住宅関連新聞記事ダイジェスト No.296 2009/8/13~2009/8/19

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【日本経済新聞】
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【朝日新聞】
1  家賃滞納情報を一括管理、ブラックリストに保証業界
2  首都圏マンション販売、23カ月連続前年割れ

【読売新聞】
3  マンション発売、減少率が大幅縮小

【日経産業新聞】
4  ミサワインター、大津で大規模分譲
5 住宅ローン減税、「利用する」が85% 住団連調査

【コラム】
こんなとき、どうする! 住宅を建てたい! どんな土地(敷地)を選べばいいの?

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1  家賃滞納情報を一括管理、ブラックリストに保証業界  2009/8/15 朝日新聞
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 賃貸住宅入居者の連帯保証を請け負っている家賃保証会社が共同で、滞納者らの信用情報の一括管理に乗り出す。情報のデータベース(DB)化を進める社団法人を今月末に設立する。家賃滞納者のブラックリストをつくり、滞納常習者を締め出す。家賃を一度でも滞納してリストに載ってしまえば、その後の住まい探しが困難になる恐れがある。
 DB化は、家賃保証会社約40社でつくる「賃貸保証制度協議会」が19日にも方針を決め、31日までに「全国賃貸保証業協会」を発足させる。当初は家賃保証会社15社前後の参加を見込む。上部組織で、賃貸住宅管理者ら約1100社が加盟する「日本賃貸住宅管理協会(日管協)」も信用情報を共有する構想もある。実現すれば、約1260万戸の民間賃貸市場の4分の1をカバーしたDBができる。
 会員となる会社は、保証している入居者の滞納額など家賃支払い状況を登録。当初参加する15社の新規契約は年約120万件を想定。滞納の発生率は1割前後とされるため、年12万件の滞納情報が蓄積される見込みだ。
 保証会社が今後契約する分が対象で、入居者の同意を得て登録する。更新契約も対象になる。ただ、立場の弱い入居者が契約時に登録を拒むことは実際は難しいとみられる。明け渡し訴訟の情報は過去のデータも記録される。
 制度の詳細は未定だが、入居者は個人情報保護法に基づき、自分の登録データの開示を求め、間違いがあれば訂正することも可能になる見込みだ。だが、そうした手続きをとらなければ、入居者がリストの内容を知ることはない。契約の際、家主側から一方的に拒まれる恐れは消えない。
 DB構想の背景には、不況で収入が減り、家賃を払えない入居者が増えている事情がある。保証会社が家賃を肩代わりするケースが続出し、保証会社による悪質な「追い出し」も社会問題化した。このため、家賃滞納などのトラブルを未然に防止する方策として、DB構想が浮上した。
 業界側は、家賃をきちんと払っている入居者の信用力を高め、職業や年齢、国籍などを理由に門前払いされるケースを防止できると強調している。ただ一時的な家賃滞納でも、いったんDBに載れば、常習者と同様に賃貸住宅を借りにくくなる可能性がある。
 日本では、「住まい」は様々な権利の基点とされる。住居がないと住民票が作れず、国民健康保険や年金が得られなかったり、選挙に行けなくなったりする恐れがある。
 生活困窮者のアパート入居の際の連帯保証人になっているNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の湯浅誠事務局長は「業者から一方的に『悪質』と認定され、ホームレスになる人が増える恐れがある。雇用政策や福祉対策も考えないと、社会を不安定にする要素がさらに増えてしまう」と批判する。(織田一、久保智)

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 ■家賃保証会社 賃貸住宅の契約時に入居者から一定の保証料を取り、連帯保証人となる。入居者が家賃を滞納した場合、肩代わりする。立て替え分は後日回収する。滞納が続くと、明け渡し請求手続きを代行することもある。
 連帯保証人を見つけられない低所得者が増えたうえ、滞納を避けたい家主側の需要もあり、業界は急成長。国土交通省によると全国で約70社。民間賃貸契約の約4割にかかわっているとのデータもある。民間信用調査会社の調べでは把握できる29社の売り上げは08年は約218億円で、2年前の2倍以上に達した。

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2  首都圏マンション販売、23カ月連続前年割れ  2009/8/13 朝日新聞
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 不動産経済研究所が13日発表した首都圏のマンション市場動向調査によると、7月の新規販売戸数は前年同月比9.1%減の3230戸で、23カ月連続で前年を下回った。
 在庫数が7カ月連続で減っていることもあり、販売戸数の減少幅は6月の23%減から縮小。新規販売に対する契約率も前月から5.1ポイント上がって75.3%となり、3カ月続けて70%台となった。1戸あたり平均価格は4628万円となり、前年同月比で12.8%下がった。

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3  マンション発売、減少率が大幅縮小  2009/8/14 読売新聞
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 不動産経済研究所が13日発表した7月の首都圏のマンション発売戸数は、前年同月比9・1%減の3230戸と、23か月連続で前年実績を下回った。ただ、減少率は6月の23・0%から大幅に縮小し、3か月ぶりに1けた台になった。
 実際に売れた割合を示す契約率は6月より5・1ポイント高い75・3%となり、好不調の目安とされる70%を3か月連続で上回った。東京都内を中心に、人気のある高層マンションの売り出しが相次いだことなどが要因だ。7月末の販売在庫は、前月比6・0%減の7446戸と7か月連続で減り、販売業者の在庫調整も進んでいる。
 一方、1戸あたりの平均価格は4628万円と、前年同月比で12・8%下落。1平方メートルあたりの平均単価も66・5万円と7・4%下がった。
 発売戸数は依然として低い水準にとどまっており、同研究所は「底は打ったとみられるが、先行きは依然として不透明感がある」と指摘している。

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4  ミサワインター、大津で大規模分譲  2009/8/19 日経産業新聞
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 全国10カ所で3000戸計画 ミサワインターナショナル(東京・新宿、三沢千代治社長)は18日、滋賀県で254区画の分譲地で戸建て住宅を発売すると発表した。日興産業(大阪府寝屋川市、菊田正夫社長)が大津市に開発する分譲住宅街「菊田の郷」に、同社の木造住宅「HABITA」を建てる。総事業規模は約100億円。滋賀県を手始めに、北海道や福岡県など全国10カ所の分譲地で3000戸分を手掛ける計画だ。
 山野を切り開いて開発する「菊田の郷」の総面積は約8万平方メートル。1区画あたりの土地面積は170~644平方メートルとなる。敷地内には10~15メートルの木を植えるほか、一年中花が咲くように植栽し、自然を楽しめる環境をつくる。畑や菜園もつくる。住宅の平均価格は約4000万円となる見通し。

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5  住宅ローン減税、「利用する」が85% 住団連調査  2009/8/13 日経産業新聞
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 住宅生産団体連合会(住団連)がまとめた住宅ローン減税制度に関するアンケート調査報告によると、ローン減税について「利用する」という回答が85.4%を占めた。住宅取得時期に与えた影響では「新たに購入を計画できた」「計画を前倒しした」が合わせて全体の3分の1以上で、ローン減税を契機に住宅の建設・取得に踏み切っていた。
 2009年度の住宅ローン減税は最大控除額600万円という過去最大規模で、住宅メーカー各社は住宅取得の好機と訴え、営業活動を展開している。

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コラム 
こんなとき、どうする! 住宅を建てたい! どんな土地(敷地)を選べばいいの?
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 マイホームを建てるには、土地を確保(※1)しておく必要がある。土地を確保して住宅を建てる方法は2つある。1つは、既存の家屋を取り壊した後の土地に、新たにマイホームを建てる方法。これを建て替えといい、土地を新たに探して選ぶ必要もない(※1:借地権による確保の仕方もあるが、ここでは所有権で確保)。
 もう1つは、新たに土地を購入し、その土地に(注文)住宅を建てる方法で、これを“更地新築”という。今回は、更地に新築するケースでの、土地の選び方などを考えてみることにしよう。

●ステップ1:住宅が建てられる土地ってどんな土地なの?
[宅地が原則]
 土地という言葉にはさまざまな意味がある。たとえば、(a)人が利用する耕地や宅地などの用地としての意味(b)土地改良のように土(つち)あるいは土壌を表す意味(c)その場所やその地方を表す意味、などがある。
 ここでは、住宅という建物を建てることを目的とするケースなので、宅地という用地としての意味に当てはまる。宅地というのは、一般的に建物を建てる目的で取引される土地のことをいい、登記簿上では、地目(※2)の1つとして設定(※2:土地の用途による分類で、畑、田、山林、宅地など23種類に及ぶ)。
 土地を購入する際には、登記簿謄本を取り寄せて、宅地かどうかを確認する必要がある(地目が畑や田などであっても、宅地に地目変更することで建物を建てることが可能)。

[安全性の高い土地]
 住宅が建てられる土地は、安全性が高いことが大前提。風水害による土砂崩れや地震による崩落など、自然災害が起こりやすい土地は、絶対に避けなければいけない。
 自然災害による危険性の高さは、たとえば土地の意味として紹介した前述の(b)や(c)からとらえてみると、理解しやすい。
 (b)では、土壌は地質と共通するところが多い。取得しようとする土地および周辺部の土地が崩れやすい地質かどうかをチェックすることもできる。
 (c)からは、地勢・地理的な面からチェックが可能。たとえば、山間(やまあい)の麓のようなところでは、集中豪雨ともなると大量の土石流が押し寄せ甚大な被害をもたらす。
 先日発生した山口県防府市の特別養護老人ホームの被害ケースはまさにそれ。近くに河川や湖沼があるようなところも要注意で、できればそういったエリア内の土地は購入対象にしない方が良い。
 危険性の高さは自然災害によることばかりではない。造成の仕方など人為的なものに起因する場合もある。造成の仕方など人為的なものによる危険度チェックは、素人には難しい。取得する土地の状況にもよるが、造成の仕方が大がかりなケース(たとえば、大きな擁壁で土留めされているとか、急な傾斜の造成地とか)であれば、建築の専門家にチェックしてもらうと良い。住宅が密集しているような土地の場合には、延焼の危険性をはらんでいる。

[良好な立地環境]
 都市部よりは郊外の方が、自然環境には恵まれている。きれいな空気、騒音の少ない条件などからすれば、郊外の土地に軍配が上がる。ただし、暮らしの利便性などからすれば都市部の方が良い。“良好な立地環境”には、自然環境のほかに暮らしの利便性といった生活環境面も含まれる。

●ステップ2:間違いのない土地選び、どんなことをチェックすればいいの?
 ステップ1で述べたことは、土地選びのいわば必要条件である。ステップ2では、満足度を高めるための十分な条件を紹介してみよう。

■表1:間違いのない土地選び「満足度を高めるための十分な条件」
チェック項目 満足度を高める十分な条件
生活環境の利便性 郊外では生活環境の利便性がポイント。交通の便は多少悪いが、買い物や通院、通学、趣味・娯楽施設等の充実ぶりをチェック。都市部では、健康面での環境チェックがポイント。郊外、都市部ともに、上下水道、電気、ガス等のライフラインの充実は必須要件。
価格と敷地面積のバランス 都市部から離れれば離れるほど単価は下がる。そのため予算的には郊外の方が敷地面積の広い土地を確保することが可能。ある程度広い敷地を求めるのなら郊外から選ぶことになる。
立地&敷地条件等(日照・通風、土質・地盤などの良しあし) 郊外では、日照・通風に恵まれた土地の確保がしやすく、隣家からの影響も受けにくい。都市部の場合は逆で、日照・通風条件を良くするための工夫が必要。場合によっては機械の力を頼ることになり、エコに逆行することも。土質・地盤については個々の土地条件によって異なる。ただし、新しく造成されたところが多い郊外の場合、土質が十分に安定していないとか、地盤が十分に固まっていないところもある。建築の際には土質・地盤調査が必要。都市部では都市災害の水害に遭わないために、豪雨時の下水排水の状況を事前に調査・確認する。
敷地の生かし方と設計手法 郊外では比較的広い土地の確保が容易で、家づくりにおける制約も少ない。このため敷地を生かすための設計手法に腐心する必要性は小さい。都市部では敷地面積が抑えられ、建ぺい率や容積率の厳しいところではプランに対する制約も多いため、敷地を生かしきる設計手法が求められる。逆に個性的な(外観)プランが可能なケースもある。オーソドックスな住宅を求めるなら郊外の土地を、個性的な住宅でもOKなら都市部の土地を、といったところか。
大型分譲地。造成整備に併せて道路やライフラインなどのインフラ整備を行っている状態。 土地分譲するためには、しっかりとした造成工事を行うことがポイント。ひな壇状の分譲地では土留めとしてのよう壁等の工事が重要。丈夫で長持ちする家づくりの基本は、手抜きのない造成工事にあるといえる。

●ステップ3:お気に入りの土地を購入するための3つの心得をチェックする
[心得1:購入ルートを決める]
 土地を購入する、そのルートは、3つほどある。1つは、分譲会社を通じて取得するルートで、主に郊外の土地を購入する場合。特徴は、比較的整備された土地の取得が可能で、即、我が家の建築を実行できるケースが多い。土地に掛かる費用は主に取得費で、改めて造成・整地のための費用が掛かるケースは少ない。取得費以外に地盤等をチェックする敷地調査費が必要な場合もある。
 第2は、畑や田など、宅地以外の土地を購入するルート。郊外の土地を購入するケースにあって、単価的にはかなり安いが、購入後に苦労することが多い。不動産の売買に不慣れな人には向かないルートといえる。
 第3が不動産の仲介会社を通じたルート。土地を売りたい人は仲介会社を通じて売ることになり、その土地を購入する場合は、その仲介会社を通じて対応することになる。
 仲介会社は、売る側と買う側の双方から仲介手数料(売却価格の3%相当額)を手に入れる代わりに、売りやすく購入しやすくするための手続き等を行ってくれるので、事前に説明等(これを重要事項説明という)を行うことが法で定められているので、購入の際も大きな不安はない。都市部の土地を取得するケースに多いが、郊外の土地を購入する場合にも見受けられるルートといえる。

[心得2:購入物件を調査する]
 購入前の調査としては、主に書類上の調査と現地調査とに分かれる。書類上の調査には、私法上の権利関係を調べることと、公法上の利用制限をチェックすることとがある。“私法上の権利関係を調べる”というのは、所有権、抵当権、先取特権等の私法上の権利関係を調査すること。
 この調査については、先に挙げた3つのルートのうち、分譲会社や仲介会社を通じたルートでは、購入者がとくに対応する必要はない。どうしても知りたいのであれば、登記所でその土地の登記簿謄本を取り寄せて確認することになる。
 “公法上の利用制限を調べる”というのは、建築基準法や都市計画法など(これを公法という)によって、建てられる建物の種類や構造などが制限されている内容をチェックするために必要なこと。いわば、どんな住宅なら建てられるか、あるいは建てられないのかが法律によって決められていることを調べるもので、最終的に住宅を新築するのであれば、事前に調べておくことが重要。
 購入予定の物件が固まれば、事前に現地調査をする必要がある。登記簿や公図(土地の位置や形を示す図面で、登記簿と一体をなすもの。最近ではより精度の高い「17条地図」が取って替わろうとしている)と照合しながら、土地の形状や位置、境界などをチェックすることになる。
 そのほか現地調査では、接道状況(敷地に対して道路がどのように接しているかの状況)や水はけ状態、さらには騒音や悪臭など住環境についても調べる必要がある。調査の際には、日照や通風状態なども含めて項目をチェックリスト化しておくことをお薦めする。

[心得3:利用できるローンを確認する]
 土地を購入するためには、資金が必要。オール自己資金で対応できればそれに越したことはないが、住宅ローンを利用しなければいけないケースもある。
 住宅ローンは、住宅を取得するためにしか利用できないのでは、と思っている人も多いが、それは、かつての公庫融資や「フラット35」のように土地購入を目的とする資金には利用できない、ことに由来している。銀行などの民間住宅ローンでは、土地購入のための資金として融資をしてくれる。
 なお、「フラット35」の場合、住宅を建てる際には、建築資金と一体のものとして土地購入の資金を上乗せして融資を受けることが可能。要するに、土地購入だけの資金としては利用できないということであり、いわば、土地+建物の建売住宅購入資金と同じ扱いというわけだ。

2009-08-20 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed