住宅関連新聞記事ダイジェスト No.704  2017/09/28~2017/10/04

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.704  2017/09/28~2017/10/04
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【日本経済新聞】
1 林業の将来をテーマに講演 信州日経懇話会
2 遺産が少ないと「争族」になりやすい そのカラクリは
3 天井裏に敷く吸音材、フクビ化学工業、集合住宅向け
4 鈴与商事と納得住宅工房 ZEH事業を共同展開
5 TOTO、高級トイレ、もはや家電、世界を意識
6 貸家着工、3カ月連続マイナス 8月4.9%減
7 住宅ローン金利、10月据え置き 大手行
8 8月の新設住宅着工、前年比2.0%減 貸家は3カ月連続減
9 公営住宅の床工事費、3億円過大積算 会計検査院調べ
10 京阪HDの4~9月、純利益1%増 首都圏マンション好調

【朝日新聞】
11 マイボトル推進のエコプロジェクト開始 LIXIL
12 アルヒ、スーパーフラット9取り扱い開始 少ない手持ちでもOK
13 持ち家・貸家が3カ月連続減 8月・新設住宅着工戸数 国交省
14 育児休業中も端末利用で業務に継続性図る 東急住宅リース
15 不動産一括査定サイトに土地活用サービスを追加 NTTデータ
16 家賃債務保証業者登録規定を公布 国交省
17 「満員電車が原因で引っ越したいと思った」首都圏で3割超 アットホーム調べ
18 ベターリビング 防犯優良賃貸集合住宅の第1号を登録
19 最新技術・設備の住宅展示場が大阪で10月14日開業
20 11月、「不動産売却の基礎」を学ぶ消費者向けセミナー 埼玉宅協
21 ライフル 弁護士ドットコムと提携、電子契約プラットフォーム構築へ

【読売新聞】
22 断熱、気密…壇蜜さんが省エネ住宅推進大使に
23 区役所に宅配ロッカー…世田谷
24 津波で流失、えびす像再建へ…復興のシンボルに
25 財政難、高齢化…インフラ整備をどう進めるべきか

【日経産業新聞】
26 BASFジャパン 隅々まで流れるコンクリ 作業員の技量をカバー
27 再生エネ、水素で貯蔵 実験相次ぐ
28 電動工具、日本に入門機 米スタンレー・ブラック・アンド・デッカー
29 太陽電池、十数秒で性能回復 岐阜大、劣化物質引き寄せ
30 水処理施設の遠隔監視、導入費半分以下に
31 漏水検知システム、電源や配線工事不要に 大成建設
32 無人ダンプに鉄道技術 日立建機、鉱山用でコマツ追う

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1 林業の将来をテーマに講演 信州日経懇話会 2017/10/4 日本経済新聞
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 信州日経懇話会は3日、長野市のホテルJALシティ長野で例会を開き、新島俊哉・林野庁
中部森林管理局長が日本の林業の将来に関して講演した。新島氏は「日本の森林が成長して経
済財として利用できる時代に入ったが、切りっぱなしになるのが心配」と指摘。増加している
バイオマス発電施設向けに安価で木材が売却されて、再造林にお金が回らなくなることに警鐘
を鳴らした。
 新島氏は森林が水害などを防止する環境財としても重要としたうえで、「下流の都市住民に
環境財である日本の森林を守るというストーリーを提案することで外国産木材にない価値を付
与し、住宅建設などで国産材を利用してもらうようにすべきだ」と述べた。

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2 遺産が少ないと「争族」になりやすい そのカラクリは 2017/10/4 日本経済新聞
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不動産コンサルタント 田中歩
 「ウチはたいして財産がないので、相続でもめることはまずない」。このように話す人はと
ても多いのが実情です。一方、「財産がたくさんあるから相続でもめる」と思っている人も多
いでしょう。しかし、財産が少ないほうが相続人同士がもめる「争族」となるケースが多いの
です。

■遺産分割事件、5000万円以下が8割弱
 全国の家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち、遺産額別の認容・調停成立件数(201
5年)をみると、遺産額が1000万円以下の事件が全体の32%、5000万円以下が同44%で、約8割
弱が遺産額5000万円以下の事件となっています。自宅の土地と建物に加え、多少の現金があれ
ば遺産額が5000万円弱になることは珍しくないでしょうから、多くの人にとって「争族」は人
ごとではないのです。
 では、なぜ遺産額が少ないほうが「争族」となるケースが多いのでしょうか。相続税は遺産
額が大きいほど税率も大きくなる仕組みですが、一定条件のもとで自宅や事業用の土地の評価
額を8割減額できる特例があります。「小規模宅等の特例」といい、居住用の宅地は330平方メ
ートル以下、事業用の宅地は400平方メートル以下といった条件を満たす必要があります。

■遺産額が少ないと「やる気」も出ない
 ただし、特例の適用を受けるためには原則として、相続が発生してから10カ月以内の申告期
限までに遺産分割協議が成立していることが必要です。つまり、税務署に申告する際、相続人
同士が遺産分割について合意した遺産分割協議書と実印、印鑑証明書を申告書に添付して提出
することが条件となっているのです。このため、相続人同士で遺産分割について合意しようと
いうインセンティブが働きやすくなります。
 しかし、遺産額が少ない場合、特に基礎控除額よりも少ないと、こうしたインセンティブが
働きません。基礎控除額とは遺産額から差し引くことができる金額のことで、3000万円+600万
円×相続人の数で計算します。例えば遺産額が4500万円で相続人が3人ならば、税金を計算する
基となる課税対象額は0円となり、相続税は課されません。こうなると、相続人同士で調整し合
おうというインセンティブは働かなくなります。
 遺産額が少ない場合、主な相続財産は被相続人の自宅の土地と建物となることが多くなりま
す。しかも、財産が少ないがゆえに「争族」になることはないと考えてしまい、遺言を書いて
いないケースも多いのです。相続人が複数いる場合は相続が発生した後、ひとつしかない自宅
の土地と建物の分け方を協議しなければなりません。

■土地と建物を「分割」する4つの方法
 分ける方法は4つあります。土地を物理的に分割する「現物分割」ができればよいのですが、
小さな敷地だと分割が難しいケースも多いですし、建物を解体しなければならないという問題
もあります。売却して得たお金を分ける「換価分割」は分割しやすい面はあるものの、被相続
人と同居していた相続人がいるような場合、その相続人は住み続けたいと考えるので、換金し
たい別の相続人と対立してしまいます。
 こうした問題に対応するために「代償分割」という方法があります。住み続けたいという相
続人が土地と建物を承継する代わり、他の相続人に対して自身の現金やその他の資産などを支
払うことで調整する方法です。しかし、この方法は承継する相続人に資力がなければ実現は困
難です。
 最後は「共有物分割」です。複数の相続人がひとつの不動産を共同で所有する方法です。一
見すると円満解決できる方法に思えますが、売りたい人とそうでない人で対立しやすく、次に
相続が発生すると共有者がさらに増え、処分や管理にかかる意思統一が一層、難しくなるとい
う問題があります。
 このように相続税がかからない程度の遺産額で、自宅が主要な相続財産という状況が重なる
と「争族」に発展する可能性が高まります。さらに、両親のうちどちらかがすでに他界してい
る場合、精神的支柱となる親がいなくなり、兄弟姉妹での分割論争が激しくなるケースも散見
されますので注意が必要です。

■生前から家族でコミュニケーション
 相続が「争族」となってしまう原因はたくさんあります。同居していた相続人が親の現金を
使い込んでしまったのではないか、という疑いからもめ始めてしまうケースもありますし、介
護負担の有無や親からの支援の有無がきっかけとなってもめることもあります。
 大切なことは、生前から家族でコミュケーションをしっかりとっておくこと。民法では「遺
産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状
態および生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」としています。これは、なんで
もかんでも「法定相続」にしなければならないということではなく、様々な事情と背景を斟酌
(しんしゃく)し、公平に遺産を分割しようという「心」を示しているといわれています。そ
のためには、相続人同士がお互いの状況を理解し、思いやりを持つことがとにもかくにも大切
です。財産をのこす親世代も同様で、子供たちがもめない公平なのこし方を家族でコミュニケ
ーションを取りながら考えておくことが大事なのです。
 「ウチは関係ない」。そう思っている人こそ、改めて相続について考えてみてほしいと思い
ます。

田中歩
 1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティン
グなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、
ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住
宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・
ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。

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3 天井裏に敷く吸音材、フクビ化学工業、集合住宅向け 2017/10/4 日本経済新聞
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 フクビ化学工業はマンションなど集合住宅向けの樹脂製吸音材を10日から発売すると発表し
た。不均一に加工した再生樹脂を詰めた袋を天井裏に敷き、樹脂同士の衝突と摩擦で振動を吸
収する。防音対策として一般的な床の二重化に比べ、1平方メートルあたりの重さが約5分の
1で済むため建物への負荷が少ない。工務店や設計事務所に売り込み、まずは年間3億6千万
円の売り上げを見込む。
 新製品「サイレントドロップ」は、準大手ゼネコンの戸田建設と共同開発した。大きさが10
ミリ以下の再生樹脂を一辺45センチメートルの正方形の袋に詰めており、重さは4キログラム
。天井に1平方メートルあたり1~2個設置することで、施工後は音を5~10デシベル低減す
ることができる。最近建てられた新築マンションの場合、音がほとんど気にならないレベルま
で抑えられるという。
 フクビ化学工業によると、マンションなどでは、上の階での跳びはね音や歩行音が下の階に
響き、クレームの原因になることが多い。従来は床に施工する防音製品しかなかったが、新製
品は天井裏に置くだけと簡単で、上の階の住人に防音対策を依頼する必要ない。
 1袋4000円(税別)で、4袋単位で販売する。

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4 鈴与商事と納得住宅工房 ZEH事業を共同展開 2017/10/3 日本経済新聞
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12月、掛川にモデルハウス
 鈴与商事は2日、注文住宅を手がける納得住宅工房(富士市)と、住宅のエネルギー収支を
実質ゼロにするゼロエネルギー住宅(ZEH)事業を共同展開すると発表した。まず12月、掛
川市にモデルハウスを開設する。地場の工務店との連携を深めて、自社の太陽光パネルやLP
ガスの契約増加にもつなげる。
 国は2020年までに新築戸建ての半数をZEHとする方針を掲げ、住宅大手が先行している。
鈴与商事は法人向けの省エネルギー提案などで蓄積した断熱計算のノウハウを活用。太陽光パ
ネルや給湯器、エアコン、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)の商材と合わせて提供
する。
 掛川市のモデルハウスは2階建てで、納得住宅工房の掛川店として位置付ける。納得住宅工
房は住宅購入検討者へのPRに、鈴与商事は今後提携する工務店への説明の場として利用する
。1~2年後をめどに、一般客へ土地付きの戸建て住宅としてそのまま販売する。
 鈴与商事は住宅向け太陽光パネルで一定の県内シェアを持つ。今後は山梨、長野、愛知県な
どで連携する工務店を探し、他の商材を含めた取引を強化する。納得住宅工房は17年度中に販
売数の2割をZEHとする目標を掲げている。

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5 TOTO、高級トイレ、もはや家電、世界を意識 2017/10/2 日本経済新聞
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 TOTOは8月、温水洗浄機能付き高級トイレ「ネオレスト」シリーズの新型を発売した。
中でも、デザイン性を一段と高め、浴室と一体化した欧米風のレイアウトにもなじみやすい「
NX」は価格(税抜き)を57万円に設定。日本だけでなく世界的にTOTOの旗艦モデルとし
て売り出す。節水性、掃除のしやすさなどの機能面では一定の水準に達した感のある高級トイ
レについて、有識者で構成する「新製品評価委員会」(委員長・片岡寛一橋大名誉教授)で将
来性などを議論した。

TOTOの最高級ウォシュレット「ネオレスト NX」
 商品力評価の対象とした「ネオレストNX」は新機能として、おしりの洗い心地を改善した
「エアインワンダーウェーブ洗浄」と便器の洗浄性を向上させた新「トルネード洗浄」を盛り
込んだ。
 「エアインワンダーウェーブ洗浄」は、流速の違う洗浄水を水玉状にして1秒間に100個を連
射していた方式を踏襲しながら、水玉に空気を含ませることで一粒の大きさを約30%拡大して
、当たり心地の量感を向上させた。洗い心地に対する直接の感想よりも「そこまで浴び心地に
こだわるきめ細やかさに感心した」(マーケティングプランナー)と、TOTOの開発姿勢を
評価する声が目立った。
 新「トルネード洗浄」は、吐水口を従来の左奥から右手前に変更することで汚物がつきやす
い便器後方に勢いよく水が当たるのが特徴だ。この改良により便器前部分から水があふれ出に
くい構造となり、便器のフチの「返し」をなくし、掃除をしやすくした。ITコンサルタント
は「陶器という素材にこだわりすぎながらも技術的に他社を一歩リードした感がある」とする
。住宅系シンクタンク副所長も「使い勝手や操作性の工夫を積み重ねてきたのがよくわかる」
と指摘する。
 これらの新機能は下位モデルの「AH」(38万9000円から)などにも標準採用する。価格差
の肝は曲線美にこだわった「ノイズ(雑音)レス」デザインにある。海外への視察旅行が頻繁
な商品研究所長は「NXを初めて見たときはその大きさに驚いたが、機能以前にその質感とデ
ザイン性にひかれた」と語る。
 大学教授(商品経済学)も「すべての方向から見て、美しいデザインと高い機能性を感じさ
せる。芸術品と言ってもいい」と称賛する。日本ではデザイン性を味わえるトイレ空間を持て
る家庭は少ないが、海外の富裕層には響きそうとの見方が多かった。
 温水洗浄機能付きの高級トイレはTOTO、LIXIL、パナソニックの3社で市場をほぼ
占める。高価格帯では便座と便器の一体型で、水をためる大きなタンクが付かないタンクレス
が一般的で、3社で長く、節水性や清掃性を競ってきた。
 節水性では便器の洗浄水は4リットル前後まで進んだ。TOTOでも既に2012年に床排水で
は3.8リットルを達成しており、今回の新製品でも同じ数値にとどまる。
 清掃性の高さを象徴する機能である「きれい除菌水」。水に含まれる塩化物イオンを電気分
解してできた次亜塩素酸を含む水のことで、便器やノズル洗浄に使うが、この機能を使い始め
たのは11年。住宅系シンクタンク副所長は全般に「画期的技術は出尽くしてきた感がある」と
見渡す。
 温水洗浄機能付きトイレは、今後市場にどう受け入れられていくのか。勤務する大学のトイ
レはすべて温水洗浄式という大学教授は「小さいころから使っている学生は、構内でも少しで
も使い心地の良いトイレを探す」というほどの浸透ぶりだ。家庭用としては、もはや洗浄機能
のないトイレと商品性を比較する段階にはないとする。
 便器はそのままに、便座のみ温水洗浄機能付きのものを導入する例も多く「普及していると
はいえ、タンクの付いた低中級機が中心。今後、リフォームなどが増えれば高級機へのシフト
は進む」(商品研究所長)と高級機の今後の市場拡大を楽観視する向きも多い。
 男性でも家庭では座って小用を足す人が増え、「トイレ用のスリッパを置く家庭も少なくな
った」(住宅系シンクタンク副所長)。こうした住生活の変化は、高級トイレがけん引したと
の見方もあった。
 温水洗浄機能付き高級トイレ全般に、高機能化して複雑な機構を持ち「もはや家電化してき
て、故障した際には不安が残る」(マーケットプランナー)との声もある。片岡委員長は「ト
イレが高級になるにつれ、トイレ空間のあり方も変わってきた」と総括。海外市場で広がりを
見せるためには「メンテナンス面でのわかりやすさが必要」としながら「できるだけ体験する
機会を増やすべきだ」と結んだ。
 「エアインワンダーウェーブ洗浄」は空気の混入率により水玉の大きさ、重さが変わるため
、さまざまな混入率で試し最適な量感を追求した。特に噴射強度が高い際の量感改善が狙いと
いう。研究員も中程度の強度を中心に新旧の洗浄方式を試した。確かに新方式の上質感が勝っ
たが、その違いは微妙。評価委員の中でも差がわからないとの声もあった。
 既に洗い心地では一定の評価があるのに、わずかな違いを追求してノズルを改良、特許出願
する労力をかける。「ウォシュレット」の名称で温水洗浄便座普及の先陣を担ったメーカーと
しての底力を感じた。

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6 貸家着工、3カ月連続マイナス 8月4.9%減 2017/9/29 日本経済新聞
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 国土交通省が29日発表した8月の新設住宅着工戸数は前年同月比2.0%減の8万562戸となっ
た。減少は2カ月連続。このうち貸家が同4.9%減の3万4968戸と3カ月連続で減った。貸家は
相続税の節税対策と低金利を背景に増勢が続いていたが、転機を迎えた可能性がある。
 貸家は三大都市圏すべてでマイナス。減少幅は首都圏が6.5%、中部圏が7.9%、近畿圏が1.2
%だった。県別では栃木県の落ち込みが52.8%減と大きい。同省建設経済統計調査室は「郊外
エリアの需要はピークアウトしたとの見方がある」と指摘。貸家はマイナス金利で融資先に苦
しむ地銀が地主に積極的な営業をしかけ、5月まで19カ月連続で伸びていた。

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7 住宅ローン金利、10月据え置き 大手行 2017/9/29 日本経済新聞
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 三菱東京UFJ銀行など大手行は29日、10月に適用する住宅ローン金利を据え置くと発表し
た。固定型10年の最優遇金利は三菱UFJ銀が0.75%、三井住友信託銀行は0.70%で前月から
横ばい。三井住友銀行は1.05%、みずほ銀行は0.80%とする。

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8 8月の新設住宅着工、前年比2.0%減 貸家は3カ月連続減 2017/9/29 日本経済新聞
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 国土交通省が29日発表した建築着工統計調査によると、8月の新設住宅着工戸数は前年同月
比2.0%減の8万562戸だった。2カ月連続で減少した。QUICKがまとめた市場予想の中央
値は0.8%増だった。持ち家と貸家が落ち込んだ。
 内訳をみると、貸家が4.9%減の3万4968戸と3カ月連続で減少。個人向けアパートローンの
減速を背景に相続税の節税を目的とした建設に一服感が出た。持ち家は7.4%減の2万4379戸と
3カ月連続で減少した。
 一方、分譲住宅は2万728戸と12.0%増加した。増加は3カ月連続。分譲のうち、マンション
が33.7%増と大きく伸びた。大規模マンションの着工が多かった。一戸建て住宅は0.8%増の1
万1493戸だった。

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9 公営住宅の床工事費、3億円過大積算 会計検査院調べ 2017/9/29 日本経済新聞
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 地方自治体が公営住宅の建設工事を行う際、床工事の費用が約3億円過大に積算されていた
ことが、会計検査院の調べで29日までにわかった。市場価格を参考にしていなかったことなど
が原因で、同院は補助金を交付する国土交通省に対して「市場価格を把握し、経済的な積算と
すべき」と是正改善の処置を求めた。
 会計検査院が2011~15年度に実施された工事を検査したところ、11都道府県の177工事で積算
が過大だった。価格が高くなりがちな業者の見積もりを基に積算しており、市場価格が記載さ
れた資料を利用すれば約3億3750万円を低減できたとしている。
 ただ工事費を積算した後、入札が行われ積算額以下で落札されることもあるため、実際に過
大な支払いにつながったかどうかは不明という。
 国交省は「各自治体に対して、市場価格が掲載された資料があれば参考にするように周知し
ていく」としている。

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10 京阪HDの4~9月、純利益1%増 首都圏マンション好調 2017/9/28 日本経済新

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 京阪ホールディングスは28日、2017年4~9月期の連結純利益が前年同期比1%増の122億円
になりそうだと発表した。従来予想は17%減の100億円だった。首都圏でマンション販売が好調
だった。7月に子会社化した戸建て住宅を手掛けるゼロ・コーポレーション(京都市)も収益
に寄与し始めた。鉄道の電力費用などの削減も利益を押し上げた。
 売上高は1%増の1430億円となる見通し。主力の運輸事業はインバウンド(訪日外国人)の
増加で京都方面の鉄道利用が拡大したほか、定期収入も伸びた。ホテル事業で7月に開業した
ホテル京阪淀屋橋(大阪市)も貢献した。ホテルの建て替え費用などがかさみ営業利益は12%
減るが、従来予想は22億円上回る。
 18年3月期通期の業績予想は精査中という。10月30日の17年4~9月期の決算発表時に合わ
せて発表する予定だが、従来予想から上振れする可能性がある。

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11 マイボトル推進のエコプロジェクト開始 LIXIL 2017/10/4 朝日新聞
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 LIXILは10月から、水の保全と環境保護に向けた「みんなでスマイルエコプロジェクト」を開
始した。
 同プロジェクトの活動の第1弾となる「マイボトル推進活動」では、国内のグループ社員や取
引先、全国のショールームで同社の浄水栓の見積もりをした人などにマイボトルを配布し、ペ
ットボトルのごみ削減やエコへの意識啓発を図るというもの。期間は18年3月31日まで。
 またマイボトル推進活動の冊子をショールームで配布し、事業所の水栓を順次浄水栓に切り
替えて社員がマイボトルを披露しやすい環境も整えていく。

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12 アルヒ、スーパーフラット9取り扱い開始 少ない手持ちでもOK 2017/10/3 朝日新

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 アルヒはこのほど、フラット35(保証型)の住宅ローン「ARUHIスーパーフラット9」の取り扱
いを始めた。
 同商品は、住宅の購入価額または建築費の10%以上20%未満を手持ち金として用意できる人に
、「ARUHIフラット35」より低い金利を設定した、最長35年の全期間固定金利の住宅ローン。同
社ではこれまで住宅購入価額の20%以上の手持ち金を用意できる人向けの「ARUHIスーパーフラ
ット8」を提供してきたが、更に幅広いユーザーに利用できるようにした。

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13 持ち家・貸家が3カ月連続減 8月・新設住宅着工戸数 国交省 2017/10/3 朝日新聞
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 国土交通省は17年8月の新設住宅着工戸数を8万562戸と発表した。前年同月比で2・0%減とな
り、2カ月連続で減少した。持ち家と貸家が3カ月連続で減少し、分譲住宅は3カ月連続で増加し
た。季節調整済年率換算値では94万2000戸となり、前月比で3・2%減と、2カ月連続での減少と
なった。

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14 育児休業中も端末利用で業務に継続性図る 東急住宅リース 2017/10/3 朝日新聞
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 東急住宅リースは、育児休業中でもタブレット型端末を利用できる取り組みを始めた。会社
内情報やメールなどを常に閲覧でき、e-ラーニングの受講で知識習得もできるなど、休業期間
中でも会社との接点を増やして不安を緩和し、スムーズに復職してもらうのが狙い。
 同社の女性社員比率は全社員の半数に上る。今後も育児と仕事の両立を目指す女性社員の増
加が見込まれ、女性が生き生きと働ける環境を整える。

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15 不動産一括査定サイトに土地活用サービスを追加 NTTデータ 2017/10/2 朝日新聞
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 NTTデータ スマートソーシングは、土地活用マッチングポータルサイト「HOME4U(ホームフ
ォーユー)土地活用」のサービスの提供を10月2日から開始した。土地所有者がアパート・マン
ション経営などの土地活用提案を一括して複数の企業に依頼し、プランの回答を受けることが
できる。
 同社は「HOME4U」を01年11月に不動産一括査定サイトとして立ち上げた。今回新たに「土地
活用」を対象としたサービスを追加することで、不動産に関わるマッチングサービスをより一
層充実させるのが狙い。土地活用の初心者であっても、副収入アップや節税対策などを目的と
した土地活用を気軽に検討できるように提供を開始する。

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16 家賃債務保証業者登録規定を公布 国交省 2017/10/2 朝日新聞
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 国土交通省は10月2日、家賃債務保証業者の登録制度創設に伴い、登録要件など必要な事項を
定めた「家賃債務保証業者登録規定」を公布した。新たな住宅セーフティネット制度の一環と
して、10月25日に施行する。

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17 「満員電車が原因で引っ越したいと思った」首都圏で3割超 アットホーム調べ 2017
/9/29 朝日新聞
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 アットホーム(東京都大田区)は1都3県在住で、都内に電車通勤する男女618人を対象に「満員
電車と住まいの関係」を調べた。それによると、「通勤電車の混雑が原因で引っ越したいと思
った」は全体の33.2%、「混雑を配慮して住む場所を決めた」は24.9%となった。また、部屋の
広さと通勤の楽さのどちらを重視するか調べたところ、「狭いが通勤は楽」が全体の61.0%とな
った。また、満員電車の軽減方法として有効だと思うものについては「時差通勤の導入」が65.
2%で最も多い結果となった。

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18 ベターリビング 防犯優良賃貸集合住宅の第1号を登録 2017/9/29 朝日新聞
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 ベターリビングと全国防犯協会連合会が認定・登録する防犯優良賃貸集合住宅について、大
東建託がシリーズ認定を得ていた集合住宅の第1号が完成し、登録された。登録第1号となる。

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19 最新技術・設備の住宅展示場が大阪で10月14日開業 2017/9/29 朝日新聞
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 全国で総合住宅展示場を企画・運営するライダース・パブリシティ(東京都千代田区、松崎正
社長)は10月14日、大阪府和泉市にZEHをはじめとした住宅メーカーの最新技術・設備を取り入
れた総合住宅展示場、「毎日ハウジング和泉中央住宅展示場」をオープンする。
 出展住宅メーカーは一条工務店、住友林業、積水化学、積水ハウス、大和ハウス工業、パナ
ホーム、ホームライフ、ヤマダ・エスバイエルホーム。

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20 11月、「不動産売却の基礎」を学ぶ消費者向けセミナー 埼玉宅協 2017/9/28 朝日
新聞
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 埼玉県宅地建物取引業協会(内山俊夫会長)は11月、さいたま市で一般消費者を対象とした「
ハトマーク不動産セミナー」を開催する。「不動産売却の基礎知識」をテーマに、不動産に詳
しい弁護士と税理士が(1)「税務編」(2)「法務編」の2回に分けて解説する。
 (1)「税務編」は11月4日、大宮ソニックシティ(JR大宮駅徒歩3分)、定員80人。(2)「法務編
」は11月25日、埼玉県宅建会館(JR浦和駅徒歩5分)、定員200人。両会場とも午後1時~同3時15
分。参加費無料。申し込みは電話048(811)1868まで。

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21 ライフル 弁護士ドットコムと提携、電子契約プラットフォーム構築へ 2017/9/28
朝日新聞
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 ライフル(東京都千代田区)は9月27日、電子契約サービス「クラウドサイン」を提供する弁護
士ドットコム(東京都港区)と提携し、不動産情報サイト「ライフルホームズ」に加盟する不動
産会社向け電子契約プラットフォームの構築を進めると発表した。
 10月から始まるIT重説(賃貸)など、ICTを活用した業務効率化の動きに合わせたもの。ライフ
ルでは既に「ライフルホームズ」やIT重説に対応した不動産会社向け業務支援サービスなどを
提供しており、これに電子契約サービスが加わることで、将来的に住まい探しの一連のプロセ
スがオンライン上で完結することを目指す。不動産会社向け電子契約サービスは10月中の開始
予定。

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22 断熱、気密…壇蜜さんが省エネ住宅推進大使に 2017/10/3 読売新聞
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 住宅選びのポイントは「断」と「密」――。
 環境省は2日、タレントの壇蜜さんを「省エネ住宅推進大使」に任命した。リフォーム時な
どに省エネ効果の高い建材を選んでもらおうと、壇蜜さんは今後、冊子やポスターに登場した
り、ブログで発信したりして啓発活動に努める。
 同省は、室内と室外の熱の出入りを遮断し、住宅の冷暖房に使うエネルギーを減らすには「
高“断だん”熱」と「高気“密みつ”」が重要という語呂合わせで、壇蜜さんを起用。壇蜜さ
んは中川環境相から任命書を受け取り、「私の名前を連呼するだけでもPRになる。省エネ住
宅を選ぶ最初の一歩を後押しできればうれしい」と話した。
 省エネ住宅で家の中が適温に保たれれば、入浴中の突然死を引き起こすヒートショックや熱
中症を防ぐ手立てにもなる。冬の冷え込みが厳しい秋田県出身の壇蜜さんは「省エネ住宅なら
命も守ってくれる」とアピールした。

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23 区役所に宅配ロッカー…世田谷 2017/10/3 読売新聞
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無料、24時間利用OK
 世田谷区は、区役所庁舎などに、宅配便の配達先として無料で24時間利用できる宅配ロッ
カーを設置した。ネット通販の普及で宅配便の利用が広がる中、宅配業者の再配達の負担を減
らし、二酸化炭素の排出を削減にもつなげたいとしている。
 同区と、宅配便大手・ヤマト運輸などが出資する企業が共同で行う事業で、ロッカーは、本
庁舎の第1庁舎と住宅地内にある上北沢地区会館に設置された。
 利用者は、ヤマト運輸の会員制サービス「クロネコメンバーズ」に登録が必要。荷物を入れ
るボックスは27口あり、不在時の再配達先に指定すれば、通勤や通学中に荷物を受け取れる

 同区は、千歳烏山駅に近い烏山中央自転車等駐車場の入り口にも10月下旬に宅配ロッカー
を設置する。担当者は「ロッカーを効率的に利用してもらい、再配達の負担を減らせる。ドラ
イバーの稼働が少なくて済めば二酸化炭素の削減にもつながる」と話している。

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24 津波で流失、えびす像再建へ…復興のシンボルに 2017/10/3 読売新聞
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 東日本大震災の津波で流失した「えびすさま」の銅像を再建しようと、宮城県気仙沼市の水
産関係者らが委員会を設立した。
 えびす像は昭和初期に同市の漁港近くに建てられ、海の安全を見守ってきたが、太平洋戦争
の金属供出と、震災の津波で2度も姿を消した。復活を望む漁業者の声も多く、関係者は「復
興が進む気仙沼のシンボルとして『おえびすさん』をよみがえらせたい」と力を込める。
 えびす像は1932年、魚問屋や港があった同市内湾地区の神明崎に建てられた。気仙沼湾
に突き出した岬から湾内をぐるっと望み、大漁と航海安全を祈願。岩の台座の上に立つ高さ約
1・5メートルの銅像の右手には釣りざお、左手にはタイを握り、穏やかな表情だった。遠洋
から入港する漁師は船上から感謝し、出港する際には手を合わせたという。
 しかし、太平洋戦争の激化に伴って43年、弾丸用に供出された。その後はほこらが残って
いたが、復活を望む声を受けて89年、2代目がほぼ同じ姿で復元された。お参りする漁師の
姿が街に戻った。
 2011年、震災の津波で市の沿岸部は甚大な被害が出た。内湾地区も多くの家や商店が被
災し、えびす像は流失。潜水士が何度も海に潜って捜したが、見つからなかった。
 震災から6年が過ぎ、港周辺は災害公営住宅が建って商店が再開するなど、活気も少しずつ
戻ってきたことから、再建案が持ち上がった。復興支援を続けてきたサッポロビールの人気銘
柄「エビス」の縁もあって、同社から協力を得られることも決まった。
 えびす像の制作者は今のところ未定で、完成は1年以上先になる見込みだが、同会の臼井賢
志委員長(75)は、「これから本格化する気仙沼の街づくりの中で、昔ながらの魅力を復活
させ、大漁の船を迎え入れたいね」と意気込んでいる。

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25 財政難、高齢化…インフラ整備をどう進めるべきか 2017/10/2 読売新聞
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日本プロジェクト産業協議会会長 宗岡正二.
 東京オリンピック・パラリンピックの開催まで残り3年を切った。訪日外国人の増加などで
、あらためて日本のインフラの課題が注目されている。少子高齢化が進む中、道路・空港・港
湾など、広範囲におよぶインフラ整備をどう進めるべきなのか。積極的な提言を行っている日
本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の宗岡正二会長(新日鉄住金会長)に聞いた。(聞
き手 読売新聞メディア局編集部次長 中村宏之)

現状は「残念な状況」
――日本全国のインフラ整備の現状について、どんな認識を持っていますか?
 現状は大変残念な状況に追いやられているのではないかと認識しています。ある国のインフ
ラの水準そのものが、その国力や経済力を規定する――というのが世界の常識だと思いますが
、それが日本の政治家やメディア、国民の皆さんに十分認識されていないのではないかと憂慮
しています。
 端的に申し上げれば、インフラ整備は政治家の地元の選挙区への利益誘導的な景気対策とい
う見方や評価が刷り込まれ、「公共投資はすべて悪」というイメージになっているのではない
か。日本の国全体にとって必要なインフラは何か、というマクロ的な視点が欠けているように
感じています。結果として、限られた国家の財政の中で、インフラ整備のための投資を減らし
、社会保障や子育て支援に財源を回せば良い、という風潮になっているように思います。

――具体的には、どうとらえればいいと思いますか?
 インフラは産業基盤であり、なおかつ生活基盤である、という視点で見るべきです。産業基
盤であるインフラが整備されているからこそ、国の経済や企業経営は発展するのです。そして
生活基盤である学校、病院、公園などのインフラの水準向上そのものが国民の生活水準を高め
ていくのではないでしょうか。
 欧米先進国の指導者はインフラの重要性を明言しています。オバマ前大統領は、米国が先進
国であり続けられるのは世界に冠たる交通インフラがあるからだと指摘しましたし、土地代を
除いたインフラ整備のための投資は、過去20年間で、イギリスでは約3倍、アメリカでは約
2倍、フランスでは約1.7倍に増加しています。それに比べ、日本は半減以下の水準となっ
てしまいました。インフラ整備の効果を、短期的なフロー(お金が循環し、経済を活性化させ
ること)の改善効果に矮小わいしょう化するのではなく、人や物の往来を効率化し、移動時間
と費用を削減することで生産性を向上させるといった長期的なストックの蓄積という観点から
評価することが重要だと思います。
 例えば、東京近郊の環状道路を見ても、北京やソウルの環状道路網と比べ、相当程度見劣り
が致しますし、接続が未整備な部分(ミッシングリンク)の存在が道路ネットワークの効率的
な活用を妨げています。地方でも、ミッシングリンクはまだ多いですし、危険な暫定2車線の
対面通行の自動車専用道路も多く見られます。建設から50年以上経たった首都高速道路をは
じめ、老朽化した危険な道路や橋梁きょうりょうなどをどう維持・管理していくのかというこ
とも全国的な喫緊の課題でしょう。また、わが国は四方を海に開いている海洋国家であり、港
湾は日本の生命線、そして国力の源泉とも言えるインフラですが、インバウンド対応の世界最
大級の客船や、大型化が進む世界の海運動向に対応した超大型のバルク船(ばら積み船)やコ
ンテナ船が寄港できる港はまだまだ少なく、日本の港湾は周辺のアジア諸国にも残念ながら見
劣りするのが実情です。首都圏の空港のあり方についても、成田と羽田の役割をしっかり議論
し、方向性を明確にして必要な整備を急ぐべきでしょう。

地方活性化とインフラ
――地方発展のためのインフラ整備についてはどう考えますか?
 JAPICでは、(1)地方の活性化、(2)国民の安全・安心、そして(3)国際競争力
の向上を3本柱とするインフラ整備が重要だと考えています。
 地方の活性化については、個性ある地域の活性化と雇用の創出のために、その土地ならでは
の魅力をどう高めていくかが問われます。観光を通じた地域の活性化という観点から見れば、
豊かな自然に触れられる国立・国定公園、特長のある農水産品、美しい景観など、持てる資産
や魅力をどうアピールしていくかが重要です。生活基盤の整備という観点からは、地域の人口
が減少し高齢化する現実に対応するために、コミュニティーをコンパクト化しながら住みやす
いようにリセットすることも課題になります。LRT(ライトレールトランジット、次世代型
路面電車システム)や高齢者がカートで安心して動けるようなインフラ整備もその一例でしょ
う。
 次に、国民の安全・安心については、日本の国土の特徴を考えてみると、地震・火山大国で
あること、急峻きゅうしゅんな地形で河川が短く、その高低差が大きいこと、台風の通り道で
あることなどが挙げられます。将来世代の安全・安心の備えにも配慮した治山治水や、都市部
においては木造住宅の密集地域の解消などに取り組んでいく必要があります。
 国際競争力の向上については、先に述べましたように、物流の効率化など、生産性の向上に
資するインフラ整備として道路のミッシングリンクをどう解消するか、あるいはインバウンド
を吸収する客船や大型バルク船・コンテナ船の寄港にどう対応するかなど、産業基盤の整備と
してやるべきことがたくさんあると考えています。

国民に問うべきこと
――インフラ整備を進める上で必要なのはどんなことでしょう?
 現状ですと、公共投資に振り向ける予算は、日本の財政規模からしてオーバーキル(削減し
過ぎ)の状態にあると思います。厳しい財政事情の下、限りある資源を我々世代のためだけに
費消するのではなく、消費税を予定通り引き上げる一方で社会福祉を効率化するなど財政再建
にメドをつけた上で、停滞しているインフラ整備について、どの分野にいかなる順番で資源を
投入していくのかを国民に問わないといけないと思います。
 老朽化したインフラの問題などはあまねく広く調査して、要不要を判定する。時代が変わり
、人口動態や物流量なども変わっているのですから、きっちり精査して、インフラの統廃合や
更新を進めていくプロセスが不可欠です。PFI(公共施設などの設計、建設や維持管理・運
営を、民間の資金とノウハウを活用して行うこと)の枠組みなどを導入することも有効でしょ
う。

――人手不足や人口減少、高齢化など、インフラ整備に関連する業界にとっては厳しい環境で
もあります。
 少子高齢化が進展する中で、女性の活躍や、日本の建設業の技術に関心を持っている外国人
などを積極的に活用していくことが必要だと考えます。最近は技術の進歩でGPS(全地球測
位システム)を活用した自動運転の建設機械なども新たに生まれてきており、生産性を向上さ
せるためにも、こうした技術や機器をうまく活用することが重要だと思います。

――トランプ米大統領が米国内のインフラ整備を打ち出しています。その後の政権運営で財源
の捻出が難しくなり、ややトーンダウンしていますが、アメリカのこうした動きは日本にも影
響するでしょうか?
 直接的には影響しないと思います。日本に何らかの影響があるとすれば、都市間の高速鉄道
の整備でしょう。私どもJAPICは日本国内を中心に議論していますが、構成メンバーの中
からは「海外に目を向けてみてはどうか」という意見もあり、今後はそうした点も意識して議
論していきたいと思っています。

――わが国のインフラ整備のグランドデザインは誰が出すべきでしょうか?
 それは、やはり政治家の役割でしょう。政治家の職務は、わが国の領土、そして国民の安全
・安心を守ることを第一に、人口減少や高齢化が進む中で、国家全体の不都合な真実なり、将
来の課題を国民に示し、理解を求め、政策を実行していくことだと思います。インフラ整備も
然しかりで、自らの選挙地盤への景気対策などという矮小な視点を捨て、将来世代の利益や負
担にも思いをいたし、国民の安全・安心と長期的な経済成長、そして国民の生活水準の向上の
ために必要な産業・生活基盤となるインフラは何なのか、優先順位を付けて提示していくべき
ではないでしょうか。啓発という意味ではマスコミにも大いに期待しています。

〈日本プロジェクト産業協議会〉
 1979年設立。37業種・200社を超える企業、地方自治体、団体、NPO等から構成
。年間延べ約1万人の実務家が公益的な立場から、業際的協力や産官学民の交流を通じて具体
的なプロジェクト・政策提言、テーマ研究などを行っている。

プロフィル
宗岡正二( むねおか・しょうじ )
 1946年山口県生まれ。70年東京大学農学部農業経済学科卒、新日本製鐵入社。常務取
締役薄板事業部長、副社長を経て2008年4月社長に就任。12年10月、住友金属工業と
の経営統合で誕生した新日鉄住金の会長兼CEOに就任、14年4月より会長。14年6月J
APIC会長に就任。

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26 BASFジャパン 隅々まで流れるコンクリ 作業員の技量をカバー 2017/10/4 日
経産業新聞
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 建設現場で深刻な人手不足。コンクリートの性質を変える「混和剤」を手掛けるBASFジ
ャパンの建設化学品部門の茅ケ崎技術開発センター(神奈川県茅ケ崎市)はこの課題に応えよ
うと「流れやすいコンクリート」を実現する混和剤を日本向けに開発した。また前身企業時代
の伝統を受け継ぎながら、新たにアジア向け製品の開発にも取り組み始めた。

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27 再生エネ、水素で貯蔵 実験相次ぐ 2017/10/3 日経産業新聞
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 風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを水素に変換して貯蔵する実験が相次いで
いる。豊田通商や川崎重工業などは11月下旬から北海道苫前町の風力発電所で実証を開始する
。送電線が不足する北海道や東北地方では電力会社が再エネ事業者に出力抑制や変動緩和対策
などを求めることが想定される。発電量が大きく変動するリスクを緩和することで再エネ導入
量拡大につなげる狙いだ。

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28 電動工具、日本に入門機 米スタンレー・ブラック・アンド・デッカー 2017/10/3
日経産業新聞
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 米工具大手のスタンレー・ブラック・アンド・デッカーは建設現場などで使うプロ用製品の
新ブランドを日本で発売する。既存のプロ用ブランドよりも2~3割程度安い価格帯で、まず
ネット通販で販売を始める。交流サイト(SNS)を活用した宣伝に力を入れ、若手職人向け
の入門機として売り込む。

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29 太陽電池、十数秒で性能回復 岐阜大、劣化物質引き寄せ 2017/9/29 日経産業新聞
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 岐阜大学の吉田弘樹教授らはナトリウムが発生して劣化したシリコン型太陽電池の発電性能
を簡便に回復する技術を開発した。手のひら大の装置で外部から電気を流し、劣化の原因であ
るナトリウムを電極方向に引き寄せる。作業は十数秒で終わり、費用も安く済む見通し。企業
と協力し、1~2年後をめどに実用化を目指す。

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30 水処理施設の遠隔監視、導入費半分以下に 2017/9/29 日経産業新聞
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 クボタはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」を使い水処理施設を遠隔監視するシス
テムを開発した。従来の遠隔監視サービスに比べ導入コストを半分以下にできる。国内の老朽
化した施設の更新需要を取り込む。組織横断的に営業する体制も整え、2021年までに2500施設
への新システム導入を目指す。

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31 漏水検知システム、電源や配線工事不要に 大成建設 2017/9/29 日経産業新聞
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 大成建設は電源や配線工事が必要ない漏水検知システムを開発した。電池を使わずに自ら発
電するセンサーを活用し、建物内の漏水位置を正確にすばやく検知する。一般的な検知システ
ムに比べて初期導入コストを約3割低減できるうえ、電気工事が不要なため改築時などでも導
入しやすい。2018年の実用化を目指す。

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32 無人ダンプに鉄道技術 日立建機、鉱山用でコマツ追う 2017/9/28 日経産業新聞
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 日立建機は2019年度の発売を目指す鉱山用の無人ダンプトラックに、日立製作所グループの
鉄道のノウハウを使う。自動走行する道をいくつもの区間に分け、システムから走行可能な区
間の指示を受ける。先行車両と間を保つために周囲と常に通信しておく必要はない。現場での
無人ダンプ増加に伴う通信トラブルを防ぐ狙いで、18年にオーストラリアで実証実験に入る。

2017-10-04 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed