体「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京都江東区)などは10日、首都圏の駐車場など計50か所でアスベストが混入した「再生砕石」が見つかったとの調査結果を発表した。同センターなどは同日、環境省に全国的な実態調査を行うよう要望した。

再生砕石は、建物解体時に排出されるコンクリートやスレート板などを砕いたもの。今年2~10月、主に首都圏の198か所で採取した再生砕石を分析したところ、さいたま市の病院跡地や川崎市の高校跡地、東京都荒川区の駐車場などでアスベスト含有の再生砕石が見つかったという。大気中への飛散状況は調べていない。環境省によると、アスベスト含有のコンクリート廃材などは処分場に埋め立てることが廃棄物処理法で義務づけられている。アスベスト含有の再生砕石について、同センターは「ほかの廃材と区別されずに再生砕石業者に持ち込まれ、加工されたようだ」としている。

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24  新日鉄都市開発、渋谷のマンション建て替え事業に参加  2010/11/17 日経産業新聞

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新日鉄都市開発は東京都渋谷区のマンション建て替え事業に参加する。住人などが参加する建替組合員が申請した権利変換計画を東京都が認可した。事務所や店舗を併設した地下3階地上17階建ての大規模複合マンションを建設する。2011年2月に工事に着手、13年2月の完成を目指す。

建て替える「美竹ビル」は1959年に財団法人東京都住宅協会(現東京都住宅供給公社)が分譲した複合ビル。住宅40戸と事務所が併設されている。渋谷駅から徒歩2分の好立地だが、築51年と老朽化が進み、03年に住人が建て替え計画委員会を設置していた。

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25  森ビル、六本木ヒルズ隣接の賃貸マンション管理業務受託  2010/11/17 日経産業新聞

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森ビルは六本木ヒルズ(東京・港)に隣接する高級賃貸マンションの管理業務を受託した。同マンションの住人は、森ビルのマンション居住者に限定されたサービスを受けられる。森ビルは所有する施設近隣の物件の管理業務を通じて地域全体のブランドを高める戦略を採っており、受託業務に力を入れている。

日本たばこ産業(JT)が所有する六本木アレンツ(東京・港)の管理業務を受託した。地上14階、地下1階で賃貸住戸数は99戸。六本木アレンツの住人に対し、森ビルのマンション居住向けサービス「スマイル」を提供する。

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26  伊藤忠都市開発など、墨田区でマンション開発  2010/11/17 日経産業新聞

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伊藤忠都市開発と三信住建(東京・港)は東京都墨田区でマンション「クレヴィア墨田本所」を開発する。全戸を家族向けとし、使い勝手を高めた台所設備を採用した。2011年7月下旬の完成を目指す。

物件の開発場所は隅田川付近で、現在建設中の東京スカイツリーに近接している。また毎年開催される隅田川花火大会の第2会場もそばにあり花火も望めるという。

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27  エースホーム、デザイン性高めた低価格住宅  2010/11/16 日経産業新聞

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エス・バイ・エル子会社のエースホーム(東京・新宿)はデザイン性を高めた低価格の戸建て住宅「NOON esse(ヌーン・エッセ)」を発売した。耐震性や耐久性に優れた長期優良住宅に対応、間取りは自由に設計できるなど付加価値も高めた。土地購入から考える一次取得者を中心に初年度100棟の販売を目指す。

緩やかな傾きの片流れ屋根と、直線的なシルエットを組み合わせて外観のデザイン性を高めた。外観の色は2種類あり、いずれも白色がベース。間取りでは15種類の基本プランを用意し、顧客の要望に応じて自由に変更もできる。長期優良住宅の仕様を標準化しているほか、住宅金融支援機構が定める耐火構造の基準にも適合している。

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28  スターツコーポレーション、高齢者向け住宅紹介事業を拡大  2010/11/12 日経産業新聞

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スターツコーポレーション傘下のスターツピタットハウス(東京・中央)は11日、高齢者向けの賃貸住宅や有料老人ホームを紹介する事業を拡大すると発表した。対象店舗数を現在の約2倍に増やし、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)をカバーする。賃貸住宅市場が縮小する中、高齢者向けサービスを強化してグループの成長につなげる狙い。

対象の店舗には高齢者向けの賃貸住宅や有料老人ホームに詳しい社員を配置。「高齢者の住まい取次店」というマークを掲げ、通常の仲介業務のほか、高齢者向け賃貸住宅や有料老人ホームなどの入居相談にも応じる。サービス提供店舗は東京と千葉の19店舗から首都圏39店舗に広がる。

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29  リクルート、サイトアクセス増やすサービス  2010/11/12 日経産業新聞

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リクルートは11日、不動産仲介業者や管理会社向けに自社ホームページなどへのアクセス数を増やす「ホームページ集客サービス」を15日に始めると発表した。リクルートのポータルサイト「SUUMO」とは別に自社ホームページでも物件を宣伝したいという要望が多かったため。

サービスは有料で、検索サイトで指定のキーワードで打ち込む際に上位に表示されやすくするサービス(SEO)や、広告を自動で作成するサービスなどを提供する。

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30  三井不動産レジデンシャル、仙台に省エネ型高層マンション  2010/11/12 日経産業新聞

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三井不動産レジデンシャルは仙台市に高層マンション「パークタワー勾当台公園」を開発する。屋上に太陽光発電システムを設置するとともに、消費電力量を住戸の中で確認できるシステムを導入する。13日に第1期23戸を発売する。

新しいマンションは地上20階建てで、総戸数は114戸。電気自動車の充電器を1台設置。発光ダイオード(LED)照明や遮熱性の高いガラスを採用、エネルギー効率を高めた。

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31  大林組、品川駅前ビルの持ち分を追加取得  2010/11/11 日経産業新聞

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大林組は興和不動産、住友生命保険と開発した東京都港区の大型オフィスビル「品川インターシティ」の持ち分を追加取得した。今年4~9月期に200億円以上を投じ、大林組の持ち分は5%から12%に上昇した。同ビルはJR品川駅(東京・港)に近く、大林組の本社も入居している。

品川インターシティは東海道新幹線の乗降口からも近く、利便性が高いため、安定的な賃料収入が見込めると判断した。「テナントの入居率が高いため、優良な収益不動産として寄与する」(原田昇三・取締役専務執行役員)とみている。

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33  清水建設、マレーシアで導水トンネル工事本格化  2010/11/11 日経産業新聞

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清水建設は10日、マレーシアで建設中の長距離導水トンネルに使うトンネル掘削機の発進式を開いたと発表した。トンネルボーリングマシン(TBM)と呼ぶシールドマシンに似た大型掘削機を3台使い、約34キロメートルの工区を施工する。10日に1号機を発進させ、来年1月までに順次増やす。

工事は2014年に完成する予定。導水トンネルは総延長が44.6キロメートルで、3台の掘削機を投入する。工事費は400億円。清水建設と西松建設が現地建設会社2社と共同企業体を構成して工事を請け負っている。

2010-11-20 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed